ゴルフ会員権の地域格差が拡大する理由と今後の価格動向

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ゴルフ会員権の価格が上昇する一方で、地域による格差が広がっています。

関東の主要150コースの平均会員権価格は305万円台となり、2019年末と比較して約8割上昇しました。

しかし、すべてのゴルフ場で価格が上昇しているわけではありません。

東京都では会員権価格が2.7倍、山梨県では2.3倍、沖縄県では2.2倍となる一方、山形県や青森県では約4割下落しています。

同じゴルフ会員権であっても、立地や気候、交通アクセス、地域人口などによって資産価値が大きく異なる状況です。

さらに、人口減少や高齢化が進む地方では、ゴルフ場の経営そのものが難しくなっています。

今回は、ゴルフ会員権の地域格差が拡大する理由を分析し、今後の価格動向について考えてみます。

ゴルフ会員権の価格上昇は全国一律ではない

ゴルフ会員権の価格上昇を考えるうえで重要なのは、全国のゴルフ場が同じように値上がりしているわけではないという点です。

ゴルフ会員権仲介会社の桜ゴルフがまとめた価格データによると、2019年末と比較した都道府県別の上昇率の中央値は、東京都が2.7倍、山梨県が2.3倍、沖縄県が2.2倍となっています。

一方、山形県や青森県では約4割下落しました。

例えば、2019年末に300万円だった会員権が2.7倍になれば810万円です。

2.3倍であれば690万円、2.2倍であれば660万円になります。

反対に、300万円だった会員権が4割下落すれば180万円です。

同じ300万円の会員権でも、地域によって630万円もの差が生じる計算になります。

もちろん、これは上昇率を単純に当てはめた仮定の比較であり、実際の個別会員権の価格差を示すものではありません。

それでも、地域による価格動向の違いが非常に大きいことが分かります。

東京都の会員権が高騰する理由

東京都のゴルフ会員権価格が上昇している背景には、人口と所得の集中があります。

東京都には高所得者や企業経営者などが多く、ゴルフ会員権を購入する資金力を持つ層が厚いという特徴があります。

また、都内やその周辺に立地するゴルフ場は、都心からのアクセスが良く、日帰りで利用しやすいことも魅力です。

特に、退職後に平日もゴルフを楽しみたいと考える人にとって、移動時間の短さは重要です。

例えば、自宅から片道30分で行けるゴルフ場と、片道2時間かかるゴルフ場を比較してみます。

往復の移動時間は、それぞれ1時間と4時間です。

年間40回利用する場合、移動時間の差は120時間になります。

年間120時間という差は、長期間の利用を考えると無視できません。

さらに、年齢を重ねるほど長距離移動が負担になる可能性があります。

このため、都心からアクセスの良いゴルフ場は、単に価格が高いだけでなく、長期的な利用価値も評価されていると考えられます。

山梨県の人気を支える立地と気候

山梨県の会員権価格が2.3倍となっている背景には、首都圏からのアクセスと自然環境があります。

山梨県には、富士山周辺や高原地帯など、景観や気候に恵まれたゴルフ場が数多くあります。

特に夏場は、標高の高い地域で比較的涼しくプレーできることが魅力です。

近年の猛暑を考えると、夏季の快適性はゴルフ場選びの重要な要素になっています。

また、首都圏から高速道路などを利用して移動しやすい地域では、週末だけでなく平日の利用も期待できます。

ゴルフ場の立地条件は、単なる距離だけでは評価できません。

移動時間、道路の混雑、気候、コースの品質、周辺の宿泊施設などが総合的に影響します。

特に退職後の生活では、ゴルフと旅行を組み合わせて楽しむ人もいるでしょう。

こうした利用方法の多様化も、人気地域の会員権需要を支える要因になっていると考えられます。

沖縄県の価格上昇と通年利用の魅力

沖縄県では、ゴルフ会員権価格が2019年末と比較して2.2倍となっています。

沖縄県の特徴は、温暖な気候によって冬場でもゴルフを楽しみやすいことです。

本州の寒冷地では冬季に営業を休止するゴルフ場もありますが、沖縄県では年間を通じた利用が期待できます。

また、観光地としての魅力もあります。

ゴルフと旅行を組み合わせることで、単なるスポーツ施設以上の価値を感じる人もいるでしょう。

ただし、沖縄県の会員権価格上昇については、気候や観光需要だけで説明できるわけではありません。

会員権の供給量、個別ゴルフ場の入会条件、地元需要、県外居住者の購入動向なども関係します。

さらに、県外から利用する場合には航空運賃や宿泊費が必要です。

会員権価格が上昇していることと、すべての購入者にとって経済的に合理的であることは別問題です。

年間の利用回数や移動費用を含めて検討する必要があります。

寒冷地で会員権価格が下落する背景

一方、山形県や青森県では、会員権価格が2019年末と比較して約4割下落しています。

背景として考えられるのが、人口減少、高齢化、営業期間の制約などです。

積雪の多い地域では、冬季にゴルフ場を営業できない期間があります。

営業日数が限られれば、年間の利用機会も少なくなります。

また、地域人口が減少すると、新規会員の確保が難しくなる可能性があります。

特に若年層の人口減少が進む地域では、既存会員の高齢化に伴って、会員数が減少することも考えられます。

会員権を売却したい人が増える一方、購入希望者が少なければ、価格には下落圧力がかかります。

さらに、ゴルフ場の経営状態が悪化すると、将来の営業継続に対する不安が高まります。

こうした要因が重なることで、会員権価格の下落につながる可能性があります。

ただし、寒冷地のすべてのゴルフ場が不人気というわけではありません。

コースの品質やブランド力、観光需要などによって、個別の価格動向は異なります。

人口減少がゴルフ場経営に与える影響

ゴルフ場の将来を考えるうえで、人口減少は重要な要因です。

ゴルフ場は広大な土地と多くの設備を必要とする施設です。

芝生の管理、コース整備、クラブハウスの維持、人件費など、利用者数にかかわらず発生する費用が少なくありません。

そのため、利用者数が減少すると、収益性が悪化しやすい構造があります。

特に地方では、人口減少によってゴルフ人口そのものが縮小する可能性があります。

また、高齢化によってゴルフを続けられなくなる会員が増えれば、新規会員の獲得が必要になります。

しかし、若年層の人口が少ない地域では、会員の世代交代が進みにくいことも考えられます。

こうした状況では、会員権価格の下落だけでなく、ゴルフ場の存続そのものが課題になります。

日本ゴルフ場経営者協会によると、2026年7月時点の国内ゴルフ場数は2,153施設となり、2002年度のピークから1割以上減少しています。

人口減少が進む日本では、今後も地域ごとの需要動向を慎重に見極める必要があります。

ゴルフ場の4分の1が赤字という現実

ゴルフ会員権価格が上昇している一方で、ゴルフ場の経営環境は必ずしも良好ではありません。

国内のゴルフ場の約4分の1が赤字とされています。

背景には、利用者の確保が難しい地域があることに加え、運営コストの上昇があります。

ゴルフ場では、芝生の管理や施設の維持に継続的な支出が必要です。

さらに、人件費、光熱費、設備修繕費なども増加しています。

利用者数が十分に確保できない場合、料金を引き上げることも容易ではありません。

料金を上げれば、利用者が近隣のゴルフ場へ移る可能性があるためです。

その結果、人気コースでは料金や会員権価格が上昇する一方、地方の一部コースでは低価格競争が続くという二極化が生じます。

重要なのは、会員権価格の上昇がゴルフ場の利益に直接つながるわけではないことです。

既存会員権の売買代金は、原則として売り手と買い手の間で授受されます。

ゴルフ場の収益を支えるのは、主としてプレー料金や年会費などです。

会員権価格が高いことだけで、ゴルフ場の財務健全性を判断することはできません。

ゴルフ場閉鎖が会員権価格に与える影響

地方のゴルフ場では、経営難による閉鎖も発生しています。

栃木県の矢板カントリークラブは、2027年末での閉鎖を会員に通知しました。

閉鎖後の用地は、太陽光発電事業者への譲渡が予定されていると報じられています。

ゴルフ場の跡地は、広大な土地が確保されていることから、太陽光発電施設などへの転用が検討される場合があります。

ただし、実際の転用には土地利用規制や環境面の条件などを確認する必要があります。

ゴルフ場が閉鎖される場合、会員権の価値は大きな影響を受けます。

会員としてプレーする権利が失われる可能性があるためです。

預託金返還請求権がある場合でも、返還条件や運営会社の財務状況によって回収可能額は異なります。

会員権を購入する際には、価格の安さだけでなく、ゴルフ場が今後も営業を続けられるかという視点が欠かせません。

今後の会員権価格を左右する5つの要因

今後のゴルフ会員権市場を考えるうえでは、5つの要因に注目したいところです。

第1は、人口動態です。

高齢化によって既存会員の利用頻度が低下する一方、若年層や女性の新規利用がどの程度増えるかが重要になります。

第2は、交通アクセスです。

都心から短時間で利用できるゴルフ場は、今後も一定の需要を維持する可能性があります。

第3は、気候条件です。

猛暑や積雪などによって、年間の利用可能日数やプレー環境が変化する可能性があります。

第4は、ゴルフ場の経営力です。

コースの品質、設備投資、会員サービス、財務健全性などが、長期的な会員権価値を左右すると考えられます。

第5は、家計や金融市場の動向です。

株価の上昇や退職金などによって購入余力が高まれば、人気コースへの需要が増える可能性があります。

一方、景気後退や資産価格の下落が起きれば、高額な会員権の購入を控える人が増えることも考えられます。

これらの要因を総合すると、今後もすべてのゴルフ会員権が一律に値上がりするとは考えにくいでしょう。

人気コースと地方コースの二極化は続くのか

今後のゴルフ会員権市場では、人気コースと需要の弱いコースの二極化が続く可能性があります。

首都圏からアクセスが良く、経営基盤が安定しているゴルフ場では、会員権の需要が維持されることが考えられます。

特に、会員数が適切に管理され、予約が取りやすく、コースの品質が高い施設は、利用者から評価されやすいでしょう。

一方、人口減少が進む地域では、会員数の減少や利用頻度の低下によって、経営環境が厳しくなる可能性があります。

ただし、地方のゴルフ場にも強みがあります。

例えば、自然環境に恵まれたコース、低料金で利用できる施設、観光と組み合わせられるゴルフ場などです。

こうした特徴を生かし、地域外からの利用者を獲得できれば、経営を維持できる可能性があります。

また、若年層や初心者が利用しやすい料金体系を整えることも重要です。

ゴルフ場の将来性は、地域の人口だけでなく、経営戦略によっても左右されると考えられます。

会員権購入では地域より個別コースを重視する

ゴルフ会員権の購入を検討する場合、都道府県別の価格上昇率だけで判断することは避けたいところです。

例えば、東京都の会員権価格が平均的に大きく上昇しているからといって、都内のすべてのゴルフ場が同じように値上がりするわけではありません。

また、価格が下落している地域でも、経営状態が良好で利用価値の高いゴルフ場は存在します。

購入前には、会員数、予約の取りやすさ、年会費、名義書換料、コースの整備状況などを確認することが重要です。

さらに、運営会社の経営状況や、将来の設備投資計画なども判断材料になります。

特に退職後の利用を想定する場合には、自宅からの移動時間や、年齢を重ねても利用しやすい環境かどうかを重視する必要があります。

会員権価格の上昇率よりも、実際に長期間利用できるかどうかが重要です。

ゴルフ会員権は、値上がり益を期待する金融商品としてではなく、生活を充実させるための資産として評価することが望ましいでしょう。

結論

ゴルフ会員権の価格上昇は、全国一律に進んでいるわけではありません。

東京都では2.7倍、山梨県では2.3倍、沖縄県では2.2倍となる一方、山形県や青森県では約4割下落しています。

この背景には、人口動態、交通アクセス、気候条件、ゴルフ場の経営力など、さまざまな要因があります。

特に人口減少と高齢化が進む地方では、会員数の減少や経営環境の悪化が課題になります。

一方、首都圏からアクセスが良く、コースの品質やサービスに優れたゴルフ場では、今後も一定の需要が期待されます。

ただし、現在の価格上昇が将来も続くとは限りません。

景気や金融市場の変化、会員の高齢化、運営コストの上昇などによって、価格が下落する可能性もあります。

人生100年時代におけるゴルフ会員権の価値は、単なる市場価格だけでは測れません。

健康維持、人間関係、趣味の充実など、実際に利用することで得られる価値も重要です。

だからこそ、会員権を購入する際には、地域別の価格動向だけでなく、個別ゴルフ場の経営状況と長期的な利用価値を確認する必要があります。

ゴルフ会員権市場の二極化は、人口減少社会において、立地と経営力の違いが資産価値にどのように反映されるかを示す事例ともいえるのではないでしょうか。

参考

日本経済新聞 2026年10月18日 ゴルフ会員権8割高、愛好家が猛アプローチ バブル期とは異なる熱狂

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