タワマンを売れば住宅ローンは返せるのか 将来の売却価格を前提に借りる危うさ編

FP
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高額なタワーマンションを購入するとき、将来売却すれば住宅ローンを返せると考える人もいるでしょう。

特に2階建て住宅ローンでは、元金の50%を最終返済日まで据え置く商品があります。

1億円を借りれば、最後に5000万円が残ります。

その5000万円をマンションの売却代金で返済するという考え方です。

購入したマンションが将来も5000万円を大きく上回る価格で売れるなら、出口として機能します。

しかし、住宅ローン残高は契約によって決まる一方、将来のマンション価格は決まっていません。

売却を前提に住宅ローンを組むなら、この違いを理解することが重要です。

タワマンの売却を出口にするとは何か

2階建て住宅ローンでは、毎月の元金返済を少なくする代わりに、最後に大きな元金を残します。

例えば1億円を借り、その50%にあたる5000万円を最終返済日まで据え置くとします。

最終的にマンションを8000万円で売却できれば、5000万円の住宅ローンを返済することができます。

残った資金を次の住宅や老後資金などに利用することも可能です。

このように自宅そのものを将来の返済原資と考えるのが、売却を出口とする考え方です。

購入価格と将来の売却価格は違う

重要なのは、購入価格が将来の売却価格を保証しないことです。

1億円で購入したマンションだから、将来も1億円で売れるとは限りません。

1億2000万円になる可能性もあります。

8000万円になる可能性もあります。

5000万円を下回る可能性もゼロではありません。

不動産価格は、その時点の需要と供給、金利、景気、物件の状態などによって変わります。

住宅ローンを借りたときの価格を、そのまま数十年後の価値として考えないことが重要です。

築年数は確実に増えていく

将来の売却価格を考えるうえで避けられないのが築年数です。

新築で購入したマンションも、20年後には築20年になります。

35年後には築35年です。

建物が古くなれば設備も老朽化します。

共用部分の修繕も必要になります。

一方で立地条件がよく、適切な維持管理が行われていれば、築年数が進んでも需要を維持する物件もあります。

つまり築年数だけで価格が決まるわけではありませんが、購入時と同じ条件の住宅を将来売却するわけではないことは確かです。

タワマンでは管理状態も重要になる

マンションの価値は専有部分だけで決まるものではありません。

エントランス、エレベーター、外壁、給排水設備など、建物全体の管理状態も重要です。

タワーマンションでは共用設備が多い物件もあります。

大規模修繕が適切に実施されているか。

修繕積立金が十分に確保されているか。

管理組合が適切に運営されているか。

こうした要素が中古住宅としての評価に影響する可能性があります。

購入時の眺望や間取りだけでなく、建物全体が長期間どのように維持されるかも出口価格に関係します。

周辺に新しいマンションができる可能性もある

現在は希少性の高いタワーマンションでも、将来周辺に新しい物件が供給される可能性があります。

新築マンションが増えれば、中古物件との競争が起こります。

一方、供給できる土地が限られた地域では、既存マンションの希少性が維持されることもあります。

どちらになるかは地域によって異なります。

現在人気が高いから将来も同じ需要が続くと決めつけることはできません。

金利も住宅価格に影響する

住宅価格と住宅ローン金利は無関係ではありません。

住宅ローン金利が低ければ、購入者は大きな金額を借りやすくなります。

反対に金利が大きく上昇すれば、同じ毎月返済額で借りられる金額は小さくなります。

その結果、高額物件を購入できる人が減る可能性があります。

将来マンションを売却するときの買い手も、多くの場合はその時点の住宅ローン環境の影響を受けます。

売却価格を考えるなら、自分が購入したときの金融環境だけを見ることはできません。

売却には費用もかかる

仮に住宅ローン残高と同じ価格でマンションを売却できたとしても、それだけで安心とは限りません。

不動産を売却するときには、仲介手数料などの費用が発生する場合があります。

条件によっては税金についても確認する必要があります。

例えば住宅ローン残高が5000万円で、マンションの売却価格も5000万円だったとします。

売却に伴う費用が発生すれば、手取り額は5000万円を下回ります。

出口戦略では売却価格ではなく、最終的に手元へ残る売却代金で考える必要があります。

売りたい時に売れるとは限らない

不動産は株式のように、売却注文を出せばすぐ現金になるとは限りません。

買い手を探す必要があります。

希望価格では買い手が見つからない場合もあります。

急いで売却する必要があれば、価格を下げなければならないことも考えられます。

特に最終返済日が決まっていて、その返済資金を売却代金だけに頼っている場合には、売却時期の自由度が小さくなります。

売却価格だけでなく、売却までに必要な時間も出口戦略の一部です。

売却価格を保守的に試算する

住宅売却を返済原資にするなら、1つの価格だけで計画しないことが重要です。

例えば1億円で購入したマンションについて、将来も1億円で売れるケースだけを考えるのではありません。

8000万円になった場合。

6000万円になった場合。

5000万円を下回った場合。

それぞれで住宅ローンを完済できるかを確認します。

さらに売却費用を差し引いた後でも返済できるかを見ます。

複数の価格を想定しておけば、どの程度の値下がりまで家計が耐えられるのかが分かります。

売却以外の資産を持っておく

売却を出口にする場合でも、住宅だけに返済を依存しない方法があります。

NISAなどを利用して金融資産を形成しておく。

預貯金を確保しておく。

退職金の一部を返済原資として残しておく。

複数の資金源があれば、住宅価格が想定より下がったときにも対応しやすくなります。

住宅価格が高ければ売却する。

価格が低ければ金融資産から一部を返済する。

こうした選択肢を持てることが、出口戦略の安全性につながります。

結論

タワーマンションを将来売却し、その代金で住宅ローンを返済することは、2階建て住宅ローンの出口戦略の1つになります。

しかし、購入価格と将来の売却価格は同じではありません。

築年数、管理状態、周辺の住宅供給、金利、景気などによってマンション価格は変化します。

さらに売却には費用がかかり、希望する時期に希望する価格で売れる保証もありません。

特に元金の50%を最後まで据え置く場合、1億円の借り入れなら5000万円という大きな残高が残ります。

重要なのは、タワマンだから将来も高く売れると考えることではありません。

価格が下がっても住宅ローンを返せるのか。

売却費用を差し引いても返済できるのか。

売却以外の返済資金を持っているのか。

将来の売却価格を前提に住宅ローンを組むなら、値上がりする場合ではなく、値下がりした場合まで考えておくことが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月17日 朝刊 タワマン購入へ「2階建て」ローン、月々の負担減に落とし穴

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