インフレ時代に子どものお金を預金だけで持つリスクとは何か 現金の実質価値が下がる仕組み編

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子どもの将来のためにお金を準備するとき、「元本を減らしたくないから預金で持っておこう」と考える家庭は多いでしょう。

教育資金のように将来必ず必要になるお金では、安全性は非常に重要です。

しかし、物価が継続的に上昇するインフレ時代には、預金だけで長期間お金を持つことにもリスクがあります。

口座残高が減らなくても、そのお金で買える商品やサービスが少なくなる可能性があるからです。

2027年1月から始まる「こどもNISA」を考えるうえでは、投資の価格変動リスクだけでなく、現金や預金を長期間保有するリスクについても理解する必要があります。

預金は金額が減らなくても価値が下がることがある

例えば子どものために100万円を預金したとします。

10年後も口座残高が100万円であれば、お金は減っていないように見えます。

しかし、その間に物価が上昇していれば事情は異なります。

現在100万円で購入できる商品やサービスが、10年後には120万円必要になるかもしれません。

その場合、預金残高は100万円のままでも、100万円で買えるものは少なくなっています。

これが現金の実質価値が下がるということです。

資産形成では、金額だけではなく購買力を見る必要があります。

教育費も物価上昇と無関係ではない

子どものために準備する代表的なお金が教育資金です。

大学の授業料。

入学金。

教材費。

受験費用。

通学費。

一人暮らしをする場合の住居費や生活費。

こうした費用も、将来ずっと同じ金額とは限りません。

0歳の子どもが大学へ進学するのは約18年後です。

現在の教育費を基準に必要額を計算しても、18年後には実際の負担額が増えている可能性があります。

長期間の教育資金準備では、現在の金額だけではなく将来の物価も意識する必要があります。

年2%の物価上昇でも長期間では差が大きくなる

インフレの影響は、1年間だけを見ると小さく感じるかもしれません。

例えば物価が毎年2%ずつ上昇するとします。

100万円の商品が翌年に約102万円になる程度であれば、大きな違いには見えません。

しかし、この状態が長期間続けば差は積み重なります。

単純な足し算ではなく、物価上昇が毎年積み重なっていくためです。

子どもの資産形成では10年、18年という長い期間を考えます。

長期になるほど、小さな物価上昇率でも購買力への影響は無視できなくなります。

預金金利が物価上昇率を下回れば実質的には目減りする

預金にも金利があります。

そのため、物価が上昇しても預金金利が同じ程度上昇すれば、購買力の低下をある程度補うことができます。

重要なのは、預金金利と物価上昇率の関係です。

例えば預金金利が1%で、物価が2%上昇しているとします。

預金残高は増えます。

しかし、物価の方が速く上昇しています。

この場合、名目上のお金は増えていても、実質的な購買力は低下することになります。

資産を守るとは、口座残高だけを守ることではありません。

そのお金で将来どれだけの商品やサービスを購入できるのかという視点も必要です。

投資すればインフレに必ず勝てるわけではない

ここで注意したいのは、インフレだから預金をやめてすべて投資すればよいという話ではないことです。

株式や投資信託には価格変動があります。

投資した100万円が90万円や80万円になることもあります。

投資をすれば必ず物価上昇率以上の収益を得られるという保証もありません。

特に短期間では、大きな損失が発生する可能性があります。

預金には価格変動が小さいという強みがあります。

投資には長期的な資産成長を期待できる一方で、価格変動を受け入れなければならないという特徴があります。

両方の性格を理解して使い分けることが重要です。

使う時期によって預金と投資を分ける

子どものお金を考えるときには、「いつ使うのか」で分ける方法があります。

例えば1年後に必要になる入学金を株式などで運用すれば、支払い直前に相場が下落する可能性があります。

こうした近い将来に必要になる資金は、現預金などで確保しておくことが重要です。

一方、0歳の子どもの大学資金など、10年以上使わない可能性がある資金については、一部を長期投資に回すことも考えられます。

使う時期が近いお金は守る。

使う時期が遠いお金は、一定の価格変動を受け入れながら育てる。

このように役割を分けることができます。

こどもNISAは時間を利用できる

こどもNISAの大きな特徴は0歳から利用できることです。

大学進学までなら約18年間あります。

18歳以降も通常のNISAへつなげれば、さらに長期間の資産形成が可能です。

投資には価格変動がありますが、長期間積み立てることで購入時期を分散することができます。

市場が高いときにも安いときにも継続して購入することで、一度に全額を投資する場合とは異なる形で価格変動と向き合うことができます。

長い時間を使える子どもだからこそ、長期、積み立て、分散投資という考え方を取り入れやすい面があります。

途中から現金へ移す考え方も重要

18年間投資するからといって、大学入学直前まで全額を投資し続ける必要はありません。

教育費として使う時期が近づいたら、必要な金額を少しずつ現金へ移す方法があります。

例えば大学入学まで5年になった段階から、必要額と運用状況を確認します。

相場が上昇している時期に一部を売却し、教育費として確保する方法もあります。

大学入学直前にすべて売却する必要はありません。

資産形成では、投資を始める方法だけでなく、いつ投資を終えて現金化するのかも重要です。

預金と投資は対立するものではない

資産形成の話では、預金と投資が対立するものとして語られることがあります。

しかし、家計には両方必要です。

預金には、必要なときにすぐ使えるという役割があります。

投資には、長期間にわたって資産を成長させることを目指す役割があります。

例えば教育費のうち、最低限必要になる金額は預金で準備します。

それを超える長期資金については、こどもNISAで運用します。

このように組み合わせれば、価格変動リスクとインフレによる購買力低下の両方を考えることができます。

子どもにもインフレを教えられる

インフレは、子どもの金融教育にも重要なテーマです。

例えば以前100円だった商品が110円になったとします。

なぜ同じ100円でも買えるものが変わるのか。

なぜお金を貯めるだけではなく、将来の価値について考える必要があるのか。

身近な商品の価格を使えば、子どもにも説明できます。

こどもNISAを通じて、投資だけではなく、お金そのものの価値が変化することを学ぶことができます。

金融教育とは、株価を予想する方法を教えることではありません。

お金の価値と経済の関係を理解することも重要な金融教育です。

結論

子どものためのお金を預金で準備することは、安全性という点で重要です。

しかし、インフレが続く環境では、預金残高が減っていなくても、そのお金の実質的な価値が低下する可能性があります。

特に0歳から大学進学までの約18年間という長い期間では、物価上昇の影響を考える必要があります。

一方、投資にも価格変動リスクがあります。

したがって、預金か投資かのどちらか一方を選ぶ必要はありません。

近い将来使う教育費は預金で守る。

長期間使わない余裕資金は、こどもNISAなどを利用して分散投資を検討する。

そして使う時期が近づけば、必要な資金を徐々に現金へ戻していく。

こうした使い分けが重要です。

インフレ時代の資産形成では、「お金を減らさない」だけでは十分ではありません。

将来、そのお金で何が買えるのかという実質的な価値まで考える必要があります。

こどもNISAは、子どもの将来のお金を預金と投資の両面から考え直すきっかけになる制度なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月29日 朝刊 「こどもNISA」を経済活性化の契機に

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