こどもNISAは金融教育にどう使えるのか 子どもと一緒に投資を学ぶ方法編

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2027年1月から始まる「こどもNISA」には、子どもの資産形成を支援するだけではない役割があります。

金融教育です。

子ども自身が投資資金を用意することは難しいため、実際には親や祖父母が資金を出す家庭が多いと考えられます。

しかし、大人だけが口座を管理し、子どもには何も知らせないまま18歳を迎えるのであれば、金融教育の機会を十分に生かしたことにはなりません。

自分のために積み立てられているお金がどこへ投資され、なぜ増えたり減ったりするのか。

成長に合わせて子どもと一緒に確認することで、こどもNISAは実際のお金を使った金融教育の教材になります。

お金は預金だけではないことを学べる

子どもがお金について最初に触れる場所は、現金や銀行預金であることが多いでしょう。

お年玉をもらう。

貯金箱へ入れる。

銀行口座へ預ける。

こうした経験から、お金は貯めるものだと学びます。

もちろん貯蓄は重要です。

しかし、社会には預金以外にもさまざまな金融商品があります。

株式。

債券。

投資信託。

こどもNISAをきっかけに、資産を貯める方法と育てる方法には違いがあることを学ぶことができます。

投資信託の仕組みを知ることから始める

こどもNISAでは、長期、積み立て、分散投資に適した投資信託などが中心になります。

投資信託は金融教育の題材にもなります。

例えば1つの投資信託を通じて、国内外の多くの企業へ投資する商品があります。

子どもには、いきなり難しい金融用語を教える必要はありません。

自分のお金の一部が、さまざまな会社へ投資されていることから説明できます。

普段使っている商品やサービスを提供する企業も、株式市場を通じて資金を集めています。

投資と実際の経済活動がつながっていることを知れば、金融市場を身近に感じられるようになります。

なぜ価格が毎日変わるのかを考える

投資を始めれば、資産額は増える日もあれば減る日もあります。

これは預金との大きな違いです。

例えば100万円だった評価額が95万円になることがあります。

反対に105万円になることもあります。

この値動き自体が金融教育になります。

なぜ価格が下がったのか。

企業の業績なのか。

景気なのか。

金利なのか。

為替なのか。

世界で起きた出来事なのか。

価格変動をきっかけに、経済や社会へ関心を広げることができます。

値下がりしたときこそ学ぶ機会になる

投資教育というと、資産が増えることばかり説明しがちです。

しかし、実際の投資では値下がりもあります。

むしろ資産が減ったときこそ、重要な金融教育の機会になります。

投資には元本保証がないこと。

価格は一直線に上昇するわけではないこと。

短期間の値動きと長期投資は分けて考えること。

資産を1つの商品だけに集中させないこと。

こうした基本を実際の値動きを見ながら学ぶことができます。

投資は必ずもうかるものだと教えるのではなく、利益と損失の両方があることを理解することが重要です。

積み立ての意味を実際に確認できる

こどもNISAの年間投資上限は60万円です。

毎月5万円ずつ積み立てれば年間60万円になります。

もちろん毎月1万円や2万円でも構いません。

毎月一定額を積み立てることで、資産が少しずつ増えていく過程を子どもと確認できます。

最初は数万円だった投資元本が、数年後には数十万円、数百万円になっていくことがあります。

短期間で大きくもうけるのではなく、長期間コツコツ積み上げることの意味を実際の数字で学ぶことができます。

分散投資の意味を教えられる

金融教育では、分散投資も重要なテーマです。

例えば1つの会社だけにすべてのお金を投資した場合、その会社の経営が悪化すると資産全体が大きな影響を受けます。

一方、多くの企業や国などへ分散して投資すれば、特定の企業だけに依存するリスクを抑えることができます。

これは投資だけの考え方ではありません。

「1つだけに頼らない」という考え方です。

こどもNISAを通じて、なぜ投資先を分けるのかを実際の資産を見ながら説明できます。

お金の目的を親子で考える

金融教育は、投資商品の知識だけではありません。

お金を何のために使うのかを考えることも重要です。

こどもNISAの資産を大学進学に使うのか。

留学に使うのか。

18歳以降も運用するのか。

将来の住宅取得まで残すのか。

子どもの年齢が上がったら、こうしたことを一緒に話すことができます。

お金を増やすこと自体が目的ではありません。

将来やりたいことを実現するために、お金をどのように準備するのかを考えることが金融教育の基本です。

12歳以降の払出しも教材になる

こどもNISAでは、一定の条件のもとで12歳から資金を引き出せる仕組みになります。

実際に教育費などのために取り崩す場合には、それも金融教育の機会になります。

例えば50万円を取り崩すとします。

なぜ今50万円が必要なのか。

投資資産を売却すると残高はどう変わるのか。

残った資産はどうするのか。

現金と投資資産をどう使い分けるのか。

資産形成だけでなく、資産を使う経験もお金について学ぶ重要な機会です。

18歳になったら本人へ引き継ぐ

こどもNISAは18歳になると通常のNISAへつながります。

このとき、それまで親がすべて管理してきた資産を突然本人へ渡すのではなく、段階的に理解してもらうことが重要です。

自分の資産はいくらあるのか。

これまでいくら投資してきたのか。

どれだけ運用益や損失が出ているのか。

どのような商品を保有しているのか。

なぜこの商品を選んだのか。

こうしたことを理解したうえで、本人が自分の判断で資産形成を続けられるようにすることが理想です。

親も一緒に学ぶ必要がある

こどもNISAによる金融教育は、子どもだけの問題ではありません。

親自身が投資について十分理解していない場合もあります。

子どもに説明しようとすると、自分が理解できていないことに気づくことがあります。

投資信託とは何か。

手数料はいくらなのか。

分散投資とは何か。

価格が下がったときにどう考えるのか。

NISAでは何が非課税になるのか。

子どもに説明するために親が学び直すことで、家族全体の金融知識を高めることができます。

こどもNISAは、親子の金融教育制度とも考えられます。

結論

こどもNISAの価値は、非課税で資産を増やせる可能性だけにあるわけではありません。

実際のお金を使って、子どもが投資や経済について学べることにも大きな意味があります。

預金と投資の違い。

投資信託の仕組み。

価格が変動する理由。

長期投資。

積み立て。

分散投資。

資産の取り崩し。

こうしたことを、自分の資産を見ながら学ぶことができます。

大切なのは、親や祖父母だけがこどもNISAを管理して、18歳になった日に突然資産を渡すことではありません。

子どもの成長に合わせて、自分のお金がどのように運用されているのかを少しずつ伝えていくことです。

0歳から始まるこどもNISAは、18年間の資産形成制度であると同時に、18年間かけてお金について学ぶ金融教育の場にもなり得るのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月29日 朝刊 「こどもNISA」を経済活性化の契機に

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