リゾート会員権の中古価格が上昇しています。
参考記事によると、8月の平均価格は404万円となり、前年同月より78万円、24%上昇しました。
1年間で24%も上昇したと聞けば、リゾート会員権を投資商品として考えたくなる人もいるかもしれません。
500万円で購入した会員権が将来600万円や700万円になれば、施設を利用しながら値上がり益も得られるように見えます。
しかし、リゾート会員権は株式や投資信託とは性格が大きく異なります。
中古価格が上昇しているからといって、値上がりを期待して購入するのは注意が必要です。
平均価格は404万円まで上昇した
参考記事によると、リゾート会員権の8月の平均価格は404万円でした。
前年同月から78万円上昇しています。
上昇率は24%です。
背景の1つとして考えられているのが、国内旅行への関心の高まりです。
円安になれば海外旅行の費用は大きくなりやすくなります。
その結果、国内旅行を選ぶ人が増えれば、国内のリゾート施設への需要も高まります。
さらにホテル料金そのものが上昇しているため、会員料金で宿泊できるリゾート会員権の割安感も強くなっています。
こうした複数の要因が中古会員権市場を支えていると考えられます。
ホテル代高騰が会員権の価値を高める
例えば一般ホテルなら1泊5万円かかる部屋を、会員なら2万円で利用できるとします。
差額は3万円です。
以前は一般ホテルが3万円だったなら、会員料金との差額は1万円しかありませんでした。
一般ホテルの料金が上がるだけで、会員料金の相対的な魅力は大きくなります。
そのためホテル代の高騰が続けば、リゾート会員権を購入したい人が増える可能性があります。
購入希望者が増えれば、中古市場の価格にも上昇圧力がかかります。
ホテル料金と中古会員権価格には、このような関係が生じる可能性があります。
円安も国内リゾートへの関心につながる
円安は海外旅行の費用にも影響します。
航空券だけでなく、海外のホテル代や食事代などの円換算額が大きくなります。
以前なら海外旅行を選んでいた人が、国内の温泉地やリゾート地へ旅行先を変更することも考えられます。
国内旅行の需要が高まれば、リゾート会員権にも関心が向かいます。
参考記事でも、円安基調が続き国内旅行が見直されていることなどが、会員権価格上昇の背景として挙げられています。
ただし、為替相場は常に変動します。
現在の円安を前提として、長期間の会員権価格を予測することはできません。
24%上昇が毎年続くわけではない
最も注意したいのが、直近の価格上昇をそのまま将来に当てはめないことです。
前年同月比24%上昇したからといって、翌年も24%上昇するわけではありません。
会員権価格は需要と供給によって変動します。
ホテル料金が落ち着けば、会員権の割安感が小さくなる可能性があります。
円高になれば海外旅行への需要が戻ることも考えられます。
景気が悪化すれば、高額な会員権を購入する人が減る可能性もあります。
現在の価格上昇には現在の環境が反映されているのであって、それが将来も続く保証はありません。
築年数とともに価格が下がる傾向もある
リゾート会員権には、時間の経過とともに価格が下がりやすいという特徴もあります。
参考記事によると、中古会員権の流通価格は施設の人気などを反映しながら、施設の築年数に合わせて緩やかに下落する傾向があります。
建物や設備が古くなるからです。
さらに新しいリゾート施設が開業すれば、利用者の関心が新施設へ移ることもあります。
現在人気のある施設が20年後も同じ人気を維持しているとは限りません。
長期的には建物の老朽化という価格下落要因があることを忘れてはいけません。
売りたいときにすぐ売れるとは限らない
株式であれば、市場が開いている時間に売却注文を出し、買い手がいれば売却できます。
リゾート会員権は同じようにはいきません。
購入希望者がいなければ売却できません。
価格を下げなければ買い手が見つからないこともあります。
さらに新しい施設では、転売目的の購入を防ぐため、3年から5年程度は名義変更や譲渡を禁止するケースが多いとされています。
つまり、購入後に会員権価格が上昇しても、売却そのものができない場合があります。
値上がり益を狙う商品としては大きな制約です。
保有しているだけでも費用がかかる
リゾート会員権では、保有期間中にも年会費や維持費などが発生する場合があります。
共有制なら固定資産税などが関係することもあります。
例えば500万円で購入した会員権を10年後に600万円で売却できたとします。
表面上は100万円の値上がりです。
しかし年間10万円の固定費を10年間支払っていれば、それだけで100万円になります。
さらに購入時や売却時の諸費用なども考える必要があります。
売却価格が購入価格を上回ったからといって、その差額がそのまま利益になるわけではありません。
平均価格の上昇と自分の会員権の上昇は別
中古会員権の平均価格が24%上昇したという数字を見ると、自分が購入する会員権も同じように上昇するように感じるかもしれません。
しかし平均価格と個別の会員権価格は別です。
人気施設の高額な会員権が値上がりする一方で、別の施設では価格が下落することも考えられます。
施設の立地や築年数、客室のグレード、利用条件などによって価格動向は異なります。
中古市場全体が上昇しているという情報だけで、個別の会員権の将来価格を判断することはできません。
投資ではなく利用価値を中心に考える
リゾート会員権の価値を考えるうえで重要なのは、値上がりするかどうかより、実際にどれだけ利用できるかです。
例えば500万円で購入した会員権が20年後に200万円まで下落したとします。
価格だけを見れば300万円の下落です。
しかし20年間で300泊利用していれば、価格下落分は1泊当たり1万円です。
一般ホテルを利用するより十分安く旅行できたのであれば、会員権価格が下がったとしても利用者にとって価値があったと考えることができます。
逆に価格が上昇しても、ほとんど施設を利用せず、年会費だけを払い続けたのであれば、本来の目的を十分に果たしたとはいえないでしょう。
値上がりは結果として考える
リゾート会員権を購入するときには、将来値上がりすることを前提に資金計画を立てないことが重要です。
購入価格が下がっても納得できるほど施設を利用する。
年間の維持費を無理なく負担できる。
長期間利用した後に価格が大きく下がっても生活に影響しない。
こうした前提で購入し、その結果として中古価格が維持されたり上昇したりすれば、資産価値が残ったと考える方が現実的です。
値上がり益を購入目的の中心にすると、市場環境が変わったときに想定が大きく崩れる可能性があります。
結論
リゾート会員権の中古価格は足元で上昇しており、参考記事によると8月の平均価格は404万円、前年同月比24%上昇しました。
ホテル代の高騰や円安を背景とした国内旅行への関心などが、会員権の需要を支えているとみられます。
しかし、この価格上昇が将来も続くとは限りません。
施設の築年数が進めば価格が下落する傾向があり、需要が減れば中古価格も下がります。
さらに売りたいときにすぐ売れるとは限らず、新施設では3年から5年程度の譲渡制限が設けられるケースもあります。
年会費や維持費などの保有コストも無視できません。
リゾート会員権は、値上がり益を狙って購入するより、自分や家族が実際に施設を利用することで価値を得る商品として考えることが重要です。
値上がりしたら得、値下がりしたら損というだけではありません。
何年間で何泊利用し、どれだけ充実した時間を過ごせたのか。
その利用価値を中心に考えることが、リゾート会員権との付き合い方では大切になります。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担