リゾート会員権には中古市場があり、既存の会員が保有する会員権を売買することができます。
参考記事によると、足元では会員権相場が上昇しています。8月の平均価格は404万円で、前年同月より78万円、24%上昇しました。
ホテル代の高騰や国内旅行への関心の高まりなどが追い風になっているとみられています。
しかし、すべての会員権が時間とともに値上がりするわけではありません。
一般的には、施設の築年数に合わせて中古会員権の価格は緩やかに下落する傾向があります。
なぜ、ホテルとして利用できる価値が残っていても会員権価格は下がるのでしょうか。
そこには建物の老朽化だけではない、リゾート会員権特有の事情があります。
会員権にも時間の経過による影響がある
リゾート会員権の価値は、施設を利用できる権利だけで決まるわけではありません。
どのような建物なのか。
客室や設備がどれくらい新しいのか。
施設が適切に維持されているのか。
こうした条件も中古価格に影響します。
新しく開業した施設であれば、客室やレストラン、温泉、プールなどの設備も新しいでしょう。
一方、開業から20年、30年と経過すれば建物や設備の老朽化が進みます。
そのため、他の条件が同じなら新しい施設の方が人気を集めやすくなります。
新しい施設との競争がある
築年数が古くなることで生じる問題は、単純な老朽化だけではありません。
リゾート施設は次々と新しく開業します。
新しい施設では、より広い客室や新しい設備、現代的なデザインなどが採用されることがあります。
例えば、20年前には珍しかった設備が現在では一般的になっていることもあります。
旅行者が新しい施設に魅力を感じれば、既存施設への需要は相対的に低下する可能性があります。
中古会員権の価格は需要と供給によって決まるため、購入希望者が減れば価格も下がりやすくなります。
築年数だけで価格が決まるわけではない
ただし、古い施設だから必ず価値が低いというわけではありません。
建物は適切に修繕や改装を行うことで長期間利用できます。
客室を改装する。
レストランを刷新する。
温泉やプールなどの設備を更新する。
共用部分を改修する。
こうした投資が継続的に行われれば、築年数が経過していても施設の魅力を維持できます。
逆に比較的新しい施設でも、管理や修繕が十分でなければ利用者からの評価が低下する可能性があります。
中古会員権を見るときには、築年数だけでなく施設の維持管理状況も確認することが重要です。
立地の価値は築年数とは別に残る
不動産と同じように、リゾート施設でも立地は重要です。
交通の便が良い。
人気観光地に近い。
温泉地にある。
海や山などの眺望に恵まれている。
こうした条件は建物が古くなっても簡単には変わりません。
特に新たな開発が難しい場所では、既存施設の立地そのものに希少性が生まれることもあります。
そのため、築年数が古くなっても人気が維持され、中古会員権の価格が比較的安定する施設も考えられます。
築年数だけで将来価格を予想することはできません。
会員権価格には利用価値も反映される
リゾート会員権は、純粋な不動産投資とは性格が異なります。
実際に施設を利用できることに大きな価値があります。
例えば、一般ホテルなら1泊5万円程度かかるような施設を会員価格で利用できるとします。
ホテル料金が上昇すれば、その利用権の価値は相対的に高まります。
建物が多少古くなっても、会員料金で宿泊できるメリットが大きければ、購入希望者が増える可能性があります。
近年のホテル代高騰がリゾート会員権の人気を押し上げているのも、こうした利用価値が改めて注目されているためと考えられます。
年会費が中古価格に影響することもある
中古会員権を購入すると、年会費や施設の維持費などを負担する場合があります。
購入価格が安くても、年間の固定費が高ければ購入希望者は慎重になるでしょう。
例えば中古価格が20万円でも、毎年15万円の固定費が必要なら、10年間で150万円の負担になります。
反対に、中古価格が300万円でも年間の固定費が比較的低く、利用価値が高ければ購入希望者が集まる可能性があります。
中古市場では購入価格だけでなく、保有後にどれだけお金がかかるかも価格形成に影響します。
利用条件の違いも価格を左右する
同じ施設でも、会員権の種類によって価格が違うことがあります。
利用できる客室のグレード。
年間の利用可能日数。
予約方法。
系列施設の相互利用。
こうした条件が違うからです。
広い客室を利用できたり、利用できる施設が多かったりする会員権には高い需要が集まりやすくなります。
逆に利用条件が限定されていれば、中古価格が低くなる可能性があります。
中古価格の違いを単純に築年数だけで説明できない理由です。
売りたい人が増えると価格は下がりやすい
リゾート会員権の中古価格は市場で決まります。
そのため、売却希望者が増えれば価格が下がる可能性があります。
例えば会員の高齢化によって旅行回数が減り、会員権を手放す人が増えることも考えられます。
子どもが会員権を引き継がず、相続後に売却するケースもあるでしょう。
購入希望者より売却希望者が多くなれば、価格には下落圧力がかかります。
リゾート会員権では建物の状態だけでなく、会員の年齢構成や世代交代なども長期的な中古市場に影響する可能性があります。
新施設には中古会員権が少ない
参考記事では、新施設について転売目的の購入を抑えるため、3年から5年程度は名義変更や譲渡を禁止するケースが多いとされています。
この場合、新しい施設の会員権を欲しい人がいても、中古市場にはなかなか商品が出てきません。
供給が限られれば、中古会員権が流通するようになったときに価格が高くなる可能性があります。
反対に、時間が経過して売却できる会員権が増えてくれば、供給量も増えます。
新築時の希少性が永遠に続くわけではありません。
これも築年数の経過と中古価格が関係する理由の1つです。
値下がり分を利用料と考える方法もある
リゾート会員権の価格が将来下落すると聞くと、損をするように感じるかもしれません。
しかし、会員権は実際に利用するための商品でもあります。
例えば300万円で購入した会員権を20年間利用し、最後に100万円で売却したとします。
価格だけを見れば200万円下落しています。
しかし、その20年間に家族で200泊利用したのであれば、価格下落分は1泊当たり1万円です。
この金額に年会費や宿泊料金などを加えて、一般ホテルを利用した場合と比較することができます。
会員権価格が下落したことだけで損得を判断するのではなく、保有期間中にどれだけ利用したかを含めて考えることが重要です。
結論
リゾート会員権の中古価格は、一般的に施設の築年数に合わせて緩やかに下落する傾向があります。
建物や設備が古くなることに加え、新しいリゾート施設との競争が生まれるためです。
しかし、築年数だけで中古価格が決まるわけではありません。
施設の立地、修繕や改装、客室のグレード、利用条件、系列施設の相互利用、年会費、そして市場の需要と供給など、多くの要素が価格に影響します。
重要なのは、購入価格が将来いくらになるかだけを考えないことです。
会員権は株式のように値上がり益だけを狙う商品ではなく、保有期間中に施設を利用することにも大きな価値があります。
購入価格と売却価格の差を、何年間で何泊利用できるのか。
その視点を持つと、中古会員権の価格下落も単なる損失ではなく、リゾートを利用するために負担したコストとして考えられるようになります。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担