新しく開業するリゾート施設の会員権は、設備が新しく人気も集まりやすいため、購入希望者が多くなることがあります。
人気が高ければ、中古市場に出したときに値上がりするのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、新しいリゾート会員権には購入後すぐに売却できないものがあります。
参考記事によると、新施設では転売目的の購入を抑えるため、3年から5年程度は名義変更や譲渡を禁止するケースが多いとされています。
つまり、購入後に会員権の市場価値が上昇しても、その期間中は自由に売却できない可能性があります。
なぜ、このような仕組みが設けられているのでしょうか。
会員権は自由に売買できるとは限らない
中古のリゾート会員権が市場で売買されていることから、購入した会員権はいつでも自由に売却できると思うかもしれません。
しかし、実際には会員権ごとに譲渡条件があります。
特に新しく販売された会員権では、一定期間の名義変更や譲渡を制限することがあります。
例えば購入後5年間は第三者へ譲渡できないという条件があれば、その期間中に売りたいと思っても原則として自由に売却することはできません。
株式のように、市場価格を見ながらいつでも売買できる商品とは大きく異なります。
なぜ転売を防ぐ必要があるのか
新しいリゾート施設は注目を集めやすく、人気施設では会員権の購入希望者が多くなることがあります。
もし購入直後から自由に転売できれば、施設を利用する目的ではなく、値上がり益だけを狙って購入する人が増える可能性があります。
例えば500万円で購入した会員権を、人気が高まったところで700万円で売却することを目的に購入するようなケースです。
こうした転売目的の購入が増えると、本当に施設を利用したい人が新規募集で購入しにくくなる可能性があります。
そこで一定期間の譲渡を制限し、短期的な転売を抑える仕組みが設けられることがあります。
会員制ホテルは利用者との長期的な関係を重視する
一般のホテルでは、宿泊するたびに利用者が変わります。
一方、会員制ホテルでは同じ会員が長期間にわたって施設を利用することが想定されています。
運営会社にとって重要なのは、会員権を短期間で売買する人を増やすことではなく、実際に施設を利用する会員を確保することです。
会員が家族旅行などで継続的に施設を利用すれば、宿泊料金だけでなく、レストランやゴルフ場などの付帯施設の利用にもつながります。
会員と施設との長期的な関係を作るという意味でも、短期間の転売を制限する合理性があります。
3年から5年は意外に長い
3年から5年という期間は、購入するときにはそれほど長く感じないかもしれません。
しかし、生活環境は数年間でも変わることがあります。
転勤する。
仕事が忙しくなる。
子どもが成長して家族旅行が減る。
旅行の好みが変わる。
こうした変化によって、購入した会員権をほとんど利用しなくなる可能性があります。
それでも譲渡制限期間中なら、すぐに売却できない場合があります。
購入時には、少なくとも譲渡制限期間中は保有を続けられるかを考えておく必要があります。
売れなくても維持費は続く可能性がある
さらに重要なのが、譲渡できない期間でも年会費や維持費などが発生する可能性があることです。
例えば年間10万円の固定費があり、5年間売却できないとします。
その間まったく利用しなくても、単純計算では50万円の固定費を負担することになります。
共有制なら、不動産を保有することによる税負担が関係する場合もあります。
利用しなくなったからすぐ手放せばよいという考え方が通用しないことがあるのです。
会員権の購入では、入口の価格だけでなく出口までの期間も確認する必要があります。
値上がりしても利益を確定できない
例えば500万円で購入した会員権の中古市場での評価が、3年後に700万円相当になったとします。
数字だけを見れば200万円の値上がりです。
しかし、5年間の譲渡制限があれば、その時点では売却できません。
5年後に譲渡できるようになったとき、価格が700万円のままとは限りません。
600万円になっているかもしれませんし、500万円を下回っている可能性もあります。
値上がりしているということと、その価格で実際に売却して利益を確定できるということは別なのです。
これがリゾート会員権を投資目的で購入するリスクの1つです。
新施設の中古流通量が少ない理由にもなる
譲渡制限は中古市場にも影響します。
新施設の会員権が購入後3年から5年間売却できなければ、その期間は中古市場への供給が限られます。
欲しい人が多いのに中古会員権がほとんど出てこない状態になることがあります。
そのため、譲渡が解禁された直後には中古価格が注目されることもあるでしょう。
ただし、複数の既存会員が同時に売却を希望すれば、中古市場への供給が一気に増える可能性もあります。
流通量が少ないことだけを理由に、将来価格が上昇すると考えるのは危険です。
名義変更とは何か
リゾート会員権を中古で売買するときには、会員の名義を購入者へ変更する手続きが必要になる場合があります。
これが名義変更です。
単に売り手と買い手の間で代金をやり取りすれば終わるわけではありません。
運営会社が定めた手続きを行い、新しい所有者や会員として認められる必要があります。
その際、名義変更料などが必要になることもあります。
したがって、中古会員権を売買するときには売買価格だけでなく、名義変更の条件や費用も確認する必要があります。
家族への承継も確認しておく
第三者への売却だけでなく、家族への名義変更についても確認しておくとよいでしょう。
長期間保有する会員権では、親から子へ引き継ぐことがあります。
参考記事では、リゾート会員権を親族に譲渡したり、相続したりするケースが増えていることが紹介されています。
ただし、家族間の名義変更についてどのような条件があるかは会員権によって異なります。
第三者への譲渡制限と親族間の承継が同じ扱いとは限りません。
将来的に家族へ引き継ぐ可能性があるなら、購入時に承継条件まで確認しておくことが大切です。
購入前に出口条件を確認する
リゾート会員権を購入するときには、施設の豪華さや宿泊料金に目が向きやすくなります。
しかし、それと同じくらい重要なのが売却条件です。
いつから第三者へ売却できるのか。
名義変更にはどのような条件があるのか。
名義変更料はいくらか。
家族への承継は可能なのか。
こうした点を購入前に確認しておく必要があります。
会員権は長期間保有することを前提とした商品ですが、人生には予定外の変化もあります。
必要になったときにどのように手放せるのかを知っておくことは重要です。
結論
新しいリゾート会員権では、短期的な転売を防ぐため、3年から5年程度は名義変更や譲渡を禁止するケースがあります。
これは、値上がり益だけを狙った購入を抑え、実際に施設を利用する会員を確保するための仕組みと考えられます。
購入者にとって重要なのは、譲渡制限期間中は自由に売却できない可能性があることです。
生活環境が変わって施設を利用しなくなっても、すぐに手放せるとは限りません。
その間も年会費や維持費などの負担が続く可能性があります。
また、市場価格が上昇しても、売却できなければその値上がりを利益として確定することはできません。
リゾート会員権を購入するときには、いくらで買えるかだけではなく、いつ、どのような条件で売れるのかを確認することが重要です。
買う前に出口を見る。
これは長期間保有するリゾート会員権だからこそ、特に大切な視点です。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担