住宅ローンの借り換えは金利上昇時代でも有効なのか 金利差だけで判断してはいけない理由編

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住宅ローン金利が上昇すると、現在借りている住宅ローンを別の金融機関へ借り換えた方がよいのではないかと考える人もいるでしょう。

借り換えとは、新しい金融機関で住宅ローンを組み、その資金で現在の住宅ローンを完済する方法です。

より低い金利の住宅ローンへ借り換えることができれば、将来の利息負担を減らせる可能性があります。

また、変動金利から固定金利へ借り換えることで、将来の金利上昇リスクを抑える方法もあります。

しかし、借り換えでは新しい住宅ローンを組むため、さまざまな費用が発生します。

金利だけを比較して借り換えを判断すると、思ったほど効果が得られないことがあります。

住宅ローンの借り換えとは何か

住宅ローンの借り換えでは、現在住宅ローンを借りている金融機関とは別の金融機関から新たに融資を受けます。

その資金を使って、現在の住宅ローンを一括返済します。

その後は、新しい金融機関に住宅ローンを返済していきます。

例えば現在2%の住宅ローンを利用している人が、1.5%の住宅ローンへ借り換えることができれば、金利差によって将来の利息負担を減らせる可能性があります。

ただし、実際にどれだけ得になるかは住宅ローン残高や残りの返済期間によって変わります。

借り換え効果は住宅ローン残高で変わる

借り換えを考えるうえで重要なのが住宅ローン残高です。

住宅ローン残高が大きいほど、わずかな金利差でも利息負担の差が大きくなりやすくなります。

例えば残高が4,000万円ある場合と500万円の場合では、同じ0.5%の金利差でも借り換えによる効果は大きく違います。

住宅ローン残高が少なくなっている場合には、金利が多少低くなっても削減できる利息は限定的です。

そのため、借り換えでは現在の金利だけではなく、残っている元本がいくらなのかを見る必要があります。

残りの返済期間も重要になる

住宅ローンの残存期間も借り換え効果を左右します。

残り30年の住宅ローンと残り5年の住宅ローンでは、金利差の影響を受ける期間が違います。

残存期間が長ければ、新しい金利が適用される期間も長くなるため、金利差による効果が大きくなる可能性があります。

一方、完済まであと数年という場合には、借り換えによって削減できる利息より、借り換えに必要な費用の方が大きくなることもあります。

住宅ローン残高と残存期間はセットで確認することが重要です。

借り換えには諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えで見落としやすいのが諸費用です。

新しい住宅ローンを組むため、金融機関に支払う事務手数料などが発生します。

さらに、現在の抵当権を抹消し、新しい金融機関の抵当権を設定するための登記関係費用も必要になります。

司法書士への報酬などが発生する場合もあります。

現在の住宅ローンを繰上完済する際に手数料が必要となるケースもあります。

借り換えによって100万円の利息を減らせても、諸費用が70万円かかれば、実質的な効果は30万円です。

金利だけではなく、借り換え費用まで含めて比較する必要があります。

金利差が大きければ必ず得とは限らない

借り換えを考えるとき、「現在の住宅ローンとの金利差が何%以上なら得なのか」という基準を知りたくなるかもしれません。

しかし、一律に何%以上なら有利と決めることはできません。

同じ金利差でも、住宅ローン残高、残存期間、諸費用によって効果が違うからです。

また、現在の住宅ローンと借り換え後の住宅ローンで金利タイプが違えば、単純比較はさらに難しくなります。

例えば現在の変動金利から全期間固定金利へ借り換える場合、借り換え直後の金利が高くなることもあります。

それでも将来の金利上昇リスクを抑えることを目的に借り換えるのであれば、意味は異なります。

変動金利から固定金利への借り換えもある

借り換えの目的は、必ずしも金利を下げることだけではありません。

金利上昇局面では、変動金利から固定金利へ借り換えることで将来の返済額を安定させる方法もあります。

この場合、借り換え直後の金利が現在より高くなる可能性があります。

つまり、毎月返済額が増えることもあります。

その代わり、全期間固定型などへ借り換えれば、その後の金利上昇リスクを抑えることができます。

これは利息を減らすための借り換えというより、将来の金利変動リスクを小さくするための借り換えです。

借り換えの目的を明確にすることが重要です。

借り換えでは新たな審査がある

住宅ローンの借り換えでは、新しい金融機関による審査があります。

現在住宅ローンを返済できているからといって、必ず借り換えできるわけではありません。

住宅ローンを借りたときから年齢が上がっていたり、収入や勤務状況が変化していたりすることがあります。

健康状態によっては、新しい団体信用生命保険への加入が難しくなる場合もあります。

そのため、将来借り換えればよいと考えて住宅ローンを組むことにも注意が必要です。

借り換えという選択肢が将来必ず利用できるとは限りません。

団体信用生命保険も比較する

借り換えでは、金利以外にも確認したい項目があります。

その1つが団体信用生命保険です。

住宅ローン商品によって、死亡や高度障害だけでなく、がんや特定疾病などに対する保障内容が異なります。

借り換えによって金利が下がっても、現在の住宅ローンについている保障がなくなったり、新しい保障内容が変わったりすることがあります。

反対に、新しい住宅ローンへ借り換えることで保障内容を充実させられる場合もあります。

住宅ローンは金利だけの商品ではありません。

保障内容も含めて比較することが重要です。

総返済額で比較する

借り換えを判断するときに最も重要なのは、借り換え前後の総負担額を比較することです。

現在の住宅ローンをそのまま返済した場合、今後いくら支払うのか。

借り換えた場合、新しい住宅ローンの元利返済額はいくらになるのか。

さらに、事務手数料や登記関係費用などを加えると総額はいくらになるのか。

これらを比較して初めて、借り換えの経済的な効果が分かります。

毎月返済額だけが下がっても、返済期間を延ばしたことで総返済額が増える場合もあります。

借り換えでは、毎月の返済額と総返済額の両方を見ることが必要です。

結論

住宅ローンの借り換えは、金利上昇時代でも有効な選択肢になる場合があります。

より低い金利へ借り換えることで利息負担を減らしたり、変動金利から固定金利へ変更することで将来の金利上昇リスクを抑えたりすることができます。

しかし、金利差だけを見て借り換えを判断してはいけません。

住宅ローン残高、残存期間、事務手数料、登記関係費用、団体信用生命保険などを含めて比較する必要があります。

また、借り換えでは新たな住宅ローン審査があるため、将来いつでも利用できるとは限りません。

重要なのは、現在の金利と借り換え後の金利だけを比べることではありません。

現在の住宅ローンをそのまま返済した場合と、借り換えた場合の総負担額を比較することです。

金利上昇時代の借り換えでは、「金利が何%下がるか」ではなく、「最終的に家計の負担と金利変動リスクがどう変わるか」を見ることが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日 朝刊 住宅ローン金利上昇に備え 借入額抑制や貯蓄が重要に

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