オルタナ投資は暴落時にも強いのか 値下がりしていないように見えることと安全性は違う理由編

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株式市場が大きく下落したとき、オルタナティブ資産の価格がそれほど下がっていないように見えることがあります。

例えば、株式が短期間で20%下落しているのに、PEや非上場不動産などの評価額はほとんど変わっていないということがあります。

この数字だけを見ると、

「オルタナ投資は暴落に強い」

と感じるかもしれません。

しかし、ここには注意が必要です。

オルタナ資産には毎日の市場価格がないものが多く、株式市場の変化が評価額へ反映されるまで時間がかかる場合があります。

値下がりしていないように見えることと、本当に資産価値が下がっていないことは同じではありません。

上場株式は悪材料をすぐ価格に反映する

上場株式は証券取引所で日々売買されています。

景気後退への懸念が強まる。

企業業績の悪化が予想される。

金利が急上昇する。

金融危機が発生する。

こうした変化が起きれば、多くの投資家が売買し、その結果が株価へ素早く反映されます。

そのため、市場が混乱すると株価は短期間で大きく下落することがあります。

これは上場株式にリスクがあることを示すと同時に、リスクが価格としてすぐ見えるということでもあります。

オルタナ資産は毎日価格がつくとは限らない

一方、PEが保有する非上場株式や現物不動産などには、上場株式のような毎日の市場価格がありません。

一定期間ごとに評価額を算定する場合があります。

例えば株式市場が今月20%下落しても、オルタナ資産の評価が3カ月ごとであれば、直前の評価額がそのまま表示されることがあります。

画面上では、

株式は20%下落

オルタナ資産はほぼ横ばい

という状態になるかもしれません。

しかし、それだけでオルタナ資産が市場混乱の影響を受けていないとは判断できません。

100のままでも価値が100とは限らない

例えば、上場株式と非上場資産をそれぞれ100万円保有していたとします。

金融市場が急落し、上場株式はすぐ80万円になりました。

一方、非上場資産の評価額は100万円のままだったとします。

数字だけを見ると、非上場資産は損失を回避したように見えます。

しかし、その日に非上場資産を売却した場合、本当に100万円で売れるかは別の問題です。

市場環境が悪化していれば、実際の買い手が提示する価格は90万円や80万円かもしれません。

表示されている評価額と、その時点で売却できる価格が一致するとは限らないのです。

評価の遅れによって暴落が後から見えることがある

オルタナ資産では、市場環境の悪化が遅れて評価額へ反映されることがあります。

株式は1日で大きく下落する。

非上場資産は数カ月後の評価で徐々に下落する。

このような違いが生じれば、最終的には両方の資産価値が低下していても、下落する時期が違って見えます。

株式市場の暴落直後だけを比較すると、オルタナ資産の方が安定しているように見える可能性があります。

重要なのは、同じ日の価格だけではなく、その後の評価額まで含めて確認することです。

PEも景気悪化の影響を受ける

PEの投資先は非上場企業ですが、企業であることに変わりはありません。

景気が悪化すれば売上高が減少する可能性があります。

利益が減ることもあります。

借入金を多く利用していれば、金利上昇によって利払い負担が増えることもあります。

上場していないから景気の影響を受けないわけではありません。

市場価格が毎日表示されていないため、その影響が見えにくいだけの場合があります。

不動産も暴落と無関係ではない

不動産も同じです。

株式市場が下落しているときでも、建物そのものが突然なくなるわけではありません。

入居者が家賃を払い続ければ、賃料収入を得ることもできます。

この点では株式とは異なる収益源を持っています。

一方、景気が悪化すれば空室が増える可能性があります。

賃料が下落することもあります。

金利上昇によって不動産価格に下落圧力がかかる場合もあります。

不動産が株式と違う値動きをする可能性があることと、暴落の影響を受けないことは別です。

危機時には相関が高まることもある

平常時には異なる値動きをしている資産でも、大きな金融危機などが起きると同時に悪化する場合があります。

企業業績が悪化する。

信用環境が厳しくなる。

資金調達が難しくなる。

投資家が現金を必要とする。

こうした状況は、複数の資産へ同時に影響する可能性があります。

平常時の相関係数が低かったからといって、危機時にも同じ分散効果が得られるとは限りません。

分散投資では、通常時だけでなく危機時にどうなるかを見ることが重要です。

売れないことが価格下落を見えなくする場合もある

市場が混乱したときには、流動性そのものが低下する可能性があります。

上場株式なら、価格を下げれば買い手が見つかる可能性があります。

一方、非上場資産では取引自体が少なくなる場合があります。

取引が成立しなければ、新しい市場価格も確認できません。

その結果、価格が下がっていないように見えることがあります。

しかし、これは資産価値が守られているのではなく、価格を確認できる取引がないだけかもしれません。

「売れないから値下がりが見えない」という状態には注意が必要です。

暴落時に重要なのは換金性でもある

個人投資家にとっては、価格だけではなく換金性も重要です。

市場が混乱すると、急に現金が必要になることがあります。

そのとき、オルタナ商品を解約できなければ、別の資産を売却する必要があります。

もし上場株式が大きく値下がりしていれば、安い価格で株式を売却して現金を確保しなければならない可能性があります。

オルタナ資産そのものの評価額が下がっていなくても、資産全体では流動性の問題が発生することがあるのです。

本当の分散効果を考える

オルタナ投資には、株式や債券とは異なる収益源を持つ資産へ投資できるという意味があります。

その結果、本当に異なる経済要因によって収益が生まれるのであれば、暴落時にも一定の分散効果を発揮する可能性があります。

しかし、

価格評価の頻度が低いから値動きが違って見える

というだけでは、本当の分散とはいえません。

重要なのは価格表示の違いではなく、資産価値を決める要因そのものがどれだけ異なっているかです。

結論

オルタナ投資は、株式市場が暴落したときにも価格が安定しているように見えることがあります。

しかし、それだけで「暴落に強い」と判断することはできません。

PEや非上場不動産などでは毎日の市場価格がなく、株式市場の悪化が評価額へ反映されるまで時間がかかる場合があります。

また、取引そのものが少なくなり、実際にいくらで売却できるのか分からなくなることもあります。

もちろん、株式とは異なる収益源を持つオルタナ資産が、本当の分散効果をもたらす場合もあります。

重要なのは、「価格が下がっていないか」だけを見ることではありません。

なぜ下がっていないのかを見ることです。

値下がりしていないことと、値下がりがまだ数字に表れていないことを区別する。

それが、暴落時のオルタナ投資を評価するときに特に重要なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 何のためのオルタナ投資か

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