2027年4月の税率変更前後ではどの税率を使うのか 予約販売や定期便の経過措置編

税理士
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2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率1%への引下げが実施されると、現在8%の対象商品は原則として1%へ変わります。

そこで問題になるのが、税率変更の前後をまたぐ取引です。

2027年3月に注文して4月に商品を受け取った場合は8%なのか1%なのか。

毎月食品が届く定期便は、いつから1%になるのか。

税率変更前に申し込んだカタログ販売はどうなるのか。

税率を変更するときには、こうした取引を処理するための経過措置が重要になります。

基本は商品の引渡し時期を考える

物品の販売にかかる消費税では、基本的に商品の引渡しが行われた時点が重要になります。

例えば2027年3月に注文した商品でも、商品の引渡しが税率変更後になる場合、新しい税率が適用されることがあります。

単純に注文した日の税率を使えばよいわけではありません。

予約日、注文日、支払日、発送日、引渡日が異なる取引では、どの時点で消費税上の取引が行われたと考えるのかを確認する必要があります。

3月に注文して4月に届く商品はどうなるのか

例えば、税抜価格10,000円の食品を2027年3月25日に注文し、4月5日に受け取ったとします。

単純計算では8%なら税込10,800円です。

1%なら税込10,100円です。

差は700円になります。

税率変更をまたぐだけで大きな金額差が生じます。

ただし、実際にどの税率が適用されるかは最終的な制度や経過措置によって確認する必要があります。

今回の税率変更では、こうした施行日前後の取引について明確なルールを設けることが重要になります。

経過措置とは何か

経過措置とは、制度が変更されるときに旧制度と新制度を円滑につなぐための特別なルールです。

ある日を境にすべての取引を機械的に新制度へ切り替えると、すでに契約済みの取引や長期間継続している取引で混乱することがあります。

そこで一定の条件を満たした取引について、制度変更後も旧税率を適用するなどの特例を設けることがあります。

税率変更そのものだけでなく、どの取引に経過措置が設けられるのかを確認する必要があります。

定期便では毎回の取引時期が問題になる

米や飲料、冷凍食品などを毎月届けてもらう定期便を利用している人もいます。

例えば2026年に1年間の定期購入を申し込み、2027年4月以降も毎月商品が届くケースです。

契約したのは税率変更前でも、実際の商品提供は税率変更後まで続きます。

こうした継続的な取引では、どの時点の税率を適用するのかが重要になります。

契約日だけを見るのではなく、商品の引渡し時期や経過措置の要件を確認する必要があります。

カタログ販売には特別な問題がある

カタログ販売では、事業者があらかじめ商品の価格を掲載し、その価格を前提に消費者が注文します。

税率変更前に大量のカタログを作成して配布している場合、税率変更後に価格を簡単に書き換えることはできません。

そのため税率変更時には、一定のカタログ販売などについて経過措置を設けることが検討されます。

今回の飲食料品1%への引下げでも、指定日前に条件を満たした取引について旧税率8%を適用する経過措置案が重要になります。

指定日が重要になる

経過措置では施行日だけでなく指定日という日付が設定されることがあります。

今回の制度では、2027年1月1日を指定日とする案があります。

このような仕組みでは、指定日前にどのような契約や販売条件が成立していたのかによって、経過措置を利用できるかどうかが変わる可能性があります。

2027年4月1日だけを覚えておけばよいわけではありません。

事業者にとっては、その前に設定される指定日も重要になります。

旧税率8%が残る取引が出る可能性

飲食料品の税率が1%になったからといって、2027年4月1日以降のすべての食品取引が必ず1%になるとは限りません。

経過措置の対象となれば、一定の取引について旧税率8%が適用される可能性があります。

その場合、施行直後には同じ食品分野でも1%と8%が併存する場面が生じます。

さらに酒類などの標準税率10%の商品もあります。

つまり移行期には、取引によって1%、8%、10%を区別しなければならない可能性があります。

事業者のシステム対応は複雑になる

この問題は通販会社だけではありません。

小売業、卸売業、食品メーカーなど幅広い事業者に関係します。

商品マスターでは1%と10%を管理する。

経過措置の対象取引では8%も処理する。

請求書やインボイスでも適用税率を正しく表示する。

会計システムでも税率ごとに区分する。

施行直後は通常時より複雑な税率管理が必要になる可能性があります。

消費者も税込価格を確認する必要がある

消費者側でも、税率変更前後では注意が必要です。

同じ商品でも、購入時期や取引条件によって税込価格が異なるケースが考えられます。

特に予約販売や定期便では、申込時に表示された価格と税率変更後の価格がどのような関係になるのかを確認しておくことが重要です。

事業者がどの税率を適用し、最終的にいくら支払うのかを見る必要があります。

税率だけでなく税込価格を確認することが基本になります。

2029年には逆方向の問題が起きる

今回の飲食料品1%は2年間限定として予定されています。

そのため2027年4月の引下げだけでなく、2029年に制度を終了するときにも同じような問題が起こります。

今度は1%から税率を戻す方向の変更です。

予約販売。

定期便。

継続契約。

カタログ販売。

こうした取引について、再び税率変更前後の処理が必要になります。

2年間の時限措置は、制度開始時と終了時の2回にわたって事業者に対応を求めることになります。

結論

2027年4月から飲食料品の消費税率が8%から1%へ引き下げられる場合、重要になるのが税率変更前後をまたぐ取引です。

3月に注文して4月に商品を受け取る。

税率変更前から定期便を契約している。

以前配布されたカタログを使って注文する。

こうした取引では、単純に注文日の税率だけで判断できるとは限りません。

商品の引渡し時期や、最終的に定められる経過措置を確認する必要があります。

特に一定のカタログ販売などについて旧税率8%を適用する経過措置が設けられれば、移行期には1%、8%、10%という複数の税率を扱う可能性があります。

さらに2年間の時限措置であるため、2029年の制度終了時にも再び税率変更への対応が必要になります。

消費税率の変更は、施行日に数字を入れ替えるだけではありません。

制度変更の前後にある取引をどの税率で処理するのかという経過措置まで理解して、初めて実務全体が見えてきます。

参考

日本経済新聞 2026年9月20日 朝刊 消費減税、類似品に差
国税庁 消費税の軽減税率制度

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