税務相談は誰にでもできるわけではない 初の行政命令が示した重要なメッセージ

税理士
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税金は私たちの生活や仕事に深く関わっています。そのため、「少しでも税金を安くしたい」「還付金を受けたい」と考えるのは自然なことです。

しかし、その気持ちにつけ込んで、資格を持たない人が誤った税務アドバイスを行い、不適切な申告へと導くケースが問題となっています。

2026年6月、国税庁は税理士資格を持たない人物に対して、税務相談の停止などを命じる行政処分を初めて行いました。

このニュースは、一人の無資格者が処分されたというだけではありません。SNS時代の税務リスクや、私たちが税務相談を受ける相手を慎重に選ぶ必要性を改めて示した出来事といえるでしょう。

初めて発動された税理士法の新しい命令制度

今回処分を受けた人物は、SNSを利用して多数の顧客を集め、税理士資格がないにもかかわらず税務相談を行っていました。

その内容は、給与所得しかない人に対して、実態のない事業所得の損失を計上させ、所得税の還付を受けられるよう指導したというものです。

このような行為は、本来納めるべき税金を不当に減らすものであり、適正な申告制度そのものを揺るがしかねません。

国税庁は、

  • 税務相談の停止
  • 税務相談に関する広告の削除

を命じました。

これは令和5年度税制改正で創設された制度に基づく、全国で初めての行政命令となりました。

なぜ行政命令という仕組みが作られたのか

従来も税理士法違反には刑事罰がありました。

しかし、刑事事件として処理するには時間がかかり、その間にも違法な営業が続く恐れがありました。

そこで新たに設けられたのが、行政命令によって迅速に違法な税務相談を止める仕組みです。

新制度では、

  • 税務相談の停止命令
  • 違法広告の削除命令
  • 国税庁による調査権限
  • 命令内容の公告

などが可能になりました。

さらに、命令に従わない場合には刑事罰の対象となります。

行政と刑事の両面から違法行為を抑止する体制が整備されたことになります。

SNS時代だからこそ広がる税務リスク

今回の特徴は、集客手段がSNSだったことです。

近年では、

「簡単に税金が戻る」

「誰でも○十万円還付」

「知らないと損する裏ワザ」

などといった刺激的な広告がSNS上に数多く見られます。

もちろん、正しい情報を発信している専門家も多くいます。

しかし、中には専門資格を持たず、誤った節税方法を紹介しているケースも存在します。

SNSでは情報が短時間で拡散するため、一度話題になると多くの人が「本当なのだろう」と信じてしまいます。

税金の制度は非常に細かく、個々の事情によって判断が変わるため、インターネット上の一般論だけで申告を行うことは大きなリスクを伴います。

誤った申告で困るのは納税者自身

違法なアドバイスを受けて申告した場合でも、最終的な申告責任は納税者本人にあります。

もし税務調査で誤りが判明すれば、

  • 本来の税金
  • 延滞税
  • 加算税

などを納める必要が生じる場合があります。

「専門家が言っていたから」

「SNSで紹介されていたから」

という理由だけでは責任を免れることはできません。

そのため、申告前に十分確認することが何より重要になります。

安心して税務相談を受けるためのポイント

税務相談を受ける際には、次の点を意識すると安心です。

まず、本当に税理士資格を持っているかを確認することです。

税理士は法律に基づく国家資格であり、税務相談や税務代理を行うことが認められています。

また、極端な節税効果ばかりを強調する説明には注意が必要です。

「絶対」「必ず」「誰でも」といった表現を多用する説明は、税務の世界ではほとんど存在しません。

さらに、十分な説明を行い、リスクについてもきちんと説明してくれる専門家を選ぶことが大切です。

信頼できる専門家ほど、メリットだけでなくデメリットも丁寧に説明します。

税理士制度が社会に果たす役割

税理士制度は、税理士を守るためだけに存在しているわけではありません。

本来の目的は、納税者が安心して相談できる環境を整え、公平で適正な税務行政を支えることにあります。

税金は社会保障や公共サービスを支える重要な財源です。

一部の不正な申告が横行すれば、真面目に納税している人との公平性が失われ、税制度そのものへの信頼も損なわれます。

今回の行政命令は、その信頼を守るための第一歩ともいえるでしょう。

結論

今回の国税庁による初の行政命令は、単なる一事例ではなく、SNS時代の税務相談のあり方に警鐘を鳴らす重要な出来事でした。

税金は専門性が高く、個々の事情によって結論が大きく変わる分野です。だからこそ、「簡単に節税できる」「すぐに還付金が受けられる」といった甘い言葉に流されず、信頼できる有資格者に相談することが重要です。

正しい知識と適切な専門家選びは、将来の税務トラブルを防ぐ最も確実な方法です。情報があふれる時代だからこそ、「誰から情報を得るか」という視点を持つことが、これまで以上に求められているのではないでしょうか。

参考

税のしるべ
「税理士等でない者が税務相談を行ったとして国税庁が税務相談の停止などを初命令、SNSで多数の顧客を集客」
2026年7月6日掲載

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