2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率1%への引下げが実施されると、スーパーやコンビニだけでなく、インターネット通販や定期購入などにも影響します。
ここで重要なのは、消費税率は原則として店頭で買ったかインターネットで買ったかだけで決まるものではないということです。
同じ食品なら、店頭販売でも通信販売でも基本的な税率区分の考え方は共通します。
一方、ふるさと納税の返礼品は通常の商品購入とは仕組みが異なります。
食品を受け取るという点では似ていますが、通販で食品を購入する場合と同じように考えることはできません。
通販だから税率が変わるわけではない
まず食品通販について考えてみます。
インターネットで米や肉、魚、野菜、菓子などを注文することは一般的になりました。
こうした取引でも、販売されているものが軽減税率の対象となる飲食料品であれば、現在は原則8%です。
予定されている制度が実施されれば、対象となる飲食料品について1%になると考えるのが基本です。
店頭販売か通信販売かという販売方法そのものが、食品の税率を決めるわけではありません。
定期購入の食品も基本的な考え方は同じ
毎月決まった商品が届く定期購入もあります。
例えば米、飲料、健康食品、冷凍食品などを定期的に届けてもらうサービスです。
これも商品そのものが飲食料品に該当するのであれば、基本的には飲食料品として扱われます。
したがって、税率1%への引下げが実施されれば、対象となる食品の定期購入にも影響します。
ただし、制度開始前から契約している定期購入については、いつの取引から新しい税率を適用するのかという問題があります。
ここでは施行日や経過措置の確認が重要になります。
注文日と商品の引渡日が違うことがある
通信販売では、注文した日と商品を受け取る日が異なります。
例えば2027年3月に食品を注文し、4月に商品が届くケースです。
税率変更の前後では、どの時点の税率を使うのかが問題になります。
さらにカタログ販売や定期販売などについて特別な経過措置が設けられれば、そのルールに従う必要があります。
消費者から見ると単純な買い物でも、販売事業者にとっては施行日前後の取引を正確に管理する必要があります。
酒類を通販で購入しても10%
通信販売ならすべての飲食物が1%になるわけではありません。
酒類は飲食料品の軽減対象から除かれるため、予定されている制度でも10%のままです。
例えばインターネットでビールや日本酒、ワインを購入しても、通販だから1%になるわけではありません。
一方、酒類に該当しない飲料で対象となるものなら1%です。
同じ通販サイトの中でも、1%の商品と10%の商品が混在することになります。
送料は食品そのものとは別に考える場合がある
通信販売では送料も重要です。
商品代金とは別に送料が設定されている場合、その送料まで食品と同じ税率になるとは限りません。
食品そのものの販売と配送サービスは、取引内容によって区分して考える必要があります。
一方、送料込みの価格として商品が販売されている場合など、契約内容によって扱い方が異なることがあります。
通販事業者にとっては、商品そのものの税率だけでなく、送料や各種サービス料金をどのように処理するかも確認が必要です。
ふるさと納税は食品通販とは仕組みが違う
次に、ふるさと納税です。
ふるさと納税では、自治体に寄附をすると返礼品として米や肉、魚、果物などを受け取ることがあります。
見た目だけならインターネット通販で食品を注文するのと似ています。
しかし、法律上の仕組みは異なります。
ふるさと納税は自治体への寄附です。
寄附金を支払って商品を購入する通常の通信販売とは異なります。
返礼品は寄附に対する返礼として提供されるものです。
そのため、寄附額そのものに対して食品通販と同じように1%の消費税を上乗せして支払うという仕組みではありません。
返礼品を提供する事業者側には消費税の問題がある
ただし、ふるさと納税なら消費税と無関係という意味ではありません。
返礼品を自治体へ提供する地域の事業者側では、商品の取引に関する消費税の処理が発生することがあります。
例えば自治体が地域の事業者から返礼品を調達し、それを寄附者へ送る仕組みであれば、自治体と事業者との取引について消費税上の処理が必要になります。
食品の返礼品であれば、予定されている税率変更がこうした調達取引に影響する可能性があります。
寄附者側の寄附と、自治体が事業者から返礼品を調達する取引を分けて考えることが重要です。
食品以外の返礼品もある
ふるさと納税の返礼品には食品だけでなく、日用品や工芸品などもあります。
飲食料品の税率が1%になっても、食品以外の商品まで1%になるわけではありません。
返礼品を調達する事業者との取引では、何を提供しているのかによって税率区分が異なります。
食品なら1%の対象となる可能性があります。
食品以外なら原則10%です。
ふるさと納税という同じ制度の中でも、返礼品の種類によって事業者側の消費税処理が異なる可能性があるわけです。
販売方法より取引の中身を見る
食品通販とふるさと納税を比べると、消費税を考えるときの重要なポイントが分かります。
インターネット上で申し込み、自宅へ食品が届くという外見だけを見れば、両者はよく似ています。
しかし、一方は商品の売買で、もう一方は自治体への寄附とそれに伴う返礼品です。
消費税では、画面上の操作が似ているかどうかではなく、どのような取引が行われているのかを見る必要があります。
同じ食品が届いても、取引の法律上の性質が違えば消費税の考え方も変わります。
2027年4月前後の通販は特に注意が必要
飲食料品の税率が8%から1%へ大きく変わる場合、通信販売事業者にとって2027年4月前後は重要な時期になります。
注文日。
契約日。
商品の発送日。
商品の引渡日。
代金の決済日。
通販では、これらの日付が一致しないことがあります。
さらに、定期購入やカタログ販売では長期間にわたる契約もあります。
どの取引から1%を適用するのかについては、最終的な制度や経過措置を確認する必要があります。
結論
飲食料品の消費税率が1%になれば、その影響はスーパーやコンビニだけでなく食品通販にも及びます。
インターネットで購入したから税率が変わるわけではありません。
商品が対象となる飲食料品であれば、店頭販売でも通信販売でも基本的な税率区分の考え方は共通します。
一方、ふるさと納税は通常の商品購入とは異なります。
寄附者が支払うのは商品の購入代金ではなく自治体への寄附金であり、返礼品はその返礼として提供されます。
ただし、自治体が地域の事業者から返礼品を調達する取引では、消費税の処理が問題になることがあります。
重要なのは、食品がどのような方法で自宅に届くのかだけを見るのではなく、誰と誰の間でどのような取引が行われているのかを確認することです。
そして通信販売では、2027年4月の税率変更前後に注文や引渡しがまたがるケースもあります。
飲食料品1%への移行では、販売方法だけでなく取引時期と経過措置にも注意する必要があります。
参考
日本経済新聞 2026年9月20日 朝刊 消費減税、類似品に差
国税庁 消費税の軽減税率制度