1ドル161円台――。
約2年ぶりの円安水準となり、多くの投資家が不安を感じています。
特に新NISAで全世界株式や米国株に積立投資をしている人からは、
「今から投資を始めても大丈夫なのか」
「円安の今は買わない方がいいのではないか」
「円高になってから投資した方が得ではないか」
という声をよく聞きます。
しかし人生100年時代の資産形成では、円安そのものよりも重要な視点があります。
それは「為替を予想しないこと」です。
今回は円安161円時代における新NISAの活用法について考えてみます。
円安だから投資をやめるべきなのか
結論から言えば、円安を理由に新NISAをやめる必要はありません。
なぜなら、誰も為替を正確に予測できないからです。
実際に振り返ると、
1ドル80円台の超円高時代には
「将来は100円を超えない」
と言われていました。
しかし現在は161円台です。
逆に150円を超えたときには
「もうすぐ120円に戻る」
という予想も数多くありました。
結果として円安はさらに進みました。
為替予想はプロでも外します。
人生100年時代の長期投資では、予想に頼らない仕組み作りが重要なのです。
新NISAの本当の目的とは何か
新NISAの本質は節税制度です。
多くの人は投資制度だと思っていますが、正確には違います。
株式や投資信託から得られる利益に対して、本来約20%かかる税金が非課税になる制度です。
つまり、
利益を最大化する制度ではなく、
税金を最小化する制度です。
この視点に立つと、
円安か円高か
株価が高いか安いか
を考える前に、
まず非課税枠を長く活用することが重要になります。
時間は取り戻せません。
今年使わなかった非課税期間も戻ってきません。
円安時代こそ積立投資が生きる
円安局面で一括投資をためらう人は多いでしょう。
確かに今が為替の高値かもしれません。
しかし積立投資なら話は別です。
毎月一定額を投資することで、
円安の時も買う
円高の時も買う
株高の時も買う
株安の時も買う
ことになります。
結果として平均購入価格が平準化されます。
これがドルコスト平均法です。
将来の為替を予想しなくてもよい仕組みになっています。
人生100年時代の長期投資に向いている理由もここにあります。
新NISAで世界に分散する意味
円安が進むと、
「日本株だけにした方がいいのでは」
と考える人もいます。
しかし資産防衛の観点では逆です。
円安が進んでいるからこそ国際分散が重要になります。
例えば、
全世界株式
米国株式
先進国株式
などは外貨建て資産への投資でもあります。
世界中の企業の利益成長を取り込みながら、通貨分散も実現できます。
日本で生活している人は、
給与は円
年金も円
預金も円
という状況になりやすいため、投資資産まで円だけに集中させる必要はありません。
60代以降の新NISA活用法
若い世代だけが新NISAの対象ではありません。
人生100年時代では60代も投資期間は長くなります。
65歳の人でも平均寿命を考えれば20年以上の運用期間があります。
むしろ重要なのは、
一括投資か
積立投資か
ではなく、
生活資金と運用資金を分けることです。
生活費や緊急資金は預金で確保する。
その上で使う予定のない資金を新NISAで長期運用する。
この考え方が重要になります。
老後だから投資をやめる時代ではなく、老後だからこそ長期運用が必要な時代になっています。
最大の失敗は投資しないことかもしれない
多くの人は円安を怖がります。
しかし人生100年時代の本当のリスクは別のところにあります。
それはインフレです。
仮に年2%の物価上昇が30年続けば、現在の100万円の価値は大きく目減りします。
預金だけでは購買力を維持できません。
だからこそ、
働く
運用する
学ぶ
という三つが重要になります。
新NISAはその中の「運用」を支える制度です。
結論
円安161円だからといって新NISAをやめる必要はありません。
むしろ為替が読めないからこそ、新NISAの積立投資が力を発揮します。
人生100年時代の資産形成で重要なのは、円安や円高を当てることではありません。
世界経済の成長に長期で参加し続けることです。
そして非課税制度という時間の味方を最大限活用することです。
未来の為替は誰にもわかりません。
しかし、積立投資を続けるかどうかは今日決めることができます。
人生100年時代の資産形成は、未来を予想するゲームではなく、未来に備える仕組み作りなのです。
参考
日本経済新聞(2026年6月19日朝刊)
「円、一時161円台 2年ぶり安値 FOMC受けドル一強」