新NISAが始まって以来、多くの人が投資を始めました。
一方で、相場が下落するたびに不安になる人も少なくありません。
株価が下がると、
「やはり投資は危険だ」
「もっと安くなりそうだから売ろう」
「投資信託を解約して現金に戻そう」
という気持ちになります。
しかし長期投資の歴史を振り返ると、多くの投資家が失敗する原因は暴落そのものではありません。
本当の敵は途中退場です。
今回は人生100年時代における新NISAと投資継続の重要性について考えてみます。
暴落は必ず起きる
まず理解しておきたいことがあります。
それは暴落を避けることはできないという事実です。
過去を振り返るだけでも、
ITバブル崩壊
リーマンショック
欧州債務危機
コロナショック
など数多くの暴落がありました。
しかしそのたびに、
「もう株式投資は終わった」
と言われながら市場は回復してきました。
長期投資家にとって暴落は異常事態ではありません。
むしろ定期的に起こる自然現象に近いものです。
本当に損をするのは誰か
暴落が起きたときに損をする人は誰でしょうか。
実は保有し続けた人ではありません。
安値で売却した人です。
例えば100万円が70万円になったとします。
そのまま保有して100万円に戻れば損失はありません。
しかし70万円で売却すれば30万円の損失が確定します。
投資の世界では、
下落=損失
ではありません。
売却して初めて損失が確定します。
多くの人は暴落でお金を失うのではなく、恐怖によって投資をやめてしまうことで資産形成の機会を失うのです。
新NISAは時間を味方につける制度
新NISAの最大の特徴は非課税であることだけではありません。
長期間保有できることです。
従来のNISAには非課税期間がありました。
しかし新NISAは恒久化されました。
つまり投資家は焦る必要がありません。
短期的な値動きを気にするより、
10年
20年
30年
という時間を味方につけることができます。
人生100年時代では時間そのものが最大の資産になります。
なぜ途中退場してしまうのか
途中退場する理由は投資知識の不足だけではありません。
むしろ感情の問題です。
人間は利益の喜びよりも損失の苦痛を強く感じます。
10万円儲かった喜びより、
10万円損した苦しみの方が大きく感じられるのです。
そのため暴落時には冷静な判断が難しくなります。
ニュースも不安をあおります。
SNSには悲観論があふれます。
結果として売却してしまいます。
しかし長期投資で成功する人は特別な能力を持っているわけではありません。
感情に流されず継続できた人です。
GPIFが教えてくれること
日本の公的年金を運用するGPIFは世界最大級の機関投資家です。
GPIFも市場下落を経験しています。
しかし暴落のたびに資産を売却していたら、現在の運用成果は実現できませんでした。
GPIFが重視しているのは予測ではなく分散と継続です。
個人投資家も同じです。
将来の相場を当てることより、
積立を続ける
分散を維持する
長期で保有する
ことが重要になります。
60代以降も途中退場してはいけない理由
「若い人ならわかるが、シニアは投資期間が短い」
と言われることがあります。
しかし人生100年時代では事情が変わりました。
65歳でも平均寿命まで20年以上あります。
70歳でも15年以上あります。
むしろ長寿化によって、老後こそ資産運用が必要な時代になっています。
もちろん生活費を投資してはいけません。
生活資金と運用資金を分けることが前提です。
その上で、長期間使わない資金は市場に働いてもらうという考え方が重要になります。
継続するための仕組みを作る
投資成功の秘訣は才能ではありません。
仕組みです。
毎月自動積立にする。
値動きを毎日見ない。
暴落時に読むための投資方針書を作る。
生活資金を十分確保する。
こうした仕組みが継続を支えます。
投資で成功する人は、市場を予測する人ではなく、自分の感情を管理できる人なのです。
結論
新NISAの最大の敵は暴落ではありません。
途中退場です。
暴落は一時的な出来事です。
しかし途中退場は、将来得られたかもしれない資産形成の機会を永久に失うことになります。
人生100年時代では、投資は短距離走ではなくマラソンです。
重要なのは最も速く走ることではありません。
最後まで走り続けることです。
未来の相場は誰にもわかりません。
しかし、積立を続けるかどうかは自分で決められます。
長期投資で最も大切な才能は、相場を読む力ではなく、続ける力なのです。
参考
所長のミカタ
日本経済新聞(2026年6月19日朝刊)
「円、一時161円台 2年ぶり安値 FOMC受けドル一強」