2025年分以前の源泉徴収票を訂正するときは要注意 新旧制度の境界を整理

税理士
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2027年1月から給与所得の源泉徴収票について「みなし提出の特例」が始まります。

給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署にも給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされるため、企業による二重提出が解消されます。

しかし、2027年になれば、すべての源泉徴収票が新しい仕組みに切り替わるわけではありません。

特に注意したいのが、過去に提出した源泉徴収票の訂正です。

2025年分以前の源泉徴収票については、2027年以後に訂正する場合であっても、みなし提出の特例の対象にはなりません。

一方、2026年分以後については新しい取扱いが始まります。

制度開始後しばらくは、新旧2つの処理が並存することになります。

みなし提出には対象となる年分がある

まず確認しておきたいのが、みなし提出の特例の対象です。

特例は、2027年1月1日以後に提出すべき2026年分以後の給与所得の源泉徴収票が対象となります。

ここで重要なのが「2026年分以後」という部分です。

2027年1月1日以後に処理する源泉徴収票だからといって、すべてが自動的に新制度の対象になるわけではありません。

2025年分以前の源泉徴収票は対象外です。

したがって、2027年以後の実務では、まず何年分の源泉徴収票を処理しているのかを確認する必要があります。

2025年分以前は従来どおり税務署へ提出する

たとえば2027年になってから、2025年分の給与所得の源泉徴収票に誤りが見つかったとします。

すでにみなし提出の特例が始まっているため、「給与支払報告書を市区町村へ訂正提出すれば、税務署にも訂正したものとみなされる」と考えてしまうかもしれません。

しかし、そうではありません。

2025年分以前の源泉徴収票はみなし提出の対象外です。

そのため、従来どおり税務署に対して必要な源泉徴収票を提出する必要があります。

新制度が始まった時期と、訂正する源泉徴収票の年分を分けて考えることが重要です。

市区町村への訂正も必要になる

2025年分以前の給与情報に誤りがあった場合、税務署だけを訂正すればよいわけではありません。

資料では、すでに提出済みの2025年分以前の源泉徴収票について訂正が必要となった場合、税務署に対して無効分の源泉徴収票と訂正分の源泉徴収票を提出するとともに、訂正分の給与支払報告書を市区町村へ提出する必要があるとされています。

つまり、2025年分以前については、

税務署への訂正手続き

市区町村への訂正手続き

をそれぞれ行うことになります。

みなし提出による一本化は利用できません。

2026年分以後は取扱いが変わる

一方、2026年分以後の源泉徴収票については、新しい仕組みが関係してきます。

2027年1月1日以後、給与支払報告書を市区町村へ提出し、給与所得の源泉徴収票について税務署へのみなし提出を完了した後に誤りが判明するケースが考えられます。

この場合は、2025年分以前とは処理方法が異なります。

eLTAXを利用している場合には、給与支払報告書の提出区分を「訂正」として再度送信します。

つまり、当初の提出がみなし提出で処理されたものについては、訂正についても市区町村への給与支払報告書を基礎として処理することになります。

eLTAXなら「訂正」として再送信する

給与支払報告書をeLTAXで提出した後に誤りを発見した場合には、提出区分を「訂正」として再度送信します。

これは実務上、覚えておきたいポイントです。

当初の給与支払報告書を市区町村へ提出したことで、税務署への源泉徴収票についてもみなし提出が成立しています。

その後に給与情報を訂正するのであれば、eLTAX上で給与支払報告書を訂正することで対応することになります。

従来のように、税務署用と市区町村用をそれぞれ訂正する処理とは考え方が変わります。

書面や光ディスク等では市区町村へ確認する

みなし提出の特例はeLTAXだけでなく、書面や光ディスク等による給与支払報告書の提出でも利用できます。

ただし、訂正方法については違いがあります。

資料では、光ディスク等または書面で給与支払報告書を提出している場合の訂正方法については、提出先の市区町村に確認することとされています。

したがって、書面提出の場合について、eLTAXと同じ訂正方法だと決めつけないことが重要です。

自社がどの方法で給与支払報告書を提出しているのかによって、訂正時の確認先や処理方法も変わる可能性があります。

「いつ訂正したか」だけでは判断できない

制度移行時には、「2027年以後に訂正するのだから新制度で処理すればよい」と考えがちです。

しかし、今回の改正ではそれだけでは判断できません。

たとえば2027年中に訂正が必要になった場合でも、

2025年分以前なのか

2026年分以後なのか

によって取扱いが変わります。

2025年分以前であれば、みなし提出の対象外です。

2026年分以後で、みなし提出が行われたものについては、新しい訂正方法が関係してきます。

したがって、訂正が発生した日ではなく、対象となる給与の年分を最初に確認することが重要です。

2026年分が新旧制度の境界になる

今回の制度を実務で整理するときには、「2026年分」という境界を意識すると分かりやすくなります。

2025年分以前は旧制度側です。

2026年分以後は、2027年1月1日以後に提出すべきものについて新しいみなし提出の仕組みが関係します。

特に制度開始から数年間は、過年度分の訂正が発生する可能性があります。

そのため、給与担当者は新制度だけを覚えるのではなく、旧制度で処理しなければならない過年度分が残っていることも理解しておく必要があります。

過年度データをすぐ確認できる体制が重要

源泉徴収票の訂正は、毎年必ず発生する業務ではないかもしれません。

だからこそ、実際に訂正が必要になったときに処理方法を間違えやすくなります。

制度開始後は、訂正対象となった給与情報について、

何年分なのか

当初どの方法で提出したのか

みなし提出の対象だったのか

eLTAX、光ディスク等、書面のどの方法を利用したのか

を確認できるようにしておくことが重要です。

給与データだけでなく、当時の提出方法についても記録を残しておく意味が大きくなります。

新制度になっても旧制度の知識はすぐには不要にならない

税制や税務手続きが改正されると、実務担当者は新しい制度を覚えることに意識が向きます。

しかし、今回のような制度変更では、改正前の制度をすぐに忘れることはできません。

過年度分の訂正があるからです。

2027年以後も2025年分以前の源泉徴収票について訂正が必要になれば、旧制度に沿った処理が必要になります。

新制度への移行とは、ある日を境に旧制度が実務から完全に消えることではありません。

しばらくの間は新旧制度が並行して存在するという視点を持っておくことが重要です。

結論

2027年1月から給与所得の源泉徴収票のみなし提出の特例が始まりますが、2025年分以前の源泉徴収票は特例の対象外です。

2027年以後に2025年分以前の源泉徴収票を訂正する場合であっても、従来どおり税務署への対応が必要になります。

すでに提出した内容を訂正する場合には、税務署に必要な源泉徴収票を提出するとともに、市区町村へ訂正分の給与支払報告書を提出します。

一方、2026年分以後について、給与支払報告書を市区町村へ提出し、源泉徴収票のみなし提出を完了した後に訂正が生じた場合には、新しい取扱いになります。

eLTAX利用者は給与支払報告書の提出区分を「訂正」として再度送信します。

書面や光ディスク等の場合には、提出先の市区町村への確認が必要です。

制度開始後の訂正実務では、「いつ訂正するか」だけではなく、「何年分を訂正するのか」を最初に確認することが重要です。

2026年分を境として新旧制度を整理しておくことが、訂正時の処理を間違えないための基本になります。

次回は、「2027年以降に源泉徴収票を訂正したらどうする みなし提出後の訂正実務」について詳しく見ていきます。

参考

企業実務 2026年10月号 2027年1月施行 給与所得の源泉徴収票「みなし提出の特例」の実務対応

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