都有地活用とは何か 公有地を住宅政策に生かす仕組み編

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東京都がアフォーダブル住宅の供給を増やすために検討しているのが都有地の活用です。東京で手ごろな住宅を供給する際、最大の壁の一つになるのが高い土地価格です。そこで東京都がすでに所有している土地を活用できれば、民間事業者が市場で土地を取得する場合とは異なる条件で住宅を供給できる可能性があります。特に都営住宅の建て替えによって生まれる余剰地を民間の資金やノウハウと組み合わせて活用する方法は、これからの住宅政策を考えるうえで重要な選択肢です。

都有地とは何か

都有地とは、東京都が所有している土地です。

東京都は行政活動を行うためにさまざまな土地を保有しています。

たとえば、

都庁舎などの行政施設

学校

公園

道路

都営住宅

その他の公共施設

などに利用される土地があります。

こうした土地は都民の財産ともいえます。

そのため、単に高く売却すればよいわけではありません。

行政サービスや都市政策、住宅政策なども考慮しながら、どのように利用することが社会全体にとって望ましいかを考える必要があります。

なぜ都有地を住宅政策に活用するのか

東京で住宅を供給する際に大きな問題になるのが土地代です。

住宅を建設するには、

土地取得費

建築費

設備費

設計費

管理費

などさまざまな費用がかかります。

特に土地価格の高い東京では、土地取得費が事業全体の採算性を大きく左右します。

民間事業者が高額な土地を購入すれば、その費用を住宅販売価格や家賃によって回収しなければなりません。

その結果、住宅価格や家賃も高くなりやすくなります。

そこで行政が保有する土地を住宅政策に活用するという発想が出てきます。

土地代が家賃を左右する

アフォーダブル住宅では、周辺相場より低い家賃を実現する必要があります。

しかし建築費や土地取得費が通常の民間住宅と同じであれば、家賃だけを安くすることは容易ではありません。

家賃を下げれば、事業者の収入が減るからです。

そこで住宅を安く貸せるようにするには、住宅を供給するためのコスト自体を下げる必要があります。

都有地を活用できれば、民間事業者が土地を市場価格で購入する場合より土地に関する負担を抑えられる可能性があります。

住宅供給コストを下げ、その効果を家賃の引き下げにつなげる考え方です。

都営住宅の建て替えで余剰地が生まれる理由

都有地活用で注目されているのが、都営住宅の建て替えによって生まれる土地です。

古い都営住宅の中には、比較的低層の建物が広い敷地に建てられているケースがあります。

こうした住宅を建て替える際に建物を高層化すると、従来と同じ程度の戸数をより小さな敷地部分にまとめられる場合があります。

たとえば広い土地に複数の低層住宅が並んでいたものを、中高層の住宅へ集約するイメージです。

その結果、住宅として利用しなくてもよい土地が生まれることがあります。

これが余剰地です。

余剰地にはさまざまな使い道がある

都営住宅の建て替えで生まれた余剰地には、さまざまな利用方法があります。

たとえば、

福祉施設

保育施設

商業施設

医療施設

民間住宅

公園

アフォーダブル住宅

などです。

どの用途が適しているかは地域によって異なります。

高齢者が多い地域なら福祉施設への需要が高いかもしれません。

子育て世帯が多い地域なら保育施設が必要かもしれません。

住宅費が高い地域では、アフォーダブル住宅として利用することも考えられます。

都有地を地域課題の解決に使うという発想が重要です。

土地を売却するだけが活用ではない

公有地を活用する方法として最も単純なのは売却です。

土地を民間企業へ売れば、行政は売却収入を得ることができます。

しかし一度売却すれば、その土地を将来の政策に利用することは難しくなります。

そこで土地を所有したまま民間事業者に貸す方法もあります。

東京都が土地を保有し、一定期間、民間事業者に利用してもらいます。

民間事業者はその土地に住宅などを整備し、事業を行います。

行政は土地所有権を維持しながら、民間の資金やノウハウを活用できます。

民間事業者への貸し付けという方法

都有地を住宅政策に活用する場合、民間事業者へ土地を貸し付ける方法が考えられます。

民間事業者が自ら土地を購入する場合、多額の初期資金が必要です。

一方、土地を借りて事業を行えるのであれば、土地取得のための資金負担を軽減できる可能性があります。

その分、

建物の性能向上

住宅設備

家賃引き下げ

などに資金を振り向ける余地が生まれます。

行政側も土地を保有し続けることができるため、将来的な政策変更に対応しやすくなります。

定期借地権という選択肢

公有地と民間事業者を結び付ける方法として利用されることがあるのが定期借地権です。

定期借地権では、一定期間土地を貸し、その期間が終了すれば原則として土地が所有者へ戻ります。

行政が土地を売却せずに民間開発へ活用できるため、公有地との相性がよい仕組みです。

民間事業者は土地を取得せずに建物を整備できます。

行政側は土地という資産を維持できます。

アフォーダブル住宅を長期間供給しながら、公有地を将来世代へ残す方法としても検討できます。

民間のノウハウを利用できる

行政が都有地を持っているからといって、東京都自身がすべての住宅を建設し、管理する必要はありません。

住宅事業には、

建物の企画

設計

建設

資金調達

入居者募集

建物管理

修繕

などさまざまな専門能力が必要です。

これらについて民間事業者のノウハウを活用できます。

行政は土地を提供し、住宅の家賃や入居条件など政策目的を設定する。

民間事業者は住宅を整備して運営する。

このような官民の役割分担が可能になります。

公有地の価値を政策に変える

都有地活用を考えるうえで重要なのは、土地には大きな経済的価値があるという点です。

特に東京の土地は高額です。

その土地を単に保有しているだけでは、政策効果は生まれません。

一方、安易に売却すれば一時的な収入は得られても、長期的な政策資源を失います。

そこで土地の価値そのものを住宅政策に利用します。

市場価格より有利な条件で土地を利用できる代わりに、

家賃を一定水準以下にする

子育て世帯へ住宅を提供する

一定期間アフォーダブル住宅として運営する

といった条件を民間事業者に求めることが考えられます。

公有地の経済価値を社会的価値へ変換する仕組みです。

安く貸しすぎれば別の問題も生じる

ただし、都有地を安く民間事業者へ提供すればよいという単純な話ではありません。

都有地は都民の財産です。

市場価格より大幅に低い条件で特定の事業者に貸せば、その利益が本当に都民へ還元されているのかを検証する必要があります。

土地利用の優遇によって事業者が得るメリットと、

家賃引き下げ

住宅供給戸数

住宅の質

入居対象

などの公共的メリットが釣り合っていることが重要です。

透明な事業者選定も必要になります。

事業者公募が重要になる

都有地を民間事業者に活用してもらう場合、どの事業者を選ぶかが重要です。

単純に最も高い土地使用料を提示した企業を選べば、行政収入は増えます。

しかしアフォーダブル住宅政策では、それだけでは十分ではありません。

家賃をどこまで抑えるのか。

何戸供給するのか。

どのような世帯を対象にするのか。

住宅性能はどうするのか。

何年間、割安住宅として提供するのか。

こうした条件を含めて事業提案を評価する必要があります。

価格だけではなく、社会的な効果を含めた公募制度が重要になります。

好立地の公有地ほど政策効果が大きい

都有地活用には立地も重要です。

住宅需要が弱い場所で土地を提供しても、入居者が集まらない可能性があります。

一方、

駅に近い

職場へ通いやすい

学校や保育施設がある

買い物が便利

といった場所の都有地であれば、住宅として高い価値があります。

こうした土地を市場価格だけで評価すれば、高額で売却することが合理的に見えるかもしれません。

しかし、あえて住宅政策に利用することで、子育て世帯などが利便性の高い地域に住み続けられるようにするという社会的効果も期待できます。

職住近接にもつながる

東京の住宅価格が高くなると、住宅費を抑えるため郊外へ移る世帯が増える可能性があります。

しかし勤務地が都心にあれば、通勤時間が長くなります。

特に共働きの子育て世帯にとって、長時間通勤は大きな負担です。

都心やその周辺の都有地をアフォーダブル住宅に活用できれば、職場に近い場所で生活できる世帯が増える可能性があります。

住宅政策は単に家賃を下げるだけではなく、働き方や子育てにも影響するのです。

将来世代のために土地を残す視点

公有地は一度売却すると、基本的には行政の所有には戻りません。

東京のように土地の希少性が高い地域では、この点が重要です。

現在の財政収入を得るために売却するのか。

将来の住宅、福祉、防災などの政策に使えるよう保有するのか。

長期的な視点で判断する必要があります。

定期借地などを利用すれば、土地を所有したまま現在の政策課題にも活用できます。

都有地活用は、現在の住宅問題だけでなく、将来世代へどのような公共資産を残すかという問題でもあります。

結論

都有地活用とは、東京都が所有する土地を住宅、福祉、子育てなどの政策目的に利用する取り組みです。

アフォーダブル住宅政策では、特に都営住宅の建て替えによって生まれる余剰地の活用が注目されます。

東京で手ごろな住宅を供給する最大の壁の一つは高い土地価格です。

東京都が所有する土地を民間事業者へ一定の条件で提供できれば、土地取得負担を抑え、その効果を家賃の引き下げにつなげられる可能性があります。

重要なのは、土地を単に安く提供することではありません。

都有地という都民の資産から生まれる経済的な価値を、どれだけ住宅供給や家賃軽減という社会的な価値へ変えられるかです。

行政が土地を提供し、民間が資金とノウハウを提供する。

その官民連携が機能すれば、都有地はアフォーダブル住宅を増やす強力な政策資源になる可能性があります。

参考

日本経済新聞 2026年8月8日朝刊 アフォーダブル住宅 都、民間呼び込む政策次々 オフィス改修に補助金 都有地活用も検討

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