二地域居住と地域金融機関 地方銀行は新しい住宅需要と地域経済を支えられるのか

FP
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

人口減少が進む地方では、地方銀行や信用金庫などの地域金融機関が、新しい事業機会を模索しています。

これまで地域金融機関は、地元企業への融資や住宅ローン、預金、資産運用などを通じて地域経済を支えてきました。

しかし、人口減少と高齢化が進むなかで、住宅ローンの利用者や企業の資金需要が減少する地域もあります。

こうした状況で注目されているのが、都市部と地方の双方に生活拠点を持つ二地域居住です。

二地域居住者が増えれば、地方の中古住宅や空き家に新しい需要が生まれます。住宅の購入や改修だけでなく、地域での起業や副業、地元企業との取引など、さまざまな経済活動につながる可能性があります。

2026年8月末時点で、全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームに参画する自治体は813自治体となり、5年間で約3割増加しました。

地域金融機関にとって、二地域居住は住宅ローンの新規需要を生み出すだけでなく、都市部の人材や資金を地方経済に結び付ける機会にもなります。

一方、二地域居住用の住宅は、一般的な自己居住用住宅とは利用形態が異なります。

そのため、住宅ローンの適用条件、担保評価、返済能力の審査、空き家の資産価値など、金融実務上の課題があります。

今回は、二地域居住と地域金融機関の関係について、住宅ローン、空き家融資、創業支援、事業承継、地域経済への波及効果などを整理しながら考えます。

人口減少は地域金融機関の経営環境を変えている

地方銀行や信用金庫は、地域の預金を集め、企業や個人に融資することで地域経済を支えています。

しかし、人口減少が進む地域では、従来の金融ビジネスを維持することが難しくなる可能性があります。

例えば、若年人口が減少すれば、新築住宅を購入する世帯が減少することが考えられます。

また、地域の企業数が減少すれば、設備投資や運転資金などの融資需要も伸び悩む可能性があります。

一方、高齢化が進む地域では、預金残高が維持されていても、新しい資金需要が十分に生まれない場合があります。

地域金融機関にとって重要なのは、預金を集めることだけではありません。

集めた資金を地域内の事業や住宅投資に結び付け、持続的な収益を確保することです。

二地域居住者が増えれば、これまで地域外に住んでいた人々が、地方の住宅や事業に資金を投じる可能性があります。

地域金融機関にとって、従来の定住人口だけでは捉えきれなかった新しい顧客層が生まれることになります。

二地域居住は住宅ローンの新しい需要になるのか

二地域居住者が地方に住宅を購入する場合、金融機関から融資を受けたいと考える人もいるでしょう。

例えば、東京に自宅を所有する会社員が、地方の中古住宅を800万円で購入するケースです。

自己資金として300万円を用意し、残りの500万円を借り入れることを検討します。

しかし、ここで注意したいのは、一般的な住宅ローンの利用条件です。

住宅ローンは、原則として借入人本人やその家族が居住する住宅の取得を目的とする商品です。

金融機関や商品によっては、二地域居住用の住宅が融資対象となる場合もありますが、すべての住宅ローンで認められるわけではありません。

例えば、週末だけ利用する住宅や別荘については、通常の住宅ローンの対象外となることがあります。

その場合、セカンドハウスローンや不動産担保ローンなど、別の商品を検討する必要があります。

また、通常の住宅ローンと比較して、金利や返済期間、融資条件などが異なる場合があります。

二地域居住のために住宅を購入する際には、物件を契約する前に、利用できる融資商品の条件を確認することが重要です。

セカンドハウスローンと通常の住宅ローンの違い

二地域居住用の住宅購入では、セカンドハウスローンが選択肢になる場合があります。

セカンドハウスローンは、主な自宅とは別に利用する住宅の取得を対象とする融資商品です。

ただし、金融機関によって商品内容や利用条件は異なります。

例えば、本人が継続的に利用する住宅であることを条件とする場合があります。

また、投資用不動産や第三者への賃貸を目的とする住宅については、融資対象外となることがあります。

金利についても、通常の住宅ローンより高く設定される場合があります。

ここで、借入額500万円、返済期間15年、元利均等返済、ボーナス返済なしという条件で試算してみます。

金利を年2.0%と仮定すると、毎月の返済額は約3万2,000円になります。

一方、金利を年4.0%と仮定すると、毎月の返済額は約3万7,000円です。

年間返済額の差は約6万円になります。

15年間では、単純計算で約90万円の差が生じます。

これは仮定に基づく試算であり、実際の金利水準や融資条件を示すものではありません。

二地域居住では、住宅購入価格だけでなく、融資商品の違いによる返済負担も考慮する必要があります。

住宅ローン控除の適用には注意が必要

二地域居住用の住宅を購入する際には、税制上の取り扱いにも注意が必要です。

一般的な住宅ローン控除は、一定の要件を満たす自己居住用住宅の取得などを対象とする制度です。

そのため、地方に週末用の住宅を購入しただけで、当然に住宅ローン控除が適用されるわけではありません。

例えば、東京に生活の本拠を置き、地方の住宅を週末だけ利用する場合です。

地方の住宅について、住宅ローン控除の居住要件を満たさない可能性があります。

また、すでに都市部の自宅について住宅ローン控除を受けている場合には、二地域居住用の住宅との関係を慎重に確認する必要があります。

住宅ローン控除の適用可否は、居住実態、住宅の要件、借入条件などによって判断されます。

二地域居住という生活形態そのものを理由に、一律に適用できる制度ではありません。

金融機関が融資を認めることと、税務上の住宅ローン控除が適用されることは別の問題です。

住宅購入の資金計画では、税制上の優遇措置を当然に受けられるものとして計算しないことが重要です。

地方の空き家は担保評価が難しい

二地域居住によって地方の空き家に新しい需要が生まれることは、地域金融機関にとって重要な機会です。

しかし、空き家を担保とする融資には課題があります。

その一つが、不動産の担保評価です。

例えば、地方の中古住宅を500万円で購入し、300万円をかけて改修するケースです。

購入費用と改修費用の合計は800万円になります。

しかし、金融機関がその住宅の担保価値を800万円と評価するとは限りません。

人口減少が進む地域では、不動産の取引件数が少なく、売却価格を予測することが難しい場合があります。

また、築年数の古い住宅では、建物の担保評価が低くなることもあります。

さらに、住宅を改修しても、その費用がそのまま不動産の市場価値に反映されるとは限りません。

例えば、300万円をかけて設備を更新しても、売却時に300万円高く売れる保証はありません。

金融機関にとっては、融資先の返済能力だけでなく、担保不動産の換金可能性も重要な判断要素になります。

二地域居住による空き家活用を進めるためには、担保価値だけに依存しない融資審査の工夫が求められます。

返済能力の審査では二重の住宅費が問題になる

二地域居住用の住宅ローンでは、借入人の返済能力を慎重に確認する必要があります。

例えば、東京の自宅について住宅ローンを返済している会社員が、地方の住宅購入のために新たな借り入れを希望する場合です。

この場合、都市部の住宅ローンと地方の住宅ローンを合わせた返済負担を考える必要があります。

さらに、二地域居住では、交通費、光熱費、通信費、住宅管理費なども発生します。

金融機関は、借入人の年収だけでなく、既存の借入残高、毎月の返済額、生活費などを確認する必要があります。

例えば、年収800万円の会社員が、都市部の住宅ローンとして年間150万円を返済していると仮定します。

地方の住宅ローンとして年間40万円を追加すれば、年間返済額は190万円になります。

年収に対する年間返済額の割合は23.75%です。

ただし、この割合だけで返済能力を判断することはできません。

所得税や社会保険料、教育費、生活費、二地域間の交通費なども考慮する必要があります。

また、定年退職が近い場合には、将来の給与収入の減少も重要な審査要素になります。

二地域居住用の融資では、現在の返済能力だけでなく、長期的な家計の安定性を確認することが重要です。

高齢者の二地域居住と融資の関係

二地域居住は、定年退職後の生活設計としても注目されています。

しかし、高齢期に住宅を購入する場合には、融資の利用が難しくなることがあります。

例えば、65歳で地方の住宅を購入するケースです。

金融機関によっては、借入時の年齢や完済時の年齢に制限を設けています。

そのため、若い世代と同じ返済期間を設定できない場合があります。

また、年金収入を返済原資とする場合には、返済能力の判断が慎重になる可能性があります。

高齢期には、医療費や介護費などの支出が増えることも考慮する必要があります。

一方、金融資産を十分に保有している人であれば、住宅購入費用を自己資金で賄う方法もあります。

ただし、預貯金を大きく取り崩して住宅を購入すると、老後の生活資金が不足する可能性があります。

高齢者の二地域居住では、借り入れを利用するかどうかだけでなく、住宅を購入する必要性そのものを検討することが重要です。

賃貸住宅や長期滞在施設を利用すれば、初期費用を抑えながら地方生活を楽しむこともできます。

地域金融機関には、融資の提供だけでなく、老後資金や住宅資産を含めた総合的な相談対応が期待されます。

空き家改修資金への融資が重要になる

地方の空き家を二地域居住に活用する場合、購入費用だけでなく改修費用が必要になることがあります。

特に築年数の古い住宅では、耐震補強、断熱改修、給排水設備の更新などが必要になる場合があります。

例えば、住宅の購入価格が300万円でも、改修費用に500万円かかるケースです。

この場合、住宅取得に必要な総額は800万円になります。

さらに、登記費用や保険料などの諸費用も必要です。

金融機関が購入費用だけでなく、改修費用を含めて融資できれば、二地域居住者の資金調達を支援できます。

ただし、改修工事では、当初の見積額を上回る費用が発生する可能性があります。

例えば、工事を始めてから建物の劣化や設備の不具合が見つかる場合です。

そのため、資金計画では予備費を確保することが重要です。

また、改修工事を地元の工務店や設備業者が受注すれば、地域経済への波及効果も期待できます。

地域金融機関にとって、空き家改修融資は住宅金融と地域経済の活性化を結び付ける重要な分野といえるでしょう。

空き家バンクと金融機関の連携

地方自治体では、空き家の所有者と利用希望者を結び付ける空き家バンクを運営している場合があります。

空き家バンクは、地域の空き家情報を集約し、移住希望者や二地域居住希望者などに提供する仕組みです。

しかし、空き家情報を公開するだけでは、必ずしも売買や賃貸につながるわけではありません。

購入希望者にとっては、住宅の状態、改修費用、資金調達、将来の売却可能性などが重要な判断材料になります。

ここで地域金融機関が関与すれば、資金面から取引を支援できます。

例えば、自治体が空き家情報を提供し、地元の不動産事業者が物件調査や売買仲介を行い、金融機関が融資相談に対応する仕組みです。

さらに、建築士や工務店などが改修費用を見積もれば、購入希望者は総費用を把握しやすくなります。

こうした連携によって、空き家の流通を促進できる可能性があります。

ただし、金融機関が不動産取引に関与する場合には、関係法令や利益相反管理などへの配慮が必要です。

また、物件の品質や将来の資産価値を保証するものではないことも明確にする必要があります。

埼玉県川島町では金融機関グループとの連携が進む

二地域居住と地域金融機関の関係を考えるうえで、埼玉県川島町の取り組みは参考になります。

川島町では、埼玉りそな銀行のグループ会社などと連携し、地域外の人々との関係づくりを進めています。

地域の公園などを活用した交流機会の創出や、空き家、公営住宅などの活用を検討しています。

この事例で注目したいのは、金融機関グループが融資だけでなく、地域の課題解決に関わっていることです。

従来、金融機関の役割は、預金や融資などの金融サービスが中心でした。

しかし、人口減少が進む地域では、資金を供給するだけでは新しい需要が生まれにくくなっています。

地域外の人材と地域企業を結び付け、事業機会を創出することが重要になります。

川島町のような取り組みは、金融機関が地域の人材や不動産などの資源を結び付ける役割を担う可能性を示しています。

ただし、こうした取り組みの成果を判断するには、交流参加者数だけでなく、実際の住宅利用や事業創出などにつながったかを検証する必要があります。

二地域居住者による起業を金融機関が支える

二地域居住者が地方で新しい事業を始める場合、創業資金が必要になることがあります。

例えば、都市部で会社員として働く人が、地方でカフェや宿泊施設を開業するケースです。

店舗の取得や改修、設備の購入、運転資金などが必要になります。

地域金融機関は、事業計画の内容や返済能力などを確認したうえで、創業融資を検討できます。

また、融資だけでなく、経営相談や販路開拓の支援などを行うことも考えられます。

例えば、地域の農産物を活用した飲食店を開業する場合には、地元の生産者を紹介することができます。

また、観光関連事業を始める場合には、地域の宿泊事業者や観光団体との連携を支援することも可能です。

二地域居住者にとって、地方での事業経験が少ない場合には、地域金融機関のネットワークが重要な経営資源になります。

ただし、都市部での勤務収入があることだけで、地方での事業が成功するとは限りません。

事業の採算性、顧客の確保、資金繰りなどを慎重に検討する必要があります。

地域金融機関には、二地域居住者の事業を適切に評価し、持続可能な経営を支援する役割が求められます。

地方企業の事業承継にも新しい可能性がある

地方では、後継者不足によって事業継続が難しくなる中小企業が増えています。

経営者が高齢になっても、後継者が見つからず、廃業を検討するケースがあります。

こうした状況で、二地域居住者が事業承継に関わる可能性も考えられます。

例えば、都市部の企業で経営管理や営業を経験した人が、地方の中小企業の経営に参加するケースです。

最初は二地域居住を通じて地域企業と関係を築き、その後、経営者や後継者として事業に関わる方法もあります。

また、都市部の企業に勤務しながら、地方企業の経営改善を支援することも考えられます。

地域金融機関は、地元企業の経営状況や後継者問題を把握している場合があります。

そのため、都市部の人材と地方企業を結び付ける役割が期待されます。

ただし、事業承継には、株式の取得、経営権の移転、債務の引き継ぎ、税務上の問題などが伴います。

二地域居住者が事業承継に関わる場合には、専門家による適切な支援が必要です。

地域金融機関には、事業承継支援機関や税理士、弁護士などと連携することが求められます。

地域金融機関は人材紹介でも役割を果たせる

地域金融機関が二地域居住を支援する方法は、融資だけではありません。

都市部の専門人材と地方企業を結び付けることも重要です。

例えば、地方の中小企業が経理や財務の専門人材を必要としている場合です。

常勤の専門人材を採用することが難しくても、月に数回の相談やオンラインによる経営支援であれば、利用しやすい可能性があります。

二地域居住者が都市部で培った専門知識を活用すれば、地域企業の経営課題を解決する機会が生まれます。

また、情報通信分野の経験者が、地元企業のデジタル化を支援することも考えられます。

地域金融機関は、地元企業の経営課題を把握し、人材を紹介する役割を担うことができます。

ただし、人材紹介事業には、職業安定法などの関係法令への対応が必要です。

また、専門資格が必要な業務については、適切な資格者が対応しなければなりません。

金融機関が人材紹介を行う場合には、法令遵守と利益相反管理を徹底することが重要です。

二地域居住者の金融資産を地域経済に結び付ける

二地域居住者のなかには、都市部で長年働き、一定の金融資産を保有している人もいるでしょう。

こうした人々が地方に住宅を購入したり、地域で事業を始めたりすれば、地域外の資金が地方に流入します。

例えば、都市部に住む100人が、それぞれ地方の住宅取得や改修に1,000万円を支出すると仮定します。

合計では10億円の資金需要になります。

このうち、地元の建設業者や設備業者が工事を受注すれば、地域内に仕事が生まれます。

また、二地域居住者が地域企業に出資したり、地域の事業に資金を提供したりすることも考えられます。

ただし、金融資産を地域経済に結び付ける場合には、投資リスクを十分に説明する必要があります。

地方企業への出資や融資は、元本が保証されるものではありません。

また、事業が失敗した場合には、投資資金を回収できない可能性があります。

地域金融機関には、二地域居住者の資産形成や老後資金を守りながら、地域経済への資金供給を支援する姿勢が求められます。

二地域居住の経済効果を具体的に試算する

ここで、ある地方自治体に500人の二地域居住者が増えるケースを考えます。

このうち100人が地方の住宅を購入し、1人当たり800万円を支出すると仮定します。

住宅取得と改修に関する支出総額は8億円になります。

さらに、500人が年間60日滞在し、1日当たり5,000円を地域内で消費するとします。

1人当たりの年間消費額は30万円です。

500人では年間1億5,000万円になります。

住宅関連支出8億円と年間消費1億5,000万円を合わせると、初年度には合計9億5,000万円の支出が生まれる計算です。

ただし、これは仮定に基づく単純な試算です。

住宅取得費用のすべてが地域内に残るわけではありません。

また、住宅購入は一時的な支出であり、毎年同じ金額が発生するものではありません。

さらに、地域内消費の一部は、仕入れなどを通じて地域外に流出します。

したがって、この9億5,000万円をそのまま地域経済への純粋な波及効果とみなすことはできません。

それでも、二地域居住者が地域外から資金を持ち込むことで、新しい需要が生まれる可能性があることは分かります。

地域金融機関には、こうした需要を地域企業の売上や雇用につなげる役割が期待されます。

金融機関は融資残高だけで成果を判断してよいのか

地域金融機関が二地域居住を支援する場合、融資残高の増加だけを成果とすることには注意が必要です。

例えば、二地域居住者向け住宅ローンを10億円実行したとしても、その住宅がほとんど利用されなければ、地域経済への効果は限定的かもしれません。

一方、融資額が小さくても、地域の空き家が活用され、地元企業の売上や雇用が増えれば、地域経済への貢献は大きくなる可能性があります。

そのため、地域金融機関には、融資額や融資件数だけでなく、融資後の経済活動を把握することが求められます。

例えば、空き家の活用件数、住宅改修工事の受注額、地域企業の売上増加、創業件数、雇用創出などです。

また、金融機関自身の収益性や信用リスクも重要です。

地域経済への貢献を重視するあまり、返済可能性の低い融資を増やせば、金融機関の健全性が損なわれる可能性があります。

地域金融機関には、地域経済への貢献と金融機関としての健全経営を両立させることが求められます。

二地域居住は地域金融機関のビジネスモデルを変える

二地域居住の普及は、地域金融機関のビジネスモデルにも影響を与える可能性があります。

従来の地域金融機関は、地域内に住む個人や地域内で事業を営む企業を主な顧客としてきました。

しかし、二地域居住者は、都市部に生活の本拠を置きながら地方で経済活動を行います。

そのため、地域金融機関は、地域内の住民だけでなく、地域外から継続的に関わる人々も顧客として捉える必要があります。

例えば、都市部に住む会社員が地方の住宅を購入し、地元企業と取引する場合です。

住宅融資、預金、決済、創業支援、資産運用など、複数の金融サービスを提供する機会が生まれます。

また、二地域居住者が地方企業の経営に参加すれば、事業承継や企業間連携などの支援にもつながります。

ただし、都市部の金融機関との競争も考えられます。

地域金融機関が選ばれるためには、金利条件だけでなく、地域の不動産情報や企業情報、人材ネットワークなどの強みを生かす必要があります。

地域の事情を深く理解していることが、地域金融機関の競争力になる可能性があります。

結論

二地域居住の普及は、地方銀行や信用金庫などの地域金融機関に新しい事業機会をもたらす可能性があります。

人口減少が進む地方では、従来の住宅ローンや企業融資の需要が伸び悩む地域もあります。

一方、二地域居住者が増えれば、地方の中古住宅や空き家に新しい需要が生まれます。

住宅の購入や改修、地域での起業、地元企業との取引などを通じて、地域外から資金が流入することが期待されます。

ただし、二地域居住用の住宅は、通常の自己居住用住宅とは利用形態が異なります。

そのため、住宅ローンの適用条件、担保評価、返済能力の審査などに注意が必要です。

特に地方の空き家では、改修費用が大きくなる一方、担保価値や売却可能性が低い場合があります。

金融機関には、不動産の担保価値だけでなく、借入人の返済能力や住宅の利用実態などを総合的に評価することが求められます。

また、二地域居住による地域経済への効果は、住宅融資だけにとどまりません。

都市部の専門人材が地方企業の経営支援や事業承継に関われば、新しい経済活動が生まれる可能性があります。

地域金融機関には、資金の供給者としての役割に加え、人材や事業機会を結び付ける役割も期待されます。

さらに、二地域居住者の金融資産を地域経済に結び付ける場合には、投資リスクや老後資金への影響にも配慮する必要があります。

地域経済への貢献と金融機関の健全経営を両立させることが重要です。

人口減少社会では、地域内の住民だけを対象とした従来の金融ビジネスには限界が生じる可能性があります。

これからの地域金融機関には、地域外から継続的に関わる人々を含めて、地域経済を支える仕組みを構築することが求められます。

二地域居住は、都市部の人材、資金、知識、経験を地方に結び付ける新しい経済活動です。

地域金融機関がその橋渡し役を担うことができれば、二地域居住は単なる住宅需要の拡大にとどまらず、地方経済の持続可能性を高める取り組みにつながると考えられます。

参考

日本経済新聞 2026年10月掲載 データで読む地域再生「二地域居住」気軽に地方体験、推進自治体は3割増 担い手不足も解消

日本経済新聞 2026年10月掲載 データで読む地域再生 関東・山梨「関東・山梨の二地域居住、都市との近さ武器 山村留学やお試し滞在」

国土交通省 二地域居住等の促進に関する制度資料

国土交通省 空き家対策に関する制度資料

金融庁 地域金融機関による事業者支援に関する資料

金融庁 地域金融力の強化に関する資料

中小企業庁 中小企業の事業承継に関する資料

タイトルとURLをコピーしました