リゾート会員権は投資商品なのか 値上がりしても株式と同じように考えてはいけない理由編

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リゾート会員権の中古価格が上昇すると、

安いうちに買って高く売れば利益が出るのではないか

と考える人もいるかもしれません。

2026年7月の中古リゾート会員権の平均価格は411万円となり、比較可能な2019年1月以降で最高値を更新しました。

価格が上がったり下がったりし、中古市場で売買できるのであれば、株式や不動産のような投資商品に見えます。

しかし、リゾート会員権を株式と同じ感覚で考えるのは注意が必要です。

リゾート会員権の本来の目的は、値上がり益を得ることではなく、リゾート施設を利用することにあるからです。

投資とは将来の収益を期待してお金を出すこと

まず投資とは何かを考えてみましょう。

株式を購入する場合、投資家は将来の利益を期待します。

企業が成長して株価が上昇すれば、購入価格より高く売却できる可能性があります。

企業が利益を上げれば、配当を受け取れる場合もあります。

債券なら利子を受け取ることができます。

不動産投資なら家賃収入を得ることができます。

つまり一般的な投資では、

保有している間に収益を得る

または、

値上がりしたところで売却して利益を得る

ことが大きな目的になります。

リゾート会員権の目的は施設を利用すること

一方、リゾート会員権を購入する最大の目的は、会員制のリゾート施設を利用することです。

会員権を購入することで、契約内容に応じた施設や客室を利用できるようになります。

つまり会員権によって得られる中心的な価値は、

毎年配当を受け取ること

ではなく、

旅行や休暇を楽しむこと

です。

この点で株式とは性格が大きく異なります。

リゾート会員権は価格が付く財産である一方、実際に使うことによって価値を得る商品でもあるのです。

株式は持っているだけで配当を受け取れる場合がある

株式との違いをもう少し詳しく見てみましょう。

企業の株式を保有していると、その企業が配当を実施すれば株主は配当金を受け取ることができます。

100万円分の株式を持っていて、年間3万円の配当を受け取れば、保有していることによって現金収入が生まれます。

もちろん配当が保証されているわけではありません。

業績が悪化すれば減配や無配になることもあります。

それでも株式には、企業が生み出した利益の一部を株主へ分配する仕組みがあります。

リゾート会員権には通常の意味での配当はない

リゾート会員権は、一般的な株式のように保有しているだけで毎年配当金が振り込まれるものではありません。

むしろ保有している間に年会費などの負担が発生する場合があります。

つまりキャッシュフローの方向が株式とは違います。

株式なら、

保有していることでお金を受け取る

ことがあります。

リゾート会員権では、

保有していることで継続的にお金を支払う

ことがあります。

もちろんその代わりに施設を利用する権利があります。

したがって現金収入だけを基準に考えれば、一般的な金融投資とはかなり性格が異なります。

値上がりしても利益が出たとは限らない

たとえば300万円で購入したリゾート会員権が500万円になったとします。

価格だけを見れば、

200万円値上がりした

ことになります。

株式であれば、300万円で買ったものを500万円で売れば、税金や売買費用などを考慮する前では200万円の値上がり益です。

しかしリゾート会員権では、保有期間中に年会費などを支払っている可能性があります。

仮に年間10万円を10年間支払っていれば、

10万円掛ける10年で100万円

です。

さらに購入時や売却時に費用がかかる場合もあります。

したがって200万円値上がりしたからといって、経済的に200万円得をしたとは限りません。

維持費を差し引いて考える必要がある

単純化して考えてみましょう。

300万円で会員権を購入します。

10年間で100万円の年会費などを支払います。

10年後に500万円で売却します。

購入価格と売却価格だけを比べれば200万円の値上がりです。

しかし保有中の100万円を考えれば、単純な差額は100万円まで縮小します。

さらに売買に伴う費用などがあれば、それも考慮する必要があります。

つまり会員権では、

いくらで買ったか

いくらで売ったか

だけでは損得を判断できません。

保有している間にいくら支払ったのかも重要なのです。

ただし宿泊した価値も忘れてはいけない

ここでさらに難しいのが、リゾート会員権では保有期間中に施設を利用していることです。

仮に10年間で100万円の年会費などを支払っていても、その間に何十泊もリゾート施設を利用していたとします。

その100万円を単純に投資上の損失と考えるのも適切ではありません。

会員はその負担と引き換えに旅行というサービスを受けているからです。

つまりリゾート会員権では、

金融的な損益

と

利用によって得た価値

を分けて考える必要があります。

ここが普通の株式投資との大きな違いです。

旅行を楽しんだ価値は数字にしにくい

株式なら、購入価格、売却価格、配当金などを使って損益を比較的計算しやすくなります。

しかし旅行の価値は簡単には金額にできません。

家族と過ごした時間。

温泉で休んだこと。

旅行先での思い出。

仕事から離れてリフレッシュできたこと。

こうした価値には市場価格がありません。

同じ1泊でも、人によって感じる価値は違います。

そのためリゾート会員権は、

最終的に何円儲かったか

だけで評価する商品ではないのです。

値上がり益は副次的なものと考える

もちろん中古価格が上昇すれば、会員にとって悪いことではありません。

将来売却するときに高く売れる可能性があるからです。

300万円で購入したものを500万円で売却できれば、購入代金の回収という意味では有利になります。

しかし、その値上がりを購入目的の中心にすると注意が必要です。

会員権価格が将来も上昇する保証はありません。

現在人気の施設でも、将来は需要が変わる可能性があります。

新しい施設が登場するかもしれません。

利用者の世代交代もあります。

旅行の流行も変化します。

したがって値上がり益は、

得られればプラス

という副次的なものとして考える方が、会員権本来の性格に合っています。

バブル期には投機的な需要もあった

リゾート会員権を投資商品として考える際には、過去の経験も重要です。

資産価格が上昇する局面では、

使うために買う

のではなく、

もっと高く売るために買う

人が増えることがあります。

これが投機的な需要です。

購入者が施設を利用することより値上がり益を重視するようになると、実際の利用価値以上に価格が上昇する可能性があります。

しかし価格上昇への期待が崩れれば、今度は売却希望者が増えます。

買い手が減り、売り手が増えれば価格は下落します。

値上がりだけを前提に購入することにはリスクがあるのです。

2026年の上昇は実需が注目されている

2026年のリゾート会員権市場では、円安などを背景に海外旅行の負担が増え、国内旅行へ需要が向かっていることが価格上昇の背景にあります。

株価上昇による資産効果も購入を支える要因として考えられます。

つまり、

高く売れるから買う

という需要だけではなく、

実際に国内リゾートを利用したいから買う

という実需が価格を支えている点が重要です。

これは投機目的の購入が膨らんだ市場とは性格が異なります。

ただし実需中心だから価格が下がらないという意味ではありません。

需給が変化すれば中古価格も変化します。

利回りで比較しにくい

金融商品では利回りが重要な判断材料になります。

たとえば100万円を投資して年間3万円の利益を得られるなら、単純な利回りは3%です。

ところがリゾート会員権では、

年間何円の利益を生み出すか

という考え方をそのまま当てはめることが難しくなります。

会員権から得る中心的な利益が現金ではなく、施設を利用する価値だからです。

普通にホテルへ泊まった場合と比べて年間いくら節約できたのかを計算することはできます。

しかし、それも利用回数や泊まる時期によって変わります。

金融商品の利回りのような一つの数字だけで優劣を判断しにくいのです。

売りたいときに売れるとは限らない

投資として考えるなら流動性も重要です。

上場株式なら、市場が開いている時間に売買できるものが多くあります。

一方、リゾート会員権は買い手が見つからなければ売却できません。

人気会員権なら比較的取引されやすいかもしれません。

しかし需要が弱い会員権では、希望する価格で売却するまで時間がかかる可能性があります。

価格を下げなければ売れない場合もあります。

つまり画面に表示されている市場価格と、

自分が実際に現金化できる価格

が必ず一致するとは限りません。

会員権価格が上がっても施設の利用価値とは別

中古会員権が300万円から500万円へ値上がりしたとしても、ホテルの客室が以前より広くなったとは限りません。

サービスが必ず向上したとも限りません。

値上がりの原因が、単に買いたい人が増えたことかもしれないからです。

反対に中古価格が下落しても、自分が気に入って毎年利用しているのであれば、利用価値まで同じ割合で下がったとは限りません。

市場価格と自分にとっての価値は別なのです。

投資と消費の両方の性格を持っている

リゾート会員権を理解するうえでは、

投資なのか

消費なのか

と二者択一で考えない方が分かりやすいでしょう。

中古市場で売却でき、価格が変動するという意味では資産的な側面があります。

一方、購入目的は施設を利用して旅行を楽しむことです。

その意味では消費的な側面があります。

つまりリゾート会員権は、

資産として売買できる

と同時に、

使うことで価値を得る

という二つの性格を持っています。

結論

リゾート会員権は中古市場で価格が付き、購入価格より高く売却できることもあります。

その意味では資産としての側面があります。

しかし、株式と同じような投資商品として考えるのは注意が必要です。

株式では配当を受け取れる場合がありますが、リゾート会員権では保有中に年会費などを支払う場合があります。

さらに値上がりしても、購入費、維持費、売却時の費用などを考えれば、値上がり額がそのまま利益になるわけではありません。

一方、その期間に施設を何度も利用していれば、旅行という価値を受け取っています。

つまりリゾート会員権では、

いくら儲かったか

だけでは損得を測れません。

どれだけ利用し、どれだけ満足を得たのかという視点も必要です。

値上がりすればうれしい。

しかし値上がりしなくても、十分に利用して満足できる。

リゾート会員権は、そのような前提で考える方が本来の性格に近い商品です。

株式が主としてお金を増やすための資産だとすれば、リゾート会員権はお金を使って時間や体験を豊かにするための権利です。

中古価格の上昇だけを見ず、その違いを理解することが重要なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月5日朝刊 リゾート会員権 最高値 7月411万円 円安で国内旅行回帰

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