60代のiDeCoは何に投資すればよいのか 株式だけでなく債券を組み合わせる理由編

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60歳以降もiDeCoで資産形成を続けられるようになると、次に悩むのが何に投資するかです。

若い世代なら、長い運用期間を生かして株式中心で運用する考え方があります。

しかし60代では事情が異なります。

運用できる期間が比較的短く、70歳以降には積み立てた資産を使い始める可能性があるからです。

そこで重要になるのが、株式だけではなく債券も組み合わせる考え方です。

資産を増やすことと、大きく減らさないこと。

60代のiDeCoでは、この二つのバランスが重要になります。

株式は値上がりを期待できる一方で値動きも大きい

株式は企業の成長による利益を期待できる資産です。

長期間保有することで、預貯金や債券を上回る収益を得られる可能性があります。

その一方で、経済危機や企業業績の悪化などによって大きく値下がりすることがあります。

若い世代であれば、一時的に資産が減っても回復を待つ時間を確保しやすくなります。

60代では、同じ下落でも意味が違います。

70歳からiDeCoを取り崩す予定なのに、69歳で株式市場が大幅に下落すれば、安い価格で資産を売却しなければならない可能性があります。

債券を組み合わせる理由

債券は、国や企業などがお金を借りるために発行する有価証券です。

一般的には株式より価格変動が小さい傾向があります。

もちろん債券にも価格変動があります。

金利が上昇すると既に発行されている債券の価格が下落することがありますし、企業が発行する債券には信用リスクもあります。

それでも株式とは異なる値動きをする資産を組み合わせることで、資産全体の値動きを抑えられる可能性があります。

60代のiDeCoでは、この分散効果が重要になります。

国内だけでなく海外にも分散する

分散投資では、株式と債券を組み合わせるだけでなく、投資する地域を分ける方法もあります。

代表的なのが国内株式、外国株式、国内債券、外国債券という四つの資産への分散です。

例えば、それぞれを4分の1ずつ保有する方法があります。

日本株が低迷していても外国株が上昇することがあります。

株式全体が下落していても、債券が比較的安定することがあります。

一つの資産だけに老後資金を集中させないことが目的です。

4資産分散でも元本割れは起こる

注意したいのは、分散投資をすれば損をしないわけではないことです。

株式と債券を国内外に分散しても、金融市場全体が大きく混乱すれば資産は減少します。

参考記事では、国内外の株式と債券を4分の1ずつ保有する運用について、10年間の積み立てを過去の様々な時期で検証しています。

平均では積立額の約1.4倍になりました。

744万円を積み立てた場合に置き換えると約1041万円です。

一方、リーマンショック後の厳しい時期には、10年間積み立てても資産が積立額の87パーセント程度まで減少したケースがありました。

分散投資は損失をなくす方法ではなく、大きな値動きを抑えるための方法と考える必要があります。

取り崩す直前の暴落が怖い

60代の資産運用で特に注意したいのが、資産を使い始める直前の暴落です。

例えば60歳から69歳までiDeCoで積み立て、70歳から取り崩す計画だったとします。

69歳で株式市場が大幅に下落すると、資産が減った状態から取り崩しを始めることになります。

安値で資産を売れば、その後市場が回復しても、その回復の恩恵を十分に受けられません。

若い時期の積立投資では買う価格の分散が重要ですが、老後が近づくと売る時期の分散も重要になります。

受取時期を遅らせる方法もある

iDeCoは、掛け金を拠出できる期間と資産を受け取り始める時期が同じではありません。

制度上認められる範囲で、受取開始を遅らせることができます。

例えば70歳時点で市場が大幅に下落していれば、生活資金に余裕がある人はiDeCoをすぐに取り崩さず、運用を続ける方法を検討できます。

参考記事では、4資産分散について10年間積み立てた後、さらに5年間保有した場合も検証しています。

リーマンショック後に大きく落ち込んだケースでも、その後の5年間で回復した例が示されています。

もちろん将来も同じように回復する保証はありません。

それでも、受取時期に余裕を持たせること自体がリスク管理になります。

生活費として使う時期から逆算する

60代のiDeCoで適切な資産配分は、年齢だけでは決まりません。

重要なのは、そのお金をいつ使うのかです。

70歳になったらすぐ生活費として使う予定なら、価格変動の大きな資産を減らしていく考え方があります。

一方、預貯金や退職金、公的年金などで生活費を十分に賄え、iDeCoを75歳近くまで使わないのであれば、比較的長い運用期間を確保できます。

同じ65歳でも、5年後に使う1000万円と15年後に使う1000万円では、取れるリスクは違います。

年齢ではなく使用時期から逆算して資産配分を決めることが重要です。

結論

60代のiDeCoでは、株式だけで運用する必要はありません。

株式には高い収益を期待できる一方、大きな価格下落が起きる可能性があります。

特に60代では、老後資金を取り崩す直前に暴落するリスクを考える必要があります。

そこで国内株式、外国株式、国内債券、外国債券などへ分散し、資産全体の値動きを抑える方法があります。

ただし分散投資でも元本割れは起こります。

大切なのは、何歳だから株式を何パーセントにするという考え方だけではありません。

そのお金をいつ使うのか、預貯金や退職金がどれくらいあるのか、公的年金で生活費をどこまで賄えるのかまで考えることです。

60代のiDeCoでは、最大限増やすことより、必要なときに大きく減っていない状態をつくることが重要になります。

増やすための株式と守るための債券を組み合わせる。

それが60歳以降の資産形成を考える一つの基本になります。

参考

日本経済新聞 2026年9月12日 朝刊 60歳からiDeCo増額 拠出・非課税枠活用しやすく

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