インデックス型とアクティブ型のどちらを選べばよいのか。
投資信託を選ぶときによく出てくる問題です。
インデックス型には低コストで幅広く分散投資しやすいという特徴があります。一方、アクティブ型にはファンドマネジャーが企業を分析し、市場平均を上回る運用成績を目指すという特徴があります。
この2つをどちらか一方だけ選ぶのではなく、組み合わせて利用する方法があります。
それがコアサテライト戦略です。
コアサテライト戦略とは何か
コアサテライト戦略とは、保有する金融資産をコアとサテライトという2つの部分に分けて運用する考え方です。
コアとは中心という意味です。
資産運用の土台となる部分を指します。
サテライトとは衛星という意味です。
中心となるコアの周囲に、異なる特徴を持った投資対象を組み合わせます。
資産の大部分を比較的幅広く分散された商品で運用し、一部でより積極的な運用を行うのが基本的な考え方です。
コア資産の役割
コア資産には、資産運用全体の土台という役割があります。
そのため、幅広く分散でき、長期間保有しやすく、運用コストを抑えやすい商品が利用されることがあります。
代表的なのがインデックス型投資信託です。
例えば全世界株式型のインデックス投信であれば、多数の国や企業へまとめて投資できます。
S&P500などの指数に連動する投信をコアにする考え方もあります。
ただし、何をコアにするかは投資家の目的やリスク許容度によって異なります。
株式だけではなく債券などを組み合わせることもあります。
重要なのは、コア部分を資産形成の中心として考えることです。
コアでは低コストが重要になる
コア資産は長期間保有することを前提にする場合が多いため、運用コストが重要になります。
今回の記事によると、集計対象となったインデックス型投信の実質信託報酬は平均0.3914パーセントでした。
アクティブ型は平均1.5299パーセントです。
毎年の差は小さく見えても、長期間保有すればコストは積み重なります。
資産の大部分を占めるコアのコストを抑えることは、資産全体の運用コストを抑えることにもつながります。
インデックス型がコア資産として利用されやすい理由の一つです。
サテライト資産の役割
サテライト部分では、コアとは異なる投資を行います。
例えばアクティブ型投資信託を利用する方法があります。
ファンドマネジャーが企業を分析し、成長性が高いと判断した企業や割安と判断した企業を選んで投資します。
特定の業種や地域、中小型株などに投資する方法も考えられます。
コアより積極的にリスクを取ることで、市場平均を上回る収益を目指す部分と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、高い収益を狙える可能性があることは、高い収益が保証されることを意味しません。
市場平均を下回る可能性もあります。
なぜ全部をアクティブ型にしないのか
アクティブ型が市場平均を上回る可能性があるのであれば、すべてアクティブ型にすればよいと思うかもしれません。
しかし、継続して市場平均を上回ることは簡単ではありません。
今回の記事では、日本株の場合、直近10年間でTOPIXを上回った大型株ファンドの割合は約半分でした。
米国株に投資するアクティブ投信でS&P500を上回った割合は1割にとどまっています。
さらにアクティブ型は一般的にインデックス型より運用コストが高くなります。
そこで資産の中心は低コストで幅広く分散し、一部分だけで積極的な運用を行うという考え方が出てきます。
なぜ全部をインデックス型にしないのか
反対に、低コストのインデックス型だけで運用する方法もあります。
コアサテライト戦略を必ず採用しなければならないわけではありません。
それでもサテライトを設ける理由の一つは、市場平均とは異なる収益機会を狙えることです。
今回の記事では、インデックス投資の増加によって市場の価格発見機能が低下する可能性が指摘されています。
指数に連動する機械的な売買によって、企業の本来の価値以上に売られる銘柄が出てくれば、企業分析を行うアクティブ運用に投資機会が生まれる可能性があります。
市場平均そのものを保有するコアと、市場平均とは違う動きを狙うサテライトでは役割が異なるわけです。
インデックスとアクティブは対立するものではない
インデックス型とアクティブ型は対立する投資方法として語られることがあります。
しかしコアサテライト戦略では、両者を役割の異なる道具として考えます。
インデックス型には、市場全体へ低コストで分散投資しやすいという特徴があります。
アクティブ型には、企業を分析して市場が見落としている価値を探すという特徴があります。
それぞれの長所を異なる部分で利用するわけです。
どちらが絶対的に優れているかではなく、何のために保有するのかを考えることが重要になります。
サテライトを増やしすぎるとコアが見えなくなる
コアサテライト戦略で注意したいのが、サテライトを増やしすぎることです。
テーマ型投信、特定国の投信、中小型株投信、個別株などを次々に加えていくと、資産全体がどのような構成になっているのか分かりにくくなります。
例えばコアで全世界株式を保有している人が、サテライトで米国株や日本株を追加すれば、それらの国への投資比率は高くなります。
同じ企業を複数の商品を通じて保有する場合もあります。
商品数が多いことと、十分に分散されていることは同じではありません。
商品単位ではなく資産全体を見る
コアサテライト戦略で最も重要なのは、1本ずつの商品ではなく資産全体を見ることです。
どの国にどれくらい投資しているのか。
株式と債券の割合はどうなっているのか。
特定の企業や業種へ偏っていないか。
運用コストは資産全体でどの程度なのか。
こうした視点で確認する必要があります。
サテライトの運用成績が好調になると、その部分の割合が当初より大きくなることもあります。
反対に値下がりすれば小さくなります。
必要に応じて資産配分を見直すことも、コアサテライト戦略の一部です。
新NISAでも考え方は同じ
新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。
この2つを利用するときにも、資産全体で考える視点は重要です。
例えば、つみたて投資枠でインデックス型を積み立て、成長投資枠で別の商品を保有する方法も考えられます。
ただし、つみたて投資枠が必ずコアで、成長投資枠が必ずサテライトになるわけではありません。
NISAは税制上の制度です。
コアサテライトは資産配分の考え方です。
この2つを分けて理解することが大切です。
結論
コアサテライト戦略とは、資産運用の中心となるコアと、より積極的な運用を行うサテライトを組み合わせる考え方です。
コアには低コストで幅広く分散しやすいインデックス型を利用し、サテライトにはアクティブ型などを組み合わせる方法があります。
インデックス型とアクティブ型のどちらが優れているかを決めるのではなく、それぞれに異なる役割を持たせることが特徴です。
ただし、サテライトを増やしすぎれば資産構成が複雑になり、知らないうちに特定の国や企業へ投資が偏ることもあります。
重要なのは個々の商品だけを見るのではなく、資産全体を一つのポートフォリオとして考えることです。
インデックス型が投信市場の過半を占める時代だからこそ、インデックスかアクティブかという二者択一ではなく、それぞれをどのような役割で利用するのかという視点も重要になっています。
参考
日本経済新聞 2026年9月16日 朝刊 投信、指数連動型が過半に 低コストが投資家の支持集める
日本経済新聞 2026年9月16日 朝刊 分散投資の効果見込む