オルタナ投資は個人にも必要なのか 機関投資家の運用方法をそのまま真似できない理由編

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機関投資家の間では、オルタナティブ投資の存在感が高まっています。

記事によると、英調査会社プレキンの調査では、機関投資家のオルタナ資産への投資比率は約25%に達しています。

大学基金などではPEへの配分比率が非常に高い例もあります。

こうした数字を見ると、個人投資家も資産の20%や30%をオルタナ資産へ投資した方がよいように感じるかもしれません。

しかし、機関投資家と個人投資家では、運用するお金の目的も使う時期も異なります。

機関投資家の資産配分をそのまま個人へ当てはめることはできません。

機関投資家とは何か

機関投資家とは、大量の資金を専門的に運用する組織です。

年金基金、保険会社、大学基金などが代表例です。

こうした投資家は、長期間にわたって資産を運用します。

専門的な運用担当者がいて、さまざまな資産のリスクや期待リターンを分析しながら資産配分を決めます。

個人投資家との大きな違いは、単に運用金額が大きいことではありません。

運用目的、投資期間、必要な流動性などの条件が違うことが重要です。

機関投資家は長期間運用できる

オルタナ投資では、長期投資できることが大きな強みになります。

例えばPEでは、投資した資金を長期間回収できない場合があります。

途中で現金が必要になっても、上場株式のように簡単に売却できるとは限りません。

大学基金などは、長期間使う予定のない資金を一定程度持つことができます。

そのため、流動性を手放し、PEなどへ投資する余地があります。

その対価として流動性プレミアムなどの追加的なリターンを狙うことができます。

個人にはお金を使う時期がある

個人の場合は事情が異なります。

人生では、さまざまな場面でまとまったお金が必要になります。

住宅購入。

子どもの教育。

自動車の購入。

退職後の生活。

さらに、予定していなかった支出が発生する可能性もあります。

そのため、資産のすべてを長期間換金できない商品へ投資することはできません。

投資期間が長いことと、途中で資金を使う必要がないことは同じではないのです。

個人にとって流動性は大きな価値を持つ

個人の資産運用では、必要なときに現金へ戻せることが重要です。

例えば、上場株式や一般的な投資信託であれば、価格変動はあるものの売却して現金化することができます。

一方、オルタナ商品には途中解約が制限されていたり、一定期間売却できなかったりするものがあります。

期待リターンが高くても、必要なときに資金を取り出せなければ生活上の問題が生じます。

したがって、個人の場合には期待リターンだけではなく、流動性そのものに大きな価値があります。

投資できる商品にも違いがある

機関投資家と個人では、投資できる商品の範囲にも違いがあります。

大規模な機関投資家は、PEファンドや非上場不動産など、さまざまな投資機会へアクセスできる場合があります。

また、投資対象を詳しく調査するための専門家もいます。

一方、個人向けに販売されるオルタナ商品は、機関投資家が利用している商品と同じとは限りません。

投資対象、手数料、換金条件、運用期間などが異なる場合があります。

「機関投資家がオルタナ投資を増やしている」という理由だけで、個人向け商品へ投資することは適切ではありません。

商品の中身を確認する必要があります。

資産規模の違いも重要になる

資産規模によっても、取れる流動性リスクは変わります。

例えば、多額の金融資産を持ち、その一部だけを長期間使わない人であれば、流動性の低い資産へ資金を振り向ける余地があります。

一方、金融資産の多くを将来の生活費として使う予定の人では事情が違います。

同じ1,000万円をオルタナ商品へ投資するとしても、金融資産が1億円ある人と1,500万円の人では意味がまったく異なります。

重要なのは投資金額そのものではなく、資産全体に占める割合です。

個人にもオルタナ投資の意味はある

もちろん、個人にオルタナ投資の意味がないわけではありません。

株式や債券とは異なる収益源を持つ資産を組み入れることで、分散効果を期待できる場合があります。

また、長期間使わない余裕資金であれば、一定の流動性リスクを引き受けて追加的なリターンを狙う考え方もあります。

重要なのは、

「オルタナ投資をするべきか」

と一律に考えることではありません。

自分の資産全体の中でオルタナ資産にどのような役割を持たせるのかを考えることです。

まず投資目的を決める

オルタナ投資を考える前に確認したいのが投資目的です。

高いリターンを狙いたいのか。

株式への集中を減らしたいのか。

異なる収益源を追加したいのか。

長期間使わない資金を活用したいのか。

目的によって適切な商品は変わります。

さらに、その資金をいつ使う可能性があるのかも考える必要があります。

商品を先に選ぶのではなく、目的と投資期間から商品を選ぶことが重要です。

機関投資家から学ぶべきなのは比率ではない

機関投資家の資産配分は参考になります。

しかし、参考にすべきなのは「PEを何%持っているか」という数字だけではありません。

なぜその資産を保有しているのか。

どのようなリスクを取っているのか。

どれくらいの期間運用するのか。

資産全体の中でどのような役割を持たせているのか。

こうした考え方の方が重要です。

機関投資家の投資商品を真似するのではなく、資産配分を決める考え方を学ぶことに意味があります。

結論

オルタナ投資は機関投資家の間で広く利用されていますが、個人投資家が同じ資産配分をそのまま真似する必要はありません。

機関投資家と個人では、運用期間、資産規模、資金を使う時期、必要な流動性が異なるからです。

個人にも、分散効果や追加的なリターンを狙う目的でオルタナ資産を利用する余地はあります。

しかし、その前に生活資金や近い将来に使う資金を確保し、どこまで長期間動かさなくてもよい資金なのかを考える必要があります。

大切なのは、機関投資家がオルタナ資産を何%持っているかではありません。

自分が何のためにその資産を持つのかを明確にすることです。

オルタナ投資では、他人の資産配分を真似するのではなく、自分の目的、投資期間、流動性に合わせて判断することが重要なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 何のためのオルタナ投資か

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