オルタナティブ投資に興味を持つと、次に気になるのが「いくら投資すればよいのか」という問題です。
記事によると、機関投資家のオルタナ資産への投資比率は約25%にまで高まっています。
しかし、この数字をそのまま個人投資家へ当てはめることはできません。
オルタナ投資には、PEのように長期間資金を動かせないものがあります。
そのため、投資額を決めるときには「100万円なら大丈夫」「500万円なら多すぎる」と金額だけで考えるのではなく、自分の資産全体に占める割合を見る必要があります。
投資金額だけでは判断できない
例えば、2人の投資家がそれぞれ500万円をオルタナ資産へ投資するとします。
投資金額は同じです。
しかし、1人は金融資産を5,000万円持ち、もう1人は金融資産を700万円持っているとします。
前者では500万円は金融資産の10%です。
後者では約71%になります。
同じ500万円でも、資産全体に与える影響はまったく違います。
そのため、投資額を見るときには絶対額だけではなく、資産全体に占める割合を見る必要があります。
まず生活資金を分ける
オルタナ投資を考える前に、まず投資に回さない資金を分けて考えることが重要です。
日常生活に必要なお金があります。
突然の支出に備える資金も必要です。
さらに、数年以内に住宅購入や教育費などで使う予定の資金がある人もいます。
こうしたお金を、長期間換金できない可能性がある商品へ投資すると、必要なときに資金を取り出せなくなる恐れがあります。
したがって、最初に考えるのはオルタナ投資へ何%配分するかではありません。
どの資金なら長期間使わなくてもよいのかを確認することです。
長期資金と短期資金を分ける
資産は使う時期によって分けて考えることができます。
近いうちに使う資金。
数年後に使う可能性がある資金。
10年、20年以上使わない可能性が高い資金。
このうち、流動性の低いオルタナ資産と比較的相性がよいのは長期資金です。
PEなどでは資金が長期間拘束される場合があります。
そのため、投資商品の運用期間と自分がお金を使う時期を一致させる必要があります。
長期投資できるというだけではなく、「その間、本当にそのお金を使わなくてもよいか」が重要になります。
オルタナ資産だけで資産配分を考えない
オルタナ投資への配分を決めるときには、現在保有している資産全体を見る必要があります。
例えば、株式を多く保有している人が、株式とは異なる値動きをするオルタナ資産を追加すれば、分散効果が期待できる場合があります。
一方、自宅や賃貸物件など多額の不動産をすでに保有している人が、不動産系のオルタナ商品を追加するとどうでしょうか。
金融商品の中では分散しているように見えても、資産全体では不動産への集中が強まる可能性があります。
預金、株式、債券、不動産などを含めて資産全体を見ることが重要です。
配分比率が高いほど流動性リスクも大きくなる
流動性の低い資産への配分が増えるほど、資産全体の換金性は低下します。
例えば、金融資産の5%だけが長期間換金できない場合と、50%が換金できない場合では意味が大きく異なります。
後者では、突然まとまった資金が必要になったときに、残りの資産だけで対応しなければなりません。
その結果、株式市場が大きく下落しているときに、換金できる株式を売却せざるを得なくなることも考えられます。
オルタナ資産そのもののリスクだけではなく、資産全体の流動性がどう変化するかを見る必要があります。
分散のつもりが集中になることもある
オルタナ資産へ投資すれば、自動的に分散投資になるわけではありません。
例えば、株式型のPEを大量に保有すれば、上場株式とは違う商品でも、企業価値の変動という共通したリスクを持つ場合があります。
不動産関連商品を複数保有しても、同じ地域や同じ用途の不動産に集中していれば、特定の市場環境の影響を強く受けます。
商品名や運用会社が違うだけでは十分ではありません。
その資産が何によって値動きするのかを見ることが重要です。
機関投資家の25%を基準にしない
記事では、機関投資家のオルタナ資産への投資比率が約25%まで高まったとされています。
しかし、この25%を個人投資家の目標値と考える必要はありません。
機関投資家には長期的な資金があります。
専門的な運用体制もあります。
さらに、投資対象や資金需要も個人とは異なります。
同じ25%でも、その意味は投資家によって違います。
大切なのは「他の投資家が何%持っているか」ではなく、「自分はいくらまで流動性を手放せるか」です。
配分は一度決めたら終わりではない
資産配分は、一度決めれば永久に同じでよいわけではありません。
年齢や家族構成が変われば、お金を使う時期も変わります。
退職が近づけば、運用資産を生活費として取り崩す時期も近づきます。
その場合、以前は長期運用できた資金でも、徐々に流動性を高める必要が出てくるかもしれません。
反対に、当面使う予定のない資金が増えれば、長期投資へ回せる余地が広がる場合もあります。
オルタナ資産への配分は、人生の変化に合わせて見直す必要があります。
結論
オルタナ投資に「誰でも何%までならよい」という一律の数字があるわけではありません。
同じ500万円を投資しても、金融資産が5,000万円ある人と700万円の人では意味が大きく異なります。
重要なのは投資金額ではなく、資産全体に占める割合と、その資金をいつ使うのかです。
まず生活資金や近い将来に使う資金を確保します。
そのうえで、長期間使う予定のない資金の中から、どこまで流動性リスクを取れるのかを考えます。
さらに、株式や債券、不動産など現在保有している資産を含めて、特定のリスクへ集中していないかを確認することも必要です。
オルタナ投資では、「いくら投資するか」より先に「資産全体の中でどのような役割を持たせるのか」を決めることが重要なのです。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 何のためのオルタナ投資か