2階建て住宅ローンには、毎月の返済額を抑えられるという大きな特徴があります。
しかし、毎月の返済額が少ないからといって、住宅ローンの負担そのものが小さくなるわけではありません。
むしろ確認しておきたいのが金利です。
ドコモSMTBネット銀行の期日一括返済併用型住宅ローンでは、通常の住宅ローンと比べて金利が0.35%上乗せされます。
0.35%という数字だけを見ると、それほど大きな差ではないように感じるかもしれません。
ところが住宅ローンは数千万円から1億円を超える金額を、数十年間借りる金融商品です。
わずかな金利差でも、借入額と期間が大きくなると負担の違いが広がります。
金利0.35%上乗せとは何か
例えば通常の住宅ローンに適用される金利が年1%だったとします。
同じ条件で0.35%上乗せされれば、年1.35%になります。
年1.5%なら年1.85%です。
重要なのは、0.35%という金額を毎年支払うわけではないことです。
住宅ローン残高に対して追加の金利負担が発生します。
したがって、借入残高が大きいほど影響も大きくなります。
1億円なら0.35%は年間35万円
非常に単純化して考えてみます。
住宅ローン残高が1億円なら、その0.35%は年間35万円です。
5000万円なら年間17万5000円です。
1億5000万円なら年間52万5000円です。
実際の住宅ローンでは元金残高が変化するため、この金額をそのまま毎年支払い続けるわけではありません。
それでも、高額な借り入れでは0.35%の違いを無視できないことが分かります。
特に2階建て住宅ローンは、元金の一部を長期間据え置く仕組みです。
大きな元金が残り続けるため、金利差の影響を長期間受けることになります。
元金が減らない部分には利息が続く
通常の住宅ローンでは、毎月返済することで元金が少しずつ減ります。
元金が減れば、その元金に対して発生する利息も減っていきます。
一方、2階建て住宅ローンでは元金の50%を最終返済日まで据え置きます。
例えば1億円を借りて5000万円を据え置けば、その5000万円は長期間残ります。
その間、据え置いた元金についても利息を負担します。
つまり2階建て住宅ローンには、通常より高い金利と、大きな元金が長く残るという2つの特徴があります。
この組み合わせが総返済額に影響します。
毎月返済額と総返済額は別物
住宅ローンを選ぶとき、多くの人が最初に確認するのは毎月返済額でしょう。
毎月20万円なら払える。
毎月30万円になると厳しい。
このように家計との関係から判断することは重要です。
しかし、毎月返済額だけで住宅ローンの有利不利を判断することはできません。
例えば返済期間を長くすれば、一般に毎月返済額を抑えることができます。
元金の一部を最後まで据え置いても、毎月返済額を抑えられます。
その一方で、元金を長期間借り続ければ利息を支払う期間も長くなります。
毎月返済額が小さいことと、総返済額が小さいことは同じではありません。
なぜ高額物件ほど金利差が重要なのか
2階建て住宅ローンが注目される背景には、タワーマンションなどの住宅価格上昇があります。
借入額が3000万円なら0.35%の影響と、1億5000万円を借りた場合の影響は大きく異なります。
住宅ローンは割合で表示されるため、金利差だけを見ると負担を小さく感じやすい面があります。
そこで金利を見るときは、円に直して考えることが有効です。
自分の借入額なら1年間でどの程度の利息になるのか。
10年間ではどの程度になる可能性があるのか。
こうして金額に置き換えると、0.35%の意味を理解しやすくなります。
返済額が減った分は無料ではない
2階建て住宅ローンによって毎月返済額が減れば、その分だけ家計には余裕が生まれます。
教育費に使うこともできます。
NISAなどを通じて資産形成へ回すこともできます。
生活資金として手元に残すこともできます。
これは大きなメリットです。
ただし、その余裕を金融機関から無料で得ているわけではありません。
元金の返済を先送りする代わりに、金利を負担しています。
いわば将来の返済と追加の金利負担によって、現在のキャッシュフローに余裕をつくる仕組みと考えることができます。
投資に回せば金利差を取り戻せるのか
若い世代では、毎月の住宅ローン返済を抑え、浮いた資金をNISAなどによる投資へ回したいという考え方もあります。
ここでは住宅ローン金利と投資収益率の比較が出てきます。
例えば住宅ローンで追加的な金利を負担しても、それを上回る運用収益を長期間得られれば、資産全体では合理的になる可能性があります。
ただし大きな違いがあります。
住宅ローンの利息は契約に基づいて支払う必要があります。
一方、投資の収益は確定していません。
平均的には高い収益率が期待できる資産であっても、必要な時期に市場価格が下落している可能性があります。
金利と期待運用利回りの数字だけを単純比較することはできません。
金利上乗せだけで判断してはいけない
逆に、0.35%高いから2階建て住宅ローンは必ず不利だと考えるのも単純すぎます。
住宅ローンには資金繰りという役割もあるからです。
現役時代に住宅ローン返済を抑えることによって、教育費や資産形成などに資金を振り向けられる可能性があります。
将来まとまった資金を確保できる見通しがあり、現在のキャッシュフローを重視する人にとっては、選択肢になる場合があります。
したがって比較すべきなのは金利だけではありません。
現在の毎月返済額と総返済額、将来残る元金、手元に残せる資金、その資金の使い道まで含めて考える必要があります。
住宅ローンは総額で見る
住宅ローンの広告やシミュレーションでは、毎月返済額が分かりやすく表示されます。
もちろん重要な数字です。
しかし2階建て住宅ローンでは、それ以上に確認したい数字があります。
適用される金利はいくらか。
通常ローンと比較して何%高いのか。
返済期間全体で支払う利息はいくらになるのか。
最終返済日に元金はいくら残るのか。
この4つを合わせて確認することで、毎月返済額だけでは見えない負担が分かります。
結論
2階建て住宅ローンでは、元金の一部を最終返済日まで据え置くことで毎月の返済額を抑えることができます。
一方、記事で紹介された商品では通常の住宅ローンより金利が0.35%上乗せされます。
0.35%という数字だけを見ると小さく感じるかもしれません。
しかし1億円なら単純計算で年間35万円に相当する金利差です。
さらに元金の50%を据え置くため、大きな借入残高が長期間残ります。
住宅ローンで重要なのは、毎月いくら払うかだけではありません。
金利はいくらか。
総額でいくら支払うのか。
そして最後にいくら借金が残るのか。
2階建て住宅ローンを検討するときには、現在の返済額と将来の負担を同じテーブルに載せて考えることが重要です。
参考
日本経済新聞 2026年9月17日 朝刊 タワマン購入へ「2階建て」ローン、月々の負担減に落とし穴