1億円借りたら最後に5000万円残るとはどういうことか 2階建て住宅ローンの残高を数字で考える編

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住宅ローンを1億円借りると聞くと、多くの人は毎月少しずつ返済し、30年後や35年後には借金がなくなる姿を想像するでしょう。

ところが2階建て住宅ローンでは、同じ1億円を借りても返済の姿が大きく異なります。

ドコモSMTBネット銀行の期日一括返済併用型住宅ローンでは、元金の50%を最終返済日に一括して返済する仕組みになっています。

1億円を借りたなら5000万円です。

つまり長期間にわたって住宅ローンを返済してきたにもかかわらず、最後に5000万円という大きな元金が残ります。

この5000万円をどう準備するのか。

ここまで考えて初めて、2階建て住宅ローンの本当の負担が見えてきます。

1億円の借入を2つに分けて考える

2階建て住宅ローンの仕組みは、1億円の借入を2つに分けて考えると分かりやすくなります。

1つは5000万円です。

この部分については、通常の住宅ローンのように返済期間中に元金を返していきます。

もう1つも5000万円です。

こちらは元金を最終返済日まで据え置きます。

そのため毎月返済する元金が少なくなり、月々の負担を抑えることができます。

しかし借金そのものが5000万円減ったわけではありません。

返済時期を将来へ移しただけです。

35年間返済しても5000万円残る

例えば35年の住宅ローンを組んだとします。

通常の住宅ローンなら、35年間の返済によって元金をすべて返すことを前提とします。

最終返済時には住宅ローン残高がゼロになります。

一方、元金の50%を据え置く2階建て住宅ローンでは、返済期間中に5000万円を返済しても、もう5000万円が残っています。

35年間返済したから住宅ローンが終わるのではありません。

最後に残った5000万円を一括返済して初めて完済になります。

ここが通常の住宅ローンとの大きな違いです。

毎月の返済額が少ない理由を忘れない

2階建て住宅ローンでは、通常の住宅ローンより毎月の返済額を抑えられます。

家計から見ると大きなメリットに感じられます。

しかし、なぜ返済額が少なくなったのかを考える必要があります。

毎月返済する元金を減らしているからです。

例えば通常なら毎月返していたはずの5000万円について、返済を最後まで待ってもらっています。

したがって毎月の返済額だけを比較して、こちらのローンの方が安いと判断することはできません。

5000万円という大きな返済を将来へ移動させているからこそ、現在の負担が軽くなっています。

5000万円には利息が発生する

さらに重要なのが利息です。

据え置いた5000万円について、元金を返していないからといって金融機関への支払いがなくなるわけではありません。

借りている5000万円には利息が発生します。

通常の住宅ローンなら元金返済が進むにつれて借入残高が減り、利息負担も次第に小さくなっていきます。

ところが据え置いた5000万円は元金が減りません。

そのため大きな借入残高を長期間維持することになります。

2階建て住宅ローンを見るときには、最後の5000万円だけでなく、その5000万円を長期間借り続けるための利息も考える必要があります。

最後の5000万円はどこから出すのか

では、最終返済日に必要となる5000万円をどのように用意するのでしょうか。

代表的な方法として、現役時代から金融資産を積み立てることが考えられます。

毎月の住宅ローン返済額が少なくなった分をNISAなどで長期運用し、将来の返済資金を形成する考え方です。

退職金などのまとまった資金を利用する方法もあります。

さらに、購入したマンションを売却して住宅ローンを返済する方法も考えられます。

重要なのは、住宅ローンを借りる時点で出口を想定しておくことです。

最後になってから5000万円をどうしようかと考えるのでは遅い可能性があります。

住宅を売れば5000万円を返せるとは限らない

高額なタワーマンションであれば、将来売却すれば十分返済できると考える人もいるでしょう。

しかし、将来の住宅価格は確定していません。

例えば最終返済時に住宅ローンが5000万円残っているとします。

マンションを8000万円で売却できれば、売却代金から住宅ローンを返済できます。

しかし4000万円でしか売却できなければ、1000万円不足します。

さらに実際の売却では仲介手数料などの費用も考える必要があります。

住宅の将来価値だけを返済原資にする場合には、価格下落リスクを考えておかなければなりません。

退職金を全部使ってよいのか

もう1つ考えられるのが退職金です。

例えば退職時に5000万円のまとまった資金が入れば、そのお金で住宅ローンを完済できるかもしれません。

しかし退職金は住宅ローンを返すためだけのお金ではありません。

その後の生活費や医療費、介護費など、老後の生活を支える重要な資金でもあります。

住宅ローンを完済した結果、手元の金融資産がほとんどなくなれば、別の問題が生じます。

したがって退職金で返せるかだけではなく、返済した後にいくら残るのかまで確認する必要があります。

5000万円を運用で準備できるのか

毎月の返済額を抑え、その分を投資へ回す方法もあります。

長期間にわたって積み立てれば、大きな金融資産を形成できる可能性があります。

ただし投資には価格変動があります。

最終返済日の直前に株式市場が大きく下落する可能性もあります。

5000万円必要な時点で、投資資産が5000万円以上になっている保証はありません。

住宅ローンの返済日は決まっていますが、投資収益は決まっていません。

この違いを理解して資産形成を行う必要があります。

高額物件なら残高はさらに大きくなる

1億円で5000万円という例でも大きな金額ですが、借入額がさらに増えれば最終返済額も増えます。

1億2000万円なら50%は6000万円です。

1億6000万円なら8000万円です。

2億円なら1億円です。

住宅価格が高くなるほど、月々の返済額を抑えられるメリットは大きく感じられます。

その一方で、最後に残る金額も大きくなります。

割合ではなく、必ず円単位に直して考えることが重要です。

借入可能額が増えたと考えない

2階建て住宅ローンによって毎月返済額が下がると、これまで購入できなかった高額物件にも手が届くように見える場合があります。

しかし住宅そのものが安くなったわけではありません。

借金の一部を将来へ送った結果、現在の返済額が小さくなっているだけです。

毎月返せる金額が小さくなったから、より多く借りても大丈夫だと単純に考えるのは注意が必要です。

住宅ローンでは、現在の返済能力だけでなく将来の一括返済能力も含めて考える必要があります。

結論

1億円を借り、元金の50%を最終返済日まで据え置くなら、最後に5000万円が残ります。

毎月の返済額を抑えられるのは、この5000万円を返済していないからです。

しかも据え置いた5000万円には利息が発生します。

したがって2階建て住宅ローンでは、月々の返済額だけを見るのでは不十分です。

最終返済日に5000万円を何によって用意するのか。

金融資産なのか。

退職金なのか。

住宅の売却代金なのか。

そして、その方法が予定通りにいかなかった場合に別の返済手段があるのか。

1億円という借入額よりも、最後に残る5000万円を具体的に考えることが、2階建て住宅ローンを理解する重要なポイントになります。

参考

日本経済新聞 2026年9月17日 朝刊 タワマン購入へ「2階建て」ローン、月々の負担減に落とし穴

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