住宅ローンの返済を減らしてNISAへ投資するのは合理的なのか 借金と資産運用を同時に行う考え方編

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2階建て住宅ローンに30代の若い世代も関心を示している理由の1つが、資産形成です。

住宅ローンの毎月返済額を抑え、浮いたお金をNISAなどを通じた投資へ回すという考え方です。

住宅ローンを急いで返すのではなく、低い金利で借りながら手元資金を運用するわけです。

一見すると合理的に見えます。

しかし、住宅ローンの返済と投資には大きな違いがあります。

住宅ローンの債務は確定していますが、投資による利益は確定していません。

この違いを理解することが、借金と資産運用を同時に行ううえで重要になります。

なぜ住宅ローンを返さず投資するのか

通常であれば、借金はできるだけ早く返した方がよいと考えるかもしれません。

しかし住宅ローンは、ほかの個人向けローンと比べて低い金利で長期間借りられることがあります。

そこで、住宅ローンを急いで返すより、手元に資金を残して投資した方が資産形成につながるのではないかという考え方が出てきます。

2階建て住宅ローンでは元金の一部を最終返済日まで据え置きます。

その結果、毎月の返済額を抑えることができます。

そこで生まれた余裕資金を消費するのではなく、長期投資へ回すわけです。

NISAを利用する意味

投資先としてNISAが注目される理由は、運用益に対する税制上のメリットがあるからです。

通常、株式や投資信託による利益には税金がかかります。

NISA口座で対象商品へ投資した場合には、制度上の範囲内で売却益や配当などが非課税になります。

長期間の資産形成では、運用益に税金がかからないことが複利効果にも影響します。

そのため住宅ローンの返済を抑えて生まれた余裕資金を、NISAを使って長期運用するという発想には一定の合理性があります。

ただし、NISAは投資の利益を保証する制度ではありません。

税金を優遇する制度であって、元本を保証する制度ではないことを忘れてはいけません。

住宅ローン金利と運用利回りを比較する考え方

住宅ローンと投資を同時に行う場合、よく出てくるのが金利と運用利回りの比較です。

例えば住宅ローン金利が年2%で、投資によって長期的に年4%の運用ができれば、単純な数字では投資の方が2%高くなります。

そのため住宅ローンを繰り上げ返済するより、投資へ回した方がよいという考え方が生まれます。

しかし、ここで比較している2つの数字は性格が違います。

住宅ローン金利は、契約条件に従って負担するコストです。

一方、投資の年4%という数字は、将来必ず得られる収益ではありません。

期待される収益率と確定した負担を同じものとして扱わないことが重要です。

確定した債務と不確定な資産

例えば最終返済日に5000万円の元金を一括返済する契約をしているとします。

この5000万円という債務は、原則として市場環境によって減ってくれるわけではありません。

一方、返済資金をつくるために積み立てている投資信託の価値は毎日変動します。

6000万円になっているかもしれません。

5000万円かもしれません。

市場が大きく下落すれば4000万円になっている可能性もあります。

返済しなければならない金額と、返済に使おうとしている資産の価値が別々に動くことになります。

ここに投資を利用した返済計画のリスクがあります。

長期間なら必ず安全とは限らない

長期投資では、短期間の値動きに振り回されにくくなるという考え方があります。

積立投資によって購入時期を分散することもできます。

しかし住宅ローンには最終返済日があります。

例えば35年後に5000万円を返済しなければならないなら、その時点で必要な資金を確保しなければなりません。

投資期間が長かったとしても、返済直前に市場が下落する可能性はあります。

投資では時間を延ばして市場回復を待つことができる場合がありますが、住宅ローンの返済期限は自由に延ばせるとは限りません。

この時間の違いも重要です。

返済日が近づいたらリスクを下げる

投資を住宅ローンの返済資金づくりに利用するなら、最終返済日まで同じ運用を続ける必要はありません。

例えば返済まで長い期間があるうちは、価格変動のある資産を利用して長期的な成長を目指す考え方があります。

一方、返済時期が近づけば、必要な金額を徐々に現金や値動きの比較的小さい資産へ移していく方法があります。

5000万円必要なのに、返済直前まで5000万円すべてを価格変動の大きな資産に置いておけば、市場下落の影響を直接受けます。

資産形成だけではなく、いつから返済資金を確定させていくのかまで考えることが重要です。

投資し続けられるかも重要

もう1つの問題は、住宅ローン返済を抑えて浮いたお金を本当に投資へ回せるかです。

例えば毎月の返済額が10万円少なくなったとします。

その10万円を毎月NISAなどで積み立て続ければ、長期間では大きな資産になる可能性があります。

しかし生活水準を上げるために使ってしまえば、将来の返済資金は形成されません。

教育費や旅行、車など別の支出に回ることもあります。

2階建て住宅ローンと投資を組み合わせる戦略は、返済を先送りした分を継続的に資産形成へ回すことが前提になります。

単に毎月の返済額を減らすこととは意味が違います。

生活防衛資金も別に必要になる

住宅ローンを抱えながら投資をする場合、投資資金とは別に生活防衛資金を持つことも重要です。

急な失業や収入減少が起きたとき、生活費を確保するために投資資産を売却しなければならなくなる可能性があります。

その時に市場が下落していれば、安値で売却することになりかねません。

住宅ローン返済資金、長期投資資金、当面の生活資金をすべて同じお金として考えないことが大切です。

手元資金に余裕を持つことも、借金と投資を同時に行うためのリスク管理になります。

借金をしながら投資しているという認識

住宅ローンを組みながらNISAで投資すること自体は珍しいことではありません。

多くの家計が住宅ローンを返済しながら資産形成を行っています。

ただし、2階建て住宅ローンでは元金返済を意図的に先送りして投資資金を確保するという特徴があります。

実質的には、借金を多く残すことによって投資資金を手元に置いている面があります。

そのため投資だけをしている場合よりも、家計全体のリスクを把握する必要があります。

金融資産だけを見るのではなく、住宅ローンという負債も合わせて見ることが重要です。

結論

住宅ローンの返済を抑え、その分をNISAなどによる資産形成へ回す考え方には一定の合理性があります。

低金利で長期間資金を借りながら、手元資金を長期運用できる可能性があるからです。

NISAを利用すれば、制度上の範囲内で運用益に対する税負担も抑えられます。

しかし、住宅ローンの金利と投資の期待収益率を単純に比較するだけでは不十分です。

住宅ローンの返済義務は確定しています。

一方、投資による利益は確定していません。

最終返済日に5000万円必要なら、その日に5000万円を用意できることが重要です。

毎月の返済額を減らして投資する戦略を取るなら、浮いた資金を本当に積み立て続けること、返済時期が近づいたら資産の値動きを抑えていくこと、生活防衛資金を別に確保することまで考える必要があります。

住宅ローンとNISAを組み合わせるときには、投資でいくら増えるかだけではなく、借金をいつ、何によって返すのかを同時に考えることが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月17日 朝刊 タワマン購入へ「2階建て」ローン、月々の負担減に落とし穴

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