株式担保融資とは何か 持っている株を売らずにお金を借りられる理由編

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株式を持っている人がまとまった資金を必要とした場合、最も単純な方法は株式を売却することです。

しかし株式を売れば、その後に株価が上昇しても値上がり益を得ることはできません。配当や株主としての権利にも影響します。

そこで株式を売却せず、担保として差し入れて資金を借りる方法があります。

これが株式担保融資です。

株式のトークン化とDeFiが組み合わされれば、この株式担保融資の仕組みまで大きく変わる可能性があります。

株式担保融資とは何か

株式担保融資とは、保有している株式を担保として金融機関などから資金を借りる仕組みです。

住宅ローンで住宅を担保にするのと基本的な考え方は似ています。

借り手が返済できなくなった場合には、貸し手が担保となっている株式を処分して貸付金を回収できるようにします。

そのため貸し手は、担保がない融資よりも貸し倒れのリスクを抑えられる可能性があります。

借り手にとっては、株式を売却せずに資金を調達できることが大きな特徴です。

なぜ株を売らずに借りるのか

株式を持っているなら売却して現金にすればよいと思うかもしれません。

しかし売却したくない事情もあります。

将来の株価上昇を期待している場合には、株式を持ち続けたいでしょう。

配当を目的として長期保有している場合もあります。

企業経営者や創業者であれば、自社株の売却によって持株比率が下がることを避けたい場合もあります。

こうした場合に株式を担保として利用すれば、保有を継続しながら資金を調達できる可能性があります。

担保価値は株価で変わる

株式担保融資で特に重要なのが担保価値です。

住宅などと違い、上場株式の価格は市場で毎日変動します。

1000万円だった株式の時価が、短期間で800万円になることもあります。

そのため金融機関は、株式の時価全額をそのまま融資可能額として考えるとは限りません。

株価が下落しても一定の担保余力が残るよう、時価より低い金額を基準として融資することがあります。

株式は換金しやすい一方、担保価値が変動しやすい資産なのです。

株価が下落すると何が起きるのか

株式担保融資の大きなリスクは株価下落です。

担保となっている株式の価格が大きく下落すると、借入額に対して担保が不足する可能性があります。

その場合、追加の担保を求められたり、借入金の一部返済を求められたりすることがあります。

対応できなければ、担保となっている株式が売却される可能性もあります。

株価が下落したときほど株式を売りたくない投資家でも、融資契約によって売却せざるを得なくなることがあるのです。

強制売却が損失を拡大することもある

株式担保融資では、株価下落と強制売却の組み合わせに注意が必要です。

株価が上昇している間は、株式を保有しながら資金を借りられる便利な仕組みに見えます。

しかし株価が急落すると状況が変わります。

担保不足によって株式が売却されれば、その後株価が回復しても値上がりの恩恵を受けられません。

さらに市場全体で同じような担保融資が大量に利用されている場合、株価下落による強制売却がさらに株価を押し下げる可能性もあります。

担保融資には金融市場全体へ影響する側面もあります。

特定の株式に集中するとリスクが高くなる

担保としている株式が1つの企業に集中している場合には、さらに注意が必要です。

その企業に悪材料が出れば、担保価値が短期間で大きく下落する可能性があります。

特に企業経営者や創業者は自社株を大量に保有していることがあります。

自社株を担保として多額の借り入れを行えば、企業の株価下落と個人の資金繰り悪化が同時に起こる可能性があります。

資産価値が高いことと、安全に借り入れできることは同じではありません。

トークン化すると何が変わるのか

株式がトークン化されれば、株式の保有や移転をブロックチェーン上で管理できる可能性があります。

すると株式トークンをスマートコントラクトに預け、それを担保として資金を借りる仕組みも考えられます。

担保となる株式の時価を確認し、一定水準を下回った場合に追加担保を求めたり、自動的に担保を処分したりする仕組みをプログラム化することも考えられます。

従来、人や金融機関のシステムが行っていた担保管理の一部を自動化できる可能性があります。

DeFiで仲介者を減らせる可能性がある

現在の株式担保融資では金融機関などが仲介します。

DeFiでは、こうした金融機関の機能の一部をスマートコントラクトへ置き換えることを目指します。

株式トークンを担保として預ける人と資金を提供する人を、ブロックチェーン上の仕組みで結びつけることも考えられます。

仲介者が減れば、事務コストなどを削減できる可能性があります。

その結果、借り手にとって融資条件が改善する可能性もあります。

株式トークン化の価値が単なる売買の効率化だけではないといわれる理由です。

自動化するとリスクがなくなるわけではない

担保管理をスマートコントラクトで自動化しても、株価下落という根本的なリスクはなくなりません。

むしろ一定の条件に達すると自動的に担保が売却されるため、処理が非常に速く進む可能性があります。

急激な相場変動時には、多くの利用者の担保が同時に処分されることも考えられます。

さらにプログラムの不具合や価格情報の問題など、従来とは異なるリスクも発生します。

金融取引を自動化することと、金融リスクをなくすことは別の問題です。

株を持っていることと使えることは違う

株式は一般的には値上がり益や配当を期待して保有する資産と考えられています。

しかし株式担保融資を見ると、株式には別の役割があることが分かります。

株式は保有するだけでなく、信用力を生み出す担保として利用することもできます。

さらにトークン化によって株式をさまざまな金融サービスへ簡単に接続できるようになれば、株式の利用方法はさらに広がる可能性があります。

株式の価値を考えるとき、売却価格だけではなく金融資産としてどのように活用できるのかという視点も重要になります。

結論

株式担保融資とは、保有する株式を売却せず、担保として差し入れることで資金を借りる仕組みです。

株価上昇や配当などを期待して株式を持ち続けながら、必要な資金を調達できることが大きな特徴です。

一方、株式は価格が変動するため、株価が下落すると担保不足になる可能性があります。

追加担保や返済を求められ、場合によっては株式を強制的に売却されることもあります。

株式のトークン化とDeFiが進めば、担保管理や融資の一部をスマートコントラクトで自動化し、金融機関などの仲介を減らせる可能性があります。

これは株式トークン化がもたらす重要な変化の1つです。

株式は買って値上がりを待つだけの資産ではありません。

担保として資金調達に利用できる資産でもあり、トークン化によってその活用方法がさらに広がる可能性があります。

参考

日本経済新聞 2026年9月15日 朝刊 株式のあり方「再定義」進む

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