投資信託に3.9兆円も流入したのはなぜか 新NISAが家計のお金の流れを変える仕組み編

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日本の家計のお金が、投資信託へ大きく動いています。

2026年4月から6月期には、投資信託への資金流入額が3.9兆円となりました。

株式と投資信託を合わせた家計の金融資産残高も、6月末時点で678兆9608億円まで増えています。

この背景には株高や円安による評価額の増加がありますが、それだけではありません。

実際に家計から新しいお金が投資信託へ流れています。

その大きなきっかけの1つが新NISAです。

新NISAによって、投資信託を一度だけ買うのではなく、毎月継続的に積み立てる家計が増えました。

この変化が、家計のお金の流れそのものを変え始めています。

新NISAとは何か

NISAは、一定の条件のもとで投資による利益が非課税になる制度です。

通常、株式や投資信託を売却して利益が出たり、配当や分配金を受け取ったりすると税金がかかります。

NISA口座では、制度の対象となる利益について非課税の扱いを受けることができます。

2024年に始まった新NISAでは、非課税で保有できる期間が無期限となり、制度そのものも恒久化されました。

長期的な資産形成に利用しやすい制度になったことで、投資信託を継続的に購入する人が増えるきっかけになりました。

なぜ投資信託が選ばれやすいのか

新NISAでは個別株も利用できますが、積立投資との相性がよいのが投資信託です。

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめて株式や債券などへ投資する金融商品です。

1本の投資信託を購入するだけで、多数の企業へ分散投資できる商品もあります。

個別企業を1社ずつ分析して株式を購入する必要がないため、投資経験の少ない人でも利用しやすい特徴があります。

さらに毎月一定額を自動的に購入する仕組みを利用できます。

こうした特徴が新NISAのつみたて投資枠と組み合わさり、家計から投資信託への継続的な資金流入につながっています。

積立投資がお金の流れを変える

従来の個人投資では、株価が安くなったときに買い、高くなったら売るというイメージを持つ人も少なくありませんでした。

積立投資は考え方が違います。

例えば毎月5万円を投資信託へ積み立てる場合、株価が高い月でも低い月でも基本的に5万円を投資します。

1年間なら60万円です。

100万人が同じ金額を積み立てれば、単純計算で年間6000億円になります。

こうした積立が長期間続けば、市場環境にかかわらず家計から投資信託へ一定の資金が流れるようになります。

一時的な投資ブームとは異なる資金の流れが生まれるわけです。

給与から投資へ自動的に流れる仕組みになる

積立投資の特徴は、毎回投資判断をする必要がないことです。

給料が銀行口座へ入り、その一部が毎月自動的に投資信託の購入へ回る設定もできます。

この仕組みを利用すると、投資は特別なイベントではなくなります。

毎月の家賃や公共料金を支払うのと同じように、一定額が資産形成へ振り向けられます。

投資するかどうかを毎月考えるのではなく、最初に仕組みを作って継続する形です。

新NISAの普及は、このような家計のお金の流れを広げる役割を果たしています。

3.9兆円は値上がりだけでは説明できない

2026年4月から6月期の投資信託への資金流入額は3.9兆円でした。

ここで重要なのは、投資信託の残高ではなく資金の流れを見ていることです。

株価が上昇すれば、すでに保有している投資信託の基準価額が上がります。

それだけでも金融資産残高は増えます。

しかし3.9兆円という資金流入は、こうした価格上昇とは別に、家計から実際のお金が投資信託へ入っていることを示しています。

現在の投資信託市場では、値上がりと新しい資金流入の両方が起きているのです。

公募株式投信の設定額も過去最高になった

投資信託への資金流入の大きさは、別の統計からも確認できます。

資産運用業協会によると、ETFを除く公募株式投信の設定額は2026年6月に6兆3958億円となり、過去最高でした。

設定額とは、投資家による購入などによって新たに投資信託へ入った資金を示す数字です。

一方で、投資信託を売却する人もいます。

そのため設定額だけを見れば、家計にどれだけ投資資金が残ったのかは分かりません。

そこで解約や償還によって出ていった資金を差し引いて考える必要があります。

純資金流入額は2兆5931億円

2026年6月の公募株式投信では、設定額から解約や償還を差し引いた純資金流入額が2兆5931億円となりました。

過去最大だった2026年1月の2.7兆円に迫る規模です。

投資信託を購入する人が多くても、同時に大量の解約があれば純資金流入は小さくなります。

それでも2兆円を大きく超える純資金流入があったということは、購入による資金流入が解約などによる流出を大幅に上回ったことを意味します。

投資信託への家計資金の流れがかなり大きくなっていることが分かります。

新NISA開始前から残高は73パーセント増えた

2023年12月末と比べると、2026年6月末の家計が保有する株式と投資信託の残高は73パーセント増えています。

新NISAが始まった2024年以降、家計金融資産に占める株式や投資信託の存在感は急速に高まりました。

ただし、この73パーセントすべてが新NISAへの新規投資によるものではありません。

株価上昇や円安によって、すでに保有していた金融資産の評価額も増えているからです。

新NISAによる資金流入と市場価格の上昇を分けて考えることが大切です。

預金から投資へ少しずつ移る

2026年6月末の家計の現預金残高は1131兆円でした。

前年同期比では0.5パーセントの増加にとどまっています。

家計金融資産に占める現預金の割合は45パーセントです。

現預金は依然として最大の金融資産ですが、かつてのように家計金融資産の半分以上を占める状況ではなくなっています。

その一方で、株式や投資信託への実際の資金流入が続いています。

家計が預金をすべて投資へ移しているわけではありませんが、新しく貯蓄できるお金の一部を投資信託へ振り向ける動きが広がっていると考えることができます。

新NISAは投資行動を長期化させる

新NISAのもう1つの特徴は、長期保有を考えやすくなったことです。

非課税保有期間が無期限になったため、一定期間が過ぎたから売却しなければならないという制度上の制約がなくなりました。

長期間積み立て、長期間保有するという資産形成に利用しやすくなっています。

この仕組みが定着すれば、家計から投資信託への資金流入は、株価の短期的な上昇や下落だけでは決まりにくくなります。

毎月一定額を積み立てる投資家が増えることで、家計のお金が継続的に投資市場へ流れる構造が生まれる可能性があります。

結論

2026年4月から6月期に投資信託へ3.9兆円の資金が流入した背景には、株高だけでは説明できない家計の投資行動の変化があります。

その大きなきっかけの1つが新NISAです。

新NISAと積立投資が組み合わさることで、家計のお金は一度に大きく投資する形から、毎月継続的に投資信託へ流れる形へ変わり始めています。

2026年6月にはETFを除く公募株式投信の設定額が6兆3958億円と過去最高になり、純資金流入額も2兆5931億円に達しました。

重要なのは、投資信託の残高が株高によって増えているだけではなく、実際に新しいお金も流れ込んでいることです。

新NISAによって投資が特別な行動ではなく、毎月の家計管理の一部になれば、日本の家計金融資産の構成はさらに変化していく可能性があります。

参考

日本経済新聞 2026年9月18日 朝刊 家計、株式・投信へシフト

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