小中学校が5年間で1268校減ったのはなぜか 子どもの減少が地域社会に与える影響編

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日本では子どもの数が急速に減っています。

その影響が目に見える形で表れているのが、学校数の減少です。

学校基本調査によると、2026年5月1日時点の小中学校数は2万8,144校でした。

5年前と比べると1,268校減っています。

平均すれば、毎年250校程度の小中学校が減った計算になります。

学校が減る背景には少子化がありますが、問題は学校数だけではありません。

学校がなくなることは、子どもの教育、子育て世帯の居住地選択、地域コミュニティーなどにも影響します。

15歳未満人口は5年間で10.9%減った

学校数が減る最大の背景は、子どもの数そのものが減っていることです。

総務省の住民基本台帳に基づく人口調査によると、2026年1月1日時点の15歳未満人口は1,364万6,698人でした。

2021年と比べて10.9%減少しています。

しかも一部の地域だけの問題ではありません。

47都道府県すべてで15歳未満人口が減少しました。

市区町村別でも1,693市区町村で減っています。

子どもの減少が全国規模で進んでいる以上、学校の小規模化も避けにくくなります。

子どもが減ると学校は小規模化する

例えば、かつて1学年に数十人いた学校でも、出生数が減れば入学する子どもの数が少なくなります。

学級数が減ります。

さらに子どもが減れば、1学年1学級になることもあります。

地域によっては複数の学年を一つの学級で教える複式学級になる場合もあります。

学校規模が小さくなれば、従来と同じ教育環境を維持できるのかという問題が生じます。

そこで近隣の学校との統合が検討されることになります。

学校を維持するには固定的な費用がかかる

学校運営には、児童や生徒の人数に比例しない費用があります。

校舎があります。

体育館があります。

運動場があります。

建物の修繕や設備更新も必要です。

電気、水道、空調なども使います。

子どもが半分になったからといって、学校の維持費が単純に半分になるわけではありません。

児童や生徒が減るほど、1人当たりで考えた学校運営の負担が大きくなる可能性があります。

学校統廃合が検討される理由の一つです。

学校統合には教育上の理由もある

学校再編は財政だけで決まるものではありません。

教育環境も重要です。

子どもの人数が極端に少なくなると、同年代の友人関係が限られることがあります。

体育や音楽など、一定人数がいることで活動の幅が広がる授業もあります。

部活動や学校行事にも影響します。

一方、少人数だからこそ一人ひとりに目が届きやすいという利点もあります。

したがって、学校規模は大きければよい、小さければよいという単純な問題ではありません。

地域ごとに適切な教育環境を考える必要があります。

学校がなくなると通学距離が長くなる

学校を統合すれば、子どもが通う学校までの距離が長くなる場合があります。

特に山間部では影響が大きくなります。

徒歩では通えなくなり、スクールバスなどが必要になることもあります。

通学時間が長くなれば、子どもの生活時間にも影響します。

自治体側にはスクールバスの運行費用など、新たな負担が発生する場合もあります。

学校を統合すればすべての費用がなくなるわけではありません。

統合によって新しく必要になる費用も考える必要があります。

学校は地域コミュニティーの拠点でもある

学校の役割は授業だけではありません。

運動会や文化行事などを通じて、地域住民が集まる場所になることがあります。

体育館や運動場が地域活動に利用されることもあります。

災害時には避難所として使われる学校もあります。

子どもを中心として、保護者、教員、地域住民がつながる場所でもあります。

学校がなくなることは、教育施設が一つ減るというだけではなく、地域住民が集まる拠点が失われることにもつながります。

学校の有無は子育て世帯の居住地選択にも影響する

人口減少地域にとって特に重要なのが、若い世代への影響です。

子育て世帯が住む場所を選ぶとき、学校までの距離は重要な条件です。

近くに小学校や中学校がない。

毎日長時間スクールバスに乗らなければならない。

こうした条件があれば、その地域への移住をためらう家庭もあるでしょう。

すると学校統廃合によって子育て世帯が住みにくくなり、さらに子どもが減るという循環が起こる可能性があります。

子どもが減ると地域全体が縮小する可能性がある

子どもの減少は学校だけに影響するわけではありません。

子どもが減れば、子育て世帯も少なくなります。

保育所や学習塾、習い事などの需要も減ります。

子ども向けの商品やサービスへの消費も減ります。

さらに親世代は地域の働き手でもあります。

そのため子育て世帯が減ることは、地域経済や地域活動の担い手が減ることにもつながります。

学校数の減少は、地域社会全体が縮小していることを示す一つの指標とも考えられます。

一方で子どもが増えて学校が足りない地域もある

全国的には学校が減っていますが、すべての地域で同じことが起きているわけではありません。

東京都中央区では、2026年の15歳未満人口が5年前より10.4%増えました。

晴海地区では晴海フラッグへの入居によって短期間で1万人を超える街が形成されました。

子育て世帯が多く、学校の児童数が想定以上に増えています。

中央区では新校舎の建設を1年前倒しし、それまでの間はプレハブの仮設校舎を使用する計画です。

全国では学校が減る一方、一部の人口増加地域では学校が不足しています。

同じ日本でも教育インフラの課題が正反対になっています。

学校をどこに配置するかが難しくなる

人口減少時代には、全国一律に学校を増やす、あるいは減らすという政策では対応できません。

地方では学校統廃合が必要になる地域があります。

一方、都市部や人口流入地域では新しい学校を建設する必要があります。

しかも人口は固定されていません。

住宅開発や鉄道整備によって短期間で子育て世帯が増えることもあります。

逆に、現在は一定数の子どもがいても、出生数の減少によって将来急速に児童数が減る可能性があります。

学校は何十年も使う施設です。

そのため将来人口をどのように予測して学校を配置するかが重要になります。

学校を減らすだけでは地域の将来像にならない

子どもが減ったから学校を統合するという判断には合理性があります。

しかし、それだけでは地域の将来像は描けません。

その地域に今後も子育て世帯に住んでもらいたいのであれば、統合後の教育環境や通学手段まで考える必要があります。

一方、奈良県川上村や北海道東川町のように、学校そのものを魅力的にすることで地域外から子育て世帯を呼び込む方法もあります。

学校を減らすのか。

維持するのか。

新しい価値を持たせるのか。

人口減少時代には、地域ごとに学校の役割を考え直す必要があります。

結論

2026年5月1日時点の小中学校数は2万8,144校で、5年前より1,268校減りました。

背景には15歳未満人口が5年間で10.9%減少するという急速な少子化があります。

子どもが減れば、学校の小規模化や統廃合は避けにくくなります。

しかし学校がなくなる影響は、教育だけにとどまりません。

通学、地域コミュニティー、子育て世帯の居住地選択、地域経済などにも影響します。

一方で、子育て世帯が流入する地域では学校が不足するという正反対の問題も起きています。

人口減少時代に重要なのは、単純に学校数を減らすことではありません。

どの地域に、どのような学校を残し、その学校にどのような役割を持たせるのかを考えることです。

学校数の減少は教育行政だけの問題ではありません。

地域にこれから誰が住み、どのような地域社会をつくるのかという、地域の将来そのものに関わる問題なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月19日 朝刊 教育移住で子ども増 奈良の山村など48自治体

日本経済新聞 2026年9月19日 朝刊 中央区、子ども増に対応 晴海の小学校、新校舎急ぐ

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