地方都市を訪れると、駅前よりもショッピングモール周辺のほうが人が多い――。
そんな光景は、今や珍しくありません。
特に地方では、
- 大型ショッピングモール
- 郊外型量販店
- ロードサイド店舗
が生活の中心になっている地域もあります。
その象徴的存在として語られるのが「イオン」です。
もちろん実際にはイオンだけではありませんが、
- 郊外型大型商業施設
- 巨大駐車場
- ワンストップ消費
を象徴する存在として、「イオン化」という言葉が使われることもあります。
では、地方都市は本当に“イオン中心社会”になったのでしょうか。
今回は、「郊外集積」という視点から、地方都市の変化を考えてみます。
駅前中心社会から郊外中心社会へ
かつて地方都市では、
- 駅前商店街
- 百貨店
- 地元商店
- 市場
などが街の中心でした。
特に駅前には、
- 買い物
- 飲食
- 娯楽
- 行政
- 金融機関
などが集まり、人の流れが形成されていました。
しかし現在では、多くの地方都市で、
「駅前より郊外モールのほうが人が集まる」
状況が起きています。
これは単なる商業変化ではありません。
「都市構造そのもの」
が変わったのです。
自動車社会が都市を変えた
最大の要因の一つが、自動車社会化です。
以前は、
- 電車
- バス
- 徒歩
が中心だったため、駅前立地が重要でした。
しかし現在の地方では、
- 一人一台の自動車
- 大型駐車場
- 幹線道路利用
が前提になっています。
すると、
「駅前」
より、
「駐車しやすい郊外」
のほうが便利になります。
その結果、
- 郊外型ショッピングモール
- ロードサイド店舗
- 郊外チェーン店
が集積していったのです。
イオンは「生活インフラ」になった
地方の大型モールでは、
- 食品
- 衣料品
- 家電
- 飲食
- 医療
- 映画館
- 銀行
- 学習塾
まで集約されています。
つまり単なる商業施設ではなく、
「生活機能集積地」
になっているのです。
特に高齢化が進む地域では、
- 一度で用事を済ませられる
- 駐車場が広い
- バリアフリー
という利便性は非常に大きいものがあります。
つまりイオン型モールは、
「地方版コンパクトシティ」
として機能している面もあるのです。
商店街はなぜ衰退したのか
一方で、駅前商店街は厳しい状況が続いています。
背景には、
- 人口減少
- 後継者不足
- EC拡大
- 郊外化
- 自動車社会化
などがあります。
特に地方商店街では、
- 駐車場不足
- 建物老朽化
- 店舗高齢化
も深刻です。
つまり単に「イオンが悪い」のではなく、
「都市構造と生活様式の変化」
が大きいのです。
「全部ここで済む」が地方生活を変えた
大型モール最大の強みは、
「ワンストップ化」
です。
以前は、
- 八百屋
- 本屋
- 銀行
- 飲食店
などを別々に回る必要がありました。
しかし現在では、
「モール一カ所で全部済む」
ようになっています。
これは忙しい現代人にとって合理的です。
特に地方では移動距離も長いため、
「効率的生活拠点」
として郊外モールが支持されやすくなります。
イオンは「疑似駅前」なのか
興味深いのは、ショッピングモールが、
「新しい駅前」
のような役割を持ち始めている点です。
例えば、
- 学生の待ち合わせ
- 高齢者の散歩
- 家族の休日滞在
- イベント開催
など、人が集まる場所になっています。
つまりモールは、
- 商業施設
- 滞在空間
- 疑似公共空間
を兼ね始めているのです。
これは以前の駅前商店街が持っていた役割に近い部分もあります。
しかし「均質化」も進んだ
一方で、郊外モール中心社会には課題もあります。
その一つが、
「街の均質化」
です。
現在、全国どこへ行っても、
- 同じチェーン店
- 同じ飲食店
- 同じブランド
が並ぶ風景が増えています。
つまり地方独自性が薄れやすくなるのです。
以前の商店街には、
- 地域独特の店
- 個人経営
- 土地ごとの文化
がありました。
しかしチェーン中心社会では、
「どこへ行っても同じ風景」
になりやすくなります。
地域コミュニティは強くなったのか
大型モールには人が集まります。
しかし、
- 顔なじみ関係
- 地域相互扶助
- 商店主との長期関係
は弱くなりやすい面もあります。
つまりモールは、
「人がいる空間」
ではあっても、
「深い地域共同体」
とは少し異なるのです。
これは現代社会全体の、
- 匿名化
- 個人化
- 非対面化
とも関係しています。
地方都市は「中心」を失ったのか
以前の地方都市には、
- 駅前
- 商店街
- 百貨店
という「街の核」がありました。
しかし現在では、
- 郊外分散
- 車移動
- EC利用
によって、人の流れが分散しています。
その結果、
「都市の中心」
そのものが曖昧になっています。
つまり現在の地方都市は、
「中心市街地型都市」
から、
「分散型郊外都市」
へ変化しているとも言えるのです。
結論
地方都市では現在、
- 自動車社会化
- 郊外集積
- 大型モール化
が進み、ショッピングモールが生活インフラ化しています。
特にイオン型モールは、
- 買い物
- 娯楽
- 滞在
- 行政機能
まで担い始めています。
つまり地方では、
「駅前中心社会」
から、
「郊外モール中心社会」
へ移行した側面があるのです。
一方で、
- 商店街衰退
- 地域独自性低下
- 都市均質化
も進んでいます。
つまり“イオン中心社会”とは、
単なる商業変化ではなく、
「地方都市の構造転換」
そのものなのかもしれません。
参考
・国土交通省「コンパクトシティ関連資料」
・総務省「地域経済循環分析」
・経済産業省「商業動態統計」
・中小企業白書
・各種地方都市・流通関連資料・報道資料