介護職の短時間正社員とは何か フルタイムで働けない人でも正社員として復職できる仕組み編

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介護福祉士の資格や豊富な経験があっても、フルタイムでは働けない人がいます。

育児中で保育園の迎えがある。家族の介護をしている。体力面から1日8時間の勤務は難しい。夜勤はできない。

こうした人に対して、「フルタイムで働けないならパートしかない」と考えてしまうと、介護現場は貴重な人材を十分に生かせません。

そこで選択肢になるのが「短時間正社員」です。

正社員としての雇用を維持しながら、フルタイム正社員より短い所定労働時間で働く仕組みです。

潜在介護福祉士の復職を進めるうえでも、働く時間と正社員という雇用区分を切り離して考えることには大きな意味があります。

今回は、介護職の短時間正社員とはどのような働き方なのかを整理します。

短時間正社員とは何か

短時間正社員とは、一般的なフルタイム正社員よりも1週間の所定労働時間が短い正社員です。

例えば、通常の正社員が週5日、1日8時間働いている会社を考えてみます。

短時間正社員なら、1日6時間勤務にしたり、1週間の勤務日数を少なくしたりすることが考えられます。

ポイントは、勤務時間が短いからといって、必ずしもパートになるわけではないことです。

正社員として雇用されながら、勤務時間を短くする働き方があります。

つまり、

正社員かパートか

という雇用区分と、

長時間働くか短時間働くか

という労働時間は、本来別の問題なのです。

フルタイム正社員とは何が違うのか

最も分かりやすい違いは所定労働時間です。

一般的なフルタイム正社員より、短時間正社員の方が勤務時間が短くなります。

例えば、フルタイム正社員が午前9時から午後6時まで勤務している職場で、短時間正社員は午前9時から午後4時まで働くといった形です。

あるいは、1日の勤務時間は同じでも、勤務日数を少なくする方法も考えられます。

重要なのは、単に一時的に早く帰るということではありません。

短い労働時間を正式な勤務制度として位置づけることです。

これによって、フルタイム勤務が難しい人にも継続的な働き方を用意できます。

パートとは何が違うのか

短時間正社員とパートは、勤務時間だけを見ると似ている場合があります。

例えば、どちらも1日6時間働くことがあります。

しかし、同じ6時間勤務でも、会社の人事制度上の位置づけが同じとは限りません。

短時間正社員は、正社員としての雇用区分を維持しながら勤務時間を短くする仕組みです。

そのため、職場の制度設計によっては、長期的なキャリア形成や役割、教育などについて正社員として扱われます。

一方、パートなどの短時間労働者は、正社員とは異なる雇用区分として設計されている場合があります。

介護福祉士として経験を積み、今後もキャリアを続けたい人にとっては、この違いが重要になることがあります。

育児との両立に使える

短時間正社員が役立つ代表的な場面が育児との両立です。

例えば、介護施設でフルタイム勤務していた人が出産を機に仕事を離れたとします。

数年後に復職を考えます。

しかし、保育園への迎えがあるため午後6時まで働くことはできません。

午後4時までなら働けます。

この人に対して、

午後6時まで働けなければ正社員には戻れない

という制度しかなければ、復職を断念する可能性があります。

一方、午前9時から午後4時までの短時間正社員という選択肢があれば、介護職としてのキャリアを続けられる可能性があります。

働く意思や能力ではなく、勤務時間の問題で人材を失わずに済むわけです。

家族の介護との両立にも使える

介護職自身が家族の介護をしている場合にも、短時間勤務は重要になります。

親の通院に付き添う必要がある。

在宅介護サービスの時間に合わせる必要がある。

夕方以降は家族の介護を担当しなければならない。

こうした事情があれば、フルタイム勤務を続けることが難しくなる場合があります。

しかし、勤務時間を短くできれば仕事を辞めなくても済むかもしれません。

介護人材不足を考えるときには、新しい人を採用するだけでなく、家庭事情によって辞めそうな人が働き続けられる制度をつくることも重要です。

短時間正社員は離職防止策にもなります。

潜在介護福祉士の復職にも使える

一度介護職を離れた潜在介護福祉士にとっても、短時間正社員は復職の選択肢になります。

例えば、以前は夜勤を含めて週5日働いていた人がいたとします。

数年間離職した後、再び介護職として働きたいと考えました。

しかし、以前と同じ働き方はできません。

ここで重要なのは、

以前と同じ働き方ができない

ことと、

介護職として働けない

ことを同じにしないことです。

1日6時間なら働ける。

日中だけなら働ける。

週4日なら働ける。

その条件に合わせた正社員制度があれば、経験豊富な介護人材を再び活用できます。

段階的復職の途中にも位置づけられる

短時間正社員は、段階的復職の一つの段階としても考えられます。

例えば、

復職研修を受ける

スポットワークで数時間働く

パートなどで継続勤務する

短時間正社員になる

フルタイム正社員へ移る

という流れです。

もちろん、全員が最後にフルタイム正社員になる必要はありません。

短時間正社員が本人に最も適した働き方なら、そのまま続けてもよいでしょう。

重要なのは、復職の選択肢を一つに限定しないことです。

介護現場へ戻るための階段を複数用意することで、本人の生活状況に合った場所から復職できます。

介護事業所側の業務設計も必要になる

短時間正社員制度をつくるだけでは十分ではありません。

介護事業所側も仕事の組み方を変える必要があります。

例えば、重要な会議がいつも夕方に行われていれば、午後4時までの短時間正社員は参加できません。

夜勤経験者だけが昇進できる仕組みになっていれば、夜勤のできない人はキャリア形成が難しくなります。

フルタイム勤務を前提に仕事や人事制度が設計されていると、勤務時間だけ短くしても働きにくさが残ります。

そのため、

どの仕事を担当してもらうのか

情報をどう共有するのか

評価をどう行うのか

キャリアをどう設計するのか

まで考える必要があります。

短時間でも専門性は変わらない

勤務時間が短いからといって、介護福祉士としての専門性が低くなるわけではありません。

例えば、10年間の介護経験を持つ人が1日6時間勤務になったとしても、それまで蓄積した知識や技術がなくなるわけではありません。

ここは介護助手や未経験者の活用とは異なる重要な点です。

介護人材不足のなかでは、

何時間働けるか

だけではなく、

その時間にどのような仕事ができる人なのか

を見る必要があります。

経験豊富な介護福祉士が6時間働くことには、大きな価値があります。

フルタイムでなければ戦力にならないという発想を変える必要があります。

働ける人を勤務条件で失わない

潜在介護福祉士の中には、介護の仕事そのものが嫌で離職した人ばかりではありません。

育児や家族の介護など、生活上の事情で仕事を離れた人もいます。

こうした人に復職を促すのであれば、「戻る意思がありますか」と尋ねるだけでは十分ではありません。

どの条件なら戻れるのかを考える必要があります。

夜勤なしなら働ける。

午後4時までなら働ける。

週4日なら働ける。

こうした条件を拾い上げ、その人が働ける形に仕事を組み直します。

参考記事が指摘する「復帰の意思を求めるのではなく、復帰できる条件を整える」という考え方にもつながります。

結論

介護職の短時間正社員とは、フルタイム正社員より短い所定労働時間で働きながら、正社員として勤務する仕組みです。

フルタイムで働けないことと、介護職として働けないことは同じではありません。

育児中で午後4時までなら働ける人がいます。

家族の介護があり週4日なら働ける人もいます。

体力面から1日6時間なら働ける経験豊富な介護福祉士もいるでしょう。

こうした人を「フルタイム勤務ができない」という理由だけで介護人材から外してしまうのは、大きな損失です。

短時間正社員を用意すれば、現在働いている介護職員の離職を防ぐとともに、潜在介護福祉士の復職ルートにもなります。

重要なのは、介護人材を勤務時間だけで評価しないことです。

1日8時間働ける人だけを探すのではなく、1日6時間でも4時間でも、その時間に専門性を発揮してもらう。

介護人材不足が深刻になるほど、「人を仕事に合わせる」のではなく、「働ける人に仕事を合わせる」という発想が重要になるのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月4日朝刊 離職した介護人材の復職

日本経済新聞 2026年9月4日朝刊 介護、スポットワーク拡大 人手不足補う

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