事業所税の従業者割とは何か 給与総額に0.25%を課税する仕組み編

税理士
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事業所税には、事業所の床面積を基準とする資産割と、そこで働く従業者への給与を基準とする従業者割があります。

従業者割の税率は、従業者給与総額の0.25%です。

例えば、課税対象となる従業者給与総額が10億円であれば、単純計算で250万円の従業者割が発生します。

ただし、給与を支払っていれば必ず課税されるわけではありません。

従業者数100人以下という免税点が設けられており、まず人数によって納税義務があるかどうかを判定します。

さらに、役員、高齢者、派遣社員、出向者などについては、それぞれ事業所税上の扱いを確認する必要があります。

給与計算上の従業員数をそのまま使えばよいとは限らないところが、従業者割の難しい点です。

従業者給与総額を基準として課税する

従業者割は、事業所等の従業者に支払われる従業者給与総額を課税標準として計算します。

基本的な計算方法は、従業者給与総額に0.25%を掛けるというものです。

例えば、従業者給与総額が5億円であれば、単純計算では125万円となります。

20億円であれば500万円です。

このため、従業者数が多く、給与水準が高い企業ほど税額が大きくなりやすい仕組みです。

法人税のように利益を課税標準とするものではありません。

企業が黒字か赤字かではなく、事業所で働く人にどれだけの給与を支払ったかが税額に影響します。

従業者給与総額には何が含まれるのか

従業者給与総額とは、単純に毎月の基本給だけを合計したものではありません。

原則として、所得税上の給与等に当たる給料、賃金、賞与などが関係します。

したがって、月給だけでなく賞与なども含めて考える必要があります。

一方、すべての支払いが無条件に従業者給与総額へ含まれるわけではありません。

所得税上の給与等に当たるかどうかや、事業所税の非課税規定などを踏まえて判定する必要があります。

企業の経理担当者にとっては、会計上の人件費をそのまま従業者給与総額として使用できるとは限らない点に注意が必要です。

役員報酬も関係する

従業者という言葉から、一般の社員だけを対象とする税金と思われるかもしれません。

しかし、事業所税では役員も従業者に含まれるのが原則です。

そのため、取締役などに支払う役員報酬についても、従業者給与総額に含まれることがあります。

例えば、本社に一般社員95人と役員6人が勤務している場合、一般社員だけを見れば100人以下です。

しかし、役員を含めて免税点を判定した結果、100人を超える可能性があります。

事業所税の免税点を管理するときには、一般社員だけを数えるのではなく、事業所税上の従業者の範囲を確認する必要があります。

従業者数100人以下なら原則として免税になる

従業者割には100人という免税点があります。

同じ課税団体の区域内にある事業所等の従業者数が100人以下であれば、原則として従業者割は課税されません。

例えば、従業者が80人で、給与総額が8億円だったとします。

給与総額だけを見れば0.25%を掛けて200万円となります。

しかし、従業者数が100人以下で免税点を超えていなければ、原則として従業者割は発生しません。

つまり、従業者割では最初に人数で納税義務を判定し、そのうえで給与総額を使って税額を計算するという二段階の考え方が重要になります。

100人を超えた部分だけに課税されるわけではない

100人という免税点についても、基礎控除のような仕組みではありません。

例えば、従業者が110人だったとします。

100人を超えた10人分の給与だけに0.25%を掛けるわけではありません。

免税点を超えて納税義務が生じれば、原則として課税対象となる従業者給与総額全体を基準として従業者割を計算します。

このため、100人の前後では税負担が大きく変化する可能性があります。

人員を増やしている企業では、従業者数が免税点に近づいていないかを把握しておくことが重要です。

高齢者の扱いには特例がある

従業者数を判定するときには、年齢にも注意が必要です。

事業所税では、一定年齢以上の従業者について従業者割の対象から除外する仕組みがあります。

そのため、会社全体として100人を超える従業員が勤務していても、事業所税上の従業者数では100人以下になるケースがあります。

また、従業者給与総額についても、対象から除かれる従業者に支払った給与について調整が必要になる場合があります。

高齢者雇用が拡大している企業では、単純な在籍人数と事業所税上の従業者数が一致しないことがあります。

人事データと税務上の人数を区別して管理する必要があります。

派遣社員は誰の従業者になるのか

派遣社員の扱いも、従業者割を考えるうえで重要です。

派遣社員は実際には派遣先のオフィスや工場で働いていますが、給与を支払っているのは派遣元企業です。

そのため、事業所税では派遣元と派遣先のどちらで従業者数や給与総額に反映するのかについて、通常の社員とは異なる取扱いがあります。

派遣社員を多数受け入れている企業では、実際に職場にいる人数だけを数えて免税点を判定すると誤る可能性があります。

反対に、人材派遣会社では、自社のオフィスに常時勤務していない派遣社員についても事業所税上の取扱いを確認する必要があります。

働いている場所と雇用関係が一致しないため、派遣社員は特に注意が必要な存在です。

出向者も給与の負担関係を確認する

企業グループでは、親会社から子会社へ社員を出向させることがあります。

この場合も、単純に勤務場所だけで判断できないことがあります。

出向元と出向先のどちらが給与を支払い、最終的に誰が給与を負担しているのかなどによって、事業所税上の取扱いを確認する必要があります。

例えば、給与そのものは出向元企業が支払っていても、出向先企業が給与負担金を支払っているケースがあります。

こうした場合には、形式的な給与振込先だけを見るのではなく、実質的な負担関係まで確認することが重要になります。

企業グループ内で出向が多い会社ほど、従業者割の計算には注意が必要です。

複数の事業所があれば課税団体ごとに合計する

同じ課税団体の区域内に複数の事業所がある場合には、それぞれの従業者数を合計して免税点を判定します。

例えば、同じ市内に本社があり、そこに60人が勤務しているとします。

さらに同じ市内の営業所に50人が勤務していれば、それぞれ単独では100人以下です。

しかし、合計すると110人になります。

この場合、原則として従業者割の免税点を超えることになります。

一方、別々の課税団体に所在する事業所については、それぞれの課税団体ごとに判定します。

全国に営業所や店舗を展開する企業では、会社全体の従業者数ではなく、所在地別に従業者を管理することが重要です。

資産割が免税でも従業者割だけ課税されることがある

資産割と従業者割の免税点は別々に判定します。

例えば、床面積800平方メートルのオフィスに150人が勤務している企業があったとします。

資産割については1000平方メートル以下なので、原則として免税点以下です。

しかし、従業者割については100人を超えています。

そのため、資産割は課税されなくても、従業者割だけが課税される可能性があります。

反対に、大きな倉庫や工場を少人数で運営している企業では、資産割だけが課税され、従業者割は免税となるケースもあります。

事業所税を一つの税金としてまとめて判断するのではなく、資産割と従業者割をそれぞれ確認する必要があります。

人員構成の変化が税負担に影響する

従業者割は、人員構成の変化によって税負担が変わる税金です。

新規採用によって従業者数が増える場合だけではありません。

事業所の統廃合によって別の営業所から社員が集まった場合や、企業グループ内で出向者が増えた場合などにも影響する可能性があります。

また、高齢者や派遣社員などについては特別な取扱いがあるため、単純な頭数だけでは正確な判定ができません。

特に従業者数が100人前後の企業では、人事異動や採用によって免税点を超える可能性があります。

経理部門だけで管理するのではなく、人事部門と情報を共有することが重要になります。

結論

事業所税の従業者割は、従業者給与総額に0.25%を掛けて計算する地方税です。

ただし、給与総額にいきなり税率を掛けるのではなく、まず従業者数100人という免税点を判定します。

100人以下であれば原則として従業者割は課税されませんが、100人を超えて納税義務が生じれば、100人を超えた人の給与だけではなく、原則として課税対象となる従業者給与総額全体を基準として税額を計算します。

また、従業者には一般社員だけでなく役員なども関係し、高齢者、派遣社員、出向者についてはそれぞれの取扱いを確認する必要があります。

同じ課税団体内に複数の事業所があれば、それぞれの従業者数を合計して免税点を判定することも重要です。

従業者割は給与総額を基準とする税金ですが、実務では給与額以上に誰を従業者として数えるのかが重要になります。

従業者数が100人に近い企業ほど、人員構成の変化を事業所税の観点からも継続的に確認する必要があります。

参考

税のしるべ 2026年8月10日 事業所税の課税団体が減少、人口減で30万人以上の要件を満たせず

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