マイナンバーカードとe-Taxの落とし穴――電子証明書の期限切れと確定申告の注意点

税理士
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確定申告のデジタル化が進む中で、マイナンバーカードと電子証明書の管理が、これまで以上に重要になっています。

2026年10月26日付の「税のしるべ」に掲載された高橋俊一国税庁課税部長へのインタビューでは、e-Taxの利用促進に向けた取組とともに、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限切れへの注意が呼びかけられました。

2027年に行う2026年分の確定申告では、給与情報のマイナポータル連携が拡大することも予定されています。

これにより、給与収入や源泉徴収税額などの情報を自動入力できる人が増加し、確定申告の利便性が向上すると期待されています。

しかし、マイナンバーカードを持っているだけで、すべての電子申告手続を問題なく利用できるわけではありません。

特に注意したいのが、マイナンバーカード本体と電子証明書の有効期限が異なることです。

カード自体は有効でも、電子証明書の期限が切れているために、確定申告の際に利用できない場合があります。

確定申告の直前に慌てないためには、電子証明書の仕組みと更新手続を理解しておくことが重要です。

e-Taxの利用拡大とマイナンバーカード

e-Taxは、所得税や法人税、消費税などの国税に関する申告や申請、納税などをインターネットで行うためのシステムです。

個人の所得税の確定申告では、マイナンバーカードを利用することで、自宅などから電子申告を行うことができます。

税務署に出向いたり、申告書を郵送したりする必要がなくなるため、納税者の負担軽減につながります。

また、マイナポータル連携を利用すれば、医療費や一定の控除証明書などの情報を取得し、申告書に自動入力することもできます。

2026年分の確定申告では、eLTAXを通じてオンライン提出される給与支払報告書の情報が、新たにマイナポータル連携の対象となる予定です。

このように、確定申告の電子化は、申告書をインターネットで送信する段階から、必要な情報を自動的に取得して申告書を作成する段階へと進んでいます。

その基盤となるのが、マイナンバーカードと電子証明書です。

マイナンバーカードと電子証明書の違い

マイナンバーカードには、本人確認書類としての機能と、電子的な本人確認などに利用する機能があります。

電子証明書は、カードのICチップに搭載される電子的な証明書です。

主に、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の2種類があります。

署名用電子証明書は、電子文書を作成・送信した本人であることや、文書が改ざんされていないことを確認するために利用されます。

一方、利用者証明用電子証明書は、オンラインサービスにログインする際などに、利用者本人であることを確認するために利用されます。

e-Taxやマイナポータルでは、手続の内容に応じて、これらの電子証明書が利用されます。

重要なのは、マイナンバーカード本体が有効であっても、電子証明書が有効であるとは限らないことです。

カード本体と電子証明書では、有効期限の仕組みが異なります。

電子証明書の有効期限は原則5回目の誕生日まで

18歳以上の人が発行を受けるマイナンバーカード本体の有効期限は、原則として発行日から10回目の誕生日までです。

一方、電子証明書の有効期限は、原則として発行日から5回目の誕生日までです。

そのため、カード本体の有効期限が残っていても、電子証明書の更新が必要になることがあります。

なお、18歳未満の人については、カード本体の有効期限も原則として5回目の誕生日までとなります。

また、在留期間に定めがある外国人住民などについては、別の取扱いが適用される場合があります。

電子証明書の有効期限が切れると、その証明書を必要とするオンライン手続が利用できなくなります。

確定申告の時期になって初めて期限切れに気付くことがないよう、事前に確認することが重要です。

電子証明書の有効期限の確認方法

電子証明書の有効期限は、マイナンバーカードに関する案内や、対応するアプリケーションなどを通じて確認できます。

マイナンバーカードを受け取った際に交付された書類などに、有効期限が記載されている場合もあります。

また、電子証明書の有効期限が近づくと、更新に関する通知が送付される仕組みがあります。

ただし、通知が届いていない場合でも、有効期限が延長されるわけではありません。

住所変更後の手続状況などによって、通知の受け取りに支障が生じる可能性もあります。

そのため、通知だけに頼らず、自分でも有効期限を確認しておくことが望まれます。

特に、確定申告を毎年行っている人や、医療費控除などのために電子申告を利用する予定がある人は、年末までに確認しておくと安心です。

電子証明書の更新手続

電子証明書の更新は、原則として住民登録のある市区町村の窓口で行います。

更新手続は、有効期限の3カ月前から可能です。

更新の際には、マイナンバーカードを持参し、必要な本人確認や暗証番号の入力などを行います。

電子証明書の更新手数料は、通常無料です。

ただし、窓口の受付方法や予約の要否などは自治体によって異なるため、事前に確認することが望まれます。

有効期限が切れた場合でも、電子証明書の再発行手続を行うことができます。

しかし、確定申告の期限が迫っている時期には、窓口の混雑などによって、予定どおり手続を進められない可能性があります。

そのため、有効期限が近づいている場合には、早めに更新することが重要です。

住所や氏名の変更による電子証明書への影響

電子証明書の管理では、有効期限だけでなく、住所や氏名の変更にも注意が必要です。

署名用電子証明書には、氏名や住所などの情報が含まれています。

そのため、引っ越しや婚姻などによって氏名や住所が変更された場合には、原則として署名用電子証明書が失効します。

マイナンバーカード本体が有効であっても、署名用電子証明書を利用できなくなる場合があります。

一方、利用者証明用電子証明書は、住所や氏名の変更だけでは原則として失効しません。

ただし、住所変更に伴うカードの手続などは必要です。

確定申告の前に引っ越しや氏名変更をした場合には、電子証明書の状態も確認することが重要です。

特に、電子申告を行う予定がある場合には、必要な電子証明書が有効であるかを確認しておくことが望まれます。

暗証番号の管理も重要

マイナンバーカードを利用した電子申告では、暗証番号の管理も重要です。

署名用電子証明書には、原則として英数字6文字以上16文字以下の暗証番号が設定されています。

一方、利用者証明用電子証明書には、数字4桁の暗証番号が設定されています。

これらの暗証番号は、利用する手続によって入力を求められます。

暗証番号を忘れたり、一定回数連続して誤入力したりすると、利用できなくなることがあります。

署名用電子証明書の暗証番号は5回、利用者証明用電子証明書の暗証番号は3回連続して誤入力すると、原則としてロックされます。

ロックされた場合には、所定の初期化・再設定手続が必要です。

一定の条件を満たす場合には、スマートフォンとコンビニエンスストアなどの端末を利用して初期化・再設定できる仕組みもあります。

ただし、利用条件や対応する手続を確認する必要があります。

確定申告の直前になって暗証番号が分からなくなることを防ぐため、適切に管理しておくことが重要です。

スマートフォンによる確定申告の注意点

近年は、スマートフォンを利用して確定申告を行う人も増えています。

対応するスマートフォンでマイナンバーカードを読み取ることで、電子申告を行うことができます。

また、マイナポータル連携を利用すれば、申告に必要な情報を自動入力できる場合があります。

ただし、すべてのスマートフォンで同じように利用できるわけではありません。

端末の対応状況、基本ソフトのバージョン、必要なアプリケーションなどによって、利用条件が異なります。

また、電子証明書の有効期限や暗証番号に問題がある場合には、スマートフォンが対応していても手続を進められないことがあります。

確定申告の際には、利用する端末が対応しているかを確認するとともに、必要な準備を事前に行うことが重要です。

マイナポータル連携で取得できない情報への対応

マイナポータル連携は便利な仕組みですが、申告に必要な情報がすべて自動入力されるとは限りません。

連携対象となる情報は、制度や発行機関の対応状況などによって異なります。

また、必要な設定が完了していない場合や、情報の取得時期によっては、連携できないこともあります。

例えば、給与所得者が複数の勤務先から給与を受け取っている場合には、必要な給与情報がすべて反映されているかを確認することが重要です。

また、医療費控除についても、連携された医療費通知情報だけでは、申告に必要な内容がすべてそろわない場合があります。

自動入力された情報に不足や誤りがある場合には、必要に応じて修正や追加の入力を行います。

マイナポータル連携は、申告書の作成を支援する仕組みであり、申告内容の確認を不要にするものではありません。

確定申告の期限と電子証明書の更新

所得税の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。

ただし、期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たる場合には、翌開庁日が期限となります。

2026年分の所得税の確定申告期限は、原則として2027年3月15日です。

電子証明書の有効期限が切れている場合には、更新手続が必要になることがあります。

しかし、電子証明書の更新が必要であることだけを理由に、確定申告期限が自動的に延長されるわけではありません。

そのため、電子申告を予定している場合には、確定申告期間が始まる前に準備を進めることが望まれます。

また、何らかの理由で電子申告が利用できない場合には、利用可能な別の申告方法を確認する必要があります。

期限内に適正な申告を行うことが最も重要です。

高齢者のデジタル申告を支える環境整備

確定申告のデジタル化が進む中で、高齢者など、電子機器の操作に不慣れな人への対応も重要になります。

マイナンバーカードや電子証明書、暗証番号、スマートフォンの操作など、複数の手続を理解する必要があるためです。

特に、電子証明書の有効期限や暗証番号の管理については、分かりにくいと感じる人もいると考えられます。

そのため、国税庁や自治体による分かりやすい案内や、必要な相談体制の整備が重要です。

また、家族が申告手続を支援する場合にも、本人確認や個人情報の取扱いに注意する必要があります。

税理士などの専門家が関与する場合には、適切な代理手続や情報管理を行うことが求められます。

デジタル化の目的は、単に電子申告の利用率を高めることではありません。

誰もが適正に申告できる環境を整えることが重要です。

税理士に求められる電子申告支援

マイナポータル連携やe-Taxの利用拡大は、税理士の業務にも影響します。

税理士は、税務申告書の作成や税務相談に加えて、電子申告の手続を支援する役割も担っています。

今後は、電子証明書の有効期限やマイナポータル連携の設定など、デジタル手続に関する相談も増える可能性があります。

特に、初めて電子申告を利用する人や、複数の所得がある人などに対しては、申告内容の確認とともに、適切な手続の案内が重要になります。

また、税理士が代理で電子申告を行う場合には、本人がマイナンバーカードを利用して申告する場合とは異なる手続や要件が適用されることがあります。

それぞれの方法を区別し、適切に対応する必要があります。

デジタル技術の活用が進んでも、納税者の状況に応じた専門的な支援の重要性は変わりません。

結論

確定申告のデジタル化が進む中で、マイナンバーカードと電子証明書の適切な管理が重要になっています。

特に注意したいのは、マイナンバーカード本体と電子証明書の有効期限が異なることです。

カード本体が有効であっても、電子証明書の期限が切れていれば、必要なオンライン手続を利用できない場合があります。

また、住所や氏名の変更による署名用電子証明書の失効、暗証番号の失念やロックなどにも注意が必要です。

2026年分の確定申告では、給与情報のマイナポータル連携が拡大し、電子申告の利便性がさらに高まることが期待されています。

しかし、デジタル技術を利用するためには、事前の準備と適切な管理が欠かせません。

確定申告の直前に慌てないためにも、電子証明書の有効期限、暗証番号、利用する端末の対応状況などを早めに確認しておくことが重要です。

また、自動入力された情報についても、最終的な申告内容を確認する必要があります。

デジタル化による利便性を十分に活用しながら、正確で確実な確定申告を行うことが求められます。

参考

税のしるべ 2026年10月26日「令和8年国税庁の幹部に聞く/課税部長・高橋 俊一」

国税庁「マイナポータル連携特設ページ」

国税庁「確定申告書等作成コーナー」

地方公共団体情報システム機構「マイナンバーカード総合サイト」

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