こどもNISAとは何か 0歳から投資できる新制度が家族の資産形成を変える理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

2027年1月から、いわゆる「こどもNISA」が始まります。

現在のNISAは18歳以上が対象ですが、こどもNISAでは「つみたて投資枠」に限って年齢制限が緩和され、0歳から利用できるようになります。

単に子どものための投資制度が新しくできるという話ではありません。

教育資金の準備、子どもの金融教育、祖父母から孫への資金移転、さらには家計に眠る預貯金を投資へ動かすという意味でも、大きな可能性を持つ制度です。

こどもNISAによって、家族のお金の考え方はどのように変わるのでしょうか。

0歳からNISAを利用できる

現在のNISAは18歳以上が対象です。

こどもNISAでは、つみたて投資枠について年齢制限が緩和されます。

これにより、0歳から投資を始めることが可能になります。

対象となるのは、長期、積み立て、分散投資に適していると金融庁が認めた投資信託などです。

子ども自身が株式を選んで短期売買するような制度ではありません。

長期間かけて少しずつ資産を形成することが基本的な考え方です。

年間投資上限は60万円です。

非課税保有限度額は簿価ベースで600万円となります。

例えば毎月5万円を積み立てれば、年間60万円になります。

10年間積み立てれば、投資元本だけで600万円です。

運用によって利益が出ても、NISA口座内であれば、その運用益には原則として税金がかかりません。

18歳になると通常のNISAへつながる

こどもNISAの特徴は、子どもの時だけで制度が完結しないことです。

18歳になると通常のNISAへ自動的に移管されます。

通常のNISAでは、生涯非課税投資枠1,800万円の範囲内で資産形成を続けることができます。

さらに、個別株などにも投資できる成長投資枠を利用できるようになります。

つまり、

子どもの資産形成

若者の資産形成

現役世代の資産形成

老後の資産形成

という流れをNISAという制度の中でつなげることが可能になります。

人生100年時代では、資産形成も数十年単位で考える必要があります。

0歳から利用できるということは、運用できる時間そのものが大きく広がることを意味します。

ジュニアNISAとの違いは使いやすさにある

子ども向けのNISAは今回が初めてではありません。

以前にはジュニアNISAがありました。

しかし、ジュニアNISAは利用が十分に広がらず、2023年に廃止されています。

その理由の1つとして指摘されたのが、資金を引き出しにくい仕組みでした。

子どもの教育資金を準備する場合、実際にいつお金が必要になるかは家庭によって異なります。

こどもNISAでは、一定の条件のもとで12歳から引き出すことができる仕組みとなり、以前より使い勝手が改善されます。

資産形成では税制上のメリットだけでなく、必要なときに資金を使えることも重要です。

制度の柔軟性が高まることは、利用を広げるうえで重要なポイントになります。

教育資金と長期投資の相性はよい

こどもNISAの大きな利用目的として考えられるのが教育資金です。

子どもが生まれてから大学へ進学するまでには約18年あります。

預貯金だけで準備する方法もありますが、物価が上昇する環境では、お金の実質的な価値が低下する可能性があります。

そこで長期間の一部を投資に回すという考え方が出てきます。

もちろん投資には元本保証がありません。

投資信託の価格が下落し、元本割れする可能性もあります。

一方、長期、積み立て、分散という方法を組み合わせることで、価格変動の影響を抑えながら資産形成を進めることができます。

教育資金のすべてを投資するのではなく、預貯金と投資を組み合わせるという考え方が重要になります。

親や祖父母のお金を子どもの将来へ移せる

こどもNISAでもう1つ注目したいのが、世代間の資金移転です。

日本では家計金融資産の多くを高齢世代が保有しています。

家計金融資産は約2,500兆円規模に達し、その6割超を60歳以上が保有しています。

さらに1,100兆円超、全体の約45%が現預金です。

一方、若い世代には教育、結婚、住宅購入、子育てなど、多くの資金需要があります。

資産を持つ世代と、これからお金を必要とする世代が異なっているわけです。

こどもNISAは、この世代間の資金移転を促す仕組みにもなり得ます。

特に祖父母から孫への資金移転との組み合わせは重要になります。

年60万円は暦年贈与の基礎控除の範囲内

贈与税には、暦年課税の場合、年間110万円の基礎控除があります。

こどもNISAの年間投資上限は60万円です。

そのため、祖父母などから年間60万円を贈与して投資資金に充てる場合、他の贈与との合計など一定の税務上の条件を確認する必要はありますが、110万円の基礎控除の範囲内に収めることが可能です。

ただし、単純に祖父母が孫名義の口座へ資金を移せばよいというものではありません。

贈与については、誰から誰への贈与なのか、受贈者が贈与を受けたことを認識しているか、財産を誰が管理しているのかなど、税務上確認すべき点があります。

名義だけ子どもや孫にして、実質的には祖父母が管理している場合には問題が生じる可能性があります。

こどもNISAと贈与を組み合わせる場合には、NISAの制度だけではなく、贈与税の考え方も理解しておく必要があります。

金融教育の教材にもなる

こどもNISAには、お金を増やすこととは別の意味もあります。

金融教育です。

実際に投資資金を出すのは、多くの場合、親や祖父母でしょう。

しかし、子どもが成長してからも親だけで運用を続けてしまえば、子どもにとっては単なる自分名義の資産になってしまいます。

例えば、

なぜ毎月積み立てているのか

投資信託とは何か

なぜ価格が上がったり下がったりするのか

なぜ1つの商品だけに投資しないのか

といったことを家庭で話すきっかけにできます。

自分のお金が実際に増減する経験は、金融を学ぶうえで非常に身近な教材になります。

こどもNISAは資産形成制度であると同時に、家庭で金融教育を始める仕組みにもなり得るのです。

すべての家庭が利用できるわけではない

一方で、注意したい問題もあります。

NISAは投資するための資金がなければ利用できません。

年間60万円の非課税枠があっても、年間60万円を投資できる家庭と、教育費や生活費で余裕がない家庭では利用できる金額が異なります。

祖父母から資金援助を受けられる家庭と、そうではない家庭との差もあります。

インフレが続けば、預貯金だけを保有する家庭と金融資産を保有する家庭との間で資産形成の差が広がる可能性があります。

したがって、こどもNISAだけで子育て世帯の経済問題が解決するわけではありません。

子育て支援、教育費負担、社会保障、税制などを含めて考える必要があります。

結論

こどもNISAは、単なる子ども版NISAではありません。

0歳から長期、積み立て、分散投資を始められることで、教育資金から成人後の資産形成までを長期間にわたってつなぐことができます。

さらに重要なのが、世代間の資金移転です。

日本には約2,500兆円規模の家計金融資産があり、その多くを高齢世代が保有しています。

こどもNISAを通じて祖父母や親の預貯金の一部が若い世代へ移り、それが長期投資に向かえば、家族の資産形成だけではなく、経済全体への資金供給にもつながります。

そして子ども自身がお金や投資について学ぶ機会にもできます。

人生100年時代では、60歳になってから老後資金を考えるだけではなく、人生の早い段階からお金との付き合い方を学ぶことが重要になります。

こどもNISAは、そのスタート地点を0歳まで早める制度だと考えることができます。

参考

日本経済新聞 2026年9月29日 朝刊 「こどもNISA」を経済活性化の契機に

タイトルとURLをコピーしました