返礼品選びの落とし穴 ― 本当に得しているのか?

税理士
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(ふるさと納税を考えるシリーズ 第3回)

ふるさと納税の魅力の一つは、全国各地の自治体から届く返礼品。お米や肉、魚介類から、最近では体験型サービスまで多彩になりました。
しかし「お得!」と飛びつく前に、知っておきたい落とし穴があります。今回はその注意点を解説します。


落とし穴① ― 還元率だけを見て選ぶ

返礼品の価値(市場価格)が寄付額に対してどれくらいかを示す「還元率」。かつては還元率7割以上の返礼品も多く見られました。
しかし現在は総務省の規制により「寄付額の3割以下」がルールとなっています。

  • 1万円の寄付 → 返礼品は3,000円相当まで
  • 還元率は大体25〜30%

つまり「寄付=お得」というよりも、「自己負担2,000円で特産品をもらえる制度」と考えた方が正確です。


落とし穴② ― ポータルサイトの手数料

寄付は多くの場合、ポータルサイト経由で行います。便利ですが、サイト運営会社への手数料が発生しており、寄付額の1〜2割がそこに流れています。

記事でも指摘されていたように、場合によっては寄付額の半分が返礼品や手数料などの経費に消えてしまい、本来の「地域振興」には届かないケースもあります。

「どのサイトから寄付するか」も、意識して選びたいポイントです。


落とし穴③ ― 返礼品の過剰在庫と利用期限

食品や体験型サービスには利用期限があります。冷凍庫がいっぱいで食べきれなかったり、旅行券を使いそびれて無駄にしてしまう人も少なくありません。

  • 食品は「冷凍保存可能か」「消費期限はいつまでか」
  • 体験型は「繁忙期は利用できない」など条件があるか

これらを確認しないと、「もらったのに使えなかった」という事態になりかねません。


落とし穴④ ― 上限額を超える寄付

前回触れたように、控除には上限があります。これを超えると「ただの寄付」となり、節税メリットはなくなります。

例えば、年収600万円の方が15万円寄付してしまった場合、控除されるのは7万7,000円程度。差額は実質的に自己負担です。

「控除上限シミュレーション」を必ず利用して、寄付額を決めましょう。


返礼品選びで意識したい視点

落とし穴を避けるためには、次のような視点が大切です。

  • 生活に役立つものを選ぶ(米・肉・日用品など)
  • 消費できる量を考える(家族の人数や保存方法を踏まえる)
  • 地域を応援したい気持ちを優先する(災害支援や子育て事業など)

単なる「得」だけでなく、「どうせなら生活を豊かにし、地域の役に立つ寄付」を目指すことが大切です。


まとめ

ふるさと納税は魅力的な制度ですが、返礼品を「お得だから」と安易に選ぶと、思わぬ損をする可能性があります。
本当に得をするためには、 上限額を守り、無理なく消費できる返礼品を選び、地域貢献につながる寄付先を意識すること がポイントです。

👉 次回(第4回)は「自治体はどう使っている?寄付金の行方」について解説します。


(参考 納税通信 2025年8月25日号)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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