年末調整担当者が2026年中に確認すべきこと 2027年1月改正への準備

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

2027年1月から、給与所得の源泉徴収票をめぐる実務が大きく変わります。

給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出したものとみなす「みなし提出の特例」が始まります。

さらに、法定調書の電子的提出義務の基準枚数も100枚以上から30枚以上へ引き下げられます。

制度が始まるのは2027年ですが、年末調整担当者が準備を始める時期は2027年になってからではありません。

資料では、2026年9月から10月、11月、そして2027年1月から2月にかけて確認すべき項目が整理されています。

年末調整が本格化してから慌てないためにも、2026年中に自社の提出方法やシステム設定を確認しておくことが重要です。

最初に2027年の電子的提出義務を確認する

まず確認したいのが、自社に電子的提出義務があるかどうかです。

2027年1月1日以後、法定調書の電子的提出義務の基準枚数は100枚以上から30枚以上へ引き下げられます。

この変更によって、これまで電子提出義務の対象になっていなかった企業でも、新たに対象となる可能性があります。

資料の準備チェックリストでは、2026年9月から10月の準備項目として「2027年の電子的提出義務の確認」が挙げられています。

具体的には2025年の法定調書提出枚数を確認し、2027年の提出方法を確認します。

従業員数だけで判断するのではなく、電子提出義務の判定に使用する法定調書の枚数を確認することが重要です。

2027年の提出方法を早めに決める

電子提出義務の有無を確認したら、次は2027年にどの方法で給与支払報告書を提出するのかを決めます。

みなし提出の特例そのものは、eLTAXだけに限定された制度ではありません。

eLTAX、光ディスク等、書面のいずれによって給与支払報告書を市区町村へ提出した場合でも、特例の対象になります。

したがって、みなし提出を利用するためだけにeLTAXへ変更する必要はありません。

ただし、eLTAXには別のメリットがあります。

従業員が確定申告を行う際に給与情報がマイナポータル連携の対象となるほか、提出先市区町村への自動振分け、印刷や押印、封入、送付作業などの削減にもつながります。

自社の電子提出義務だけでなく、こうしたメリットも踏まえて提出方法を選ぶことになります。

マイナポータル連携について従業員へ周知する

eLTAXで給与支払報告書を提出する企業では、従業員への周知も準備項目になります。

eLTAXで給与支払報告書を提出すると、従業員が確定申告を行う際、給与情報がマイナポータル連携の対象になります。

給与情報が確定申告書へ自動入力されるため、従業員の申告書作成の負担軽減につながります。

資料では、eLTAXで提出する場合には、従業員に給与情報のマイナポータル連携が可能であることを周知することが示されています。

会社側が電子化するだけではなく、その結果として従業員が利用できる仕組みについても伝えることが重要になります。

個人住民税特別徴収税額通知の受取り方法を確認する

eLTAXを利用する場合には、給与支払報告書の送信だけを確認すればよいわけではありません。

資料の準備チェックリストでは、「個人住民税特別徴収税額通知の受取り方法を確認」することも挙げられています。

紙による通知または電子データによる通知の受取り方法を選択します。

給与支払報告書を電子的に提出することだけに意識が向きやすいところですが、その後に受け取る情報についても確認が必要です。

給与事務の入口だけではなく、提出後の情報の受取りまで含めて業務フローを確認する必要があります。

給与支払報告書の提出先市区町村を確認する

給与支払報告書は市区町村へ提出します。

そのため、従業員の異動などによって提出先となる市区町村が変わっていないかを確認することも重要です。

資料のチェックリストでは、従業員の異動に伴う給与支払報告書提出先の市区町村の変更内容を確認することが示されています。

2027年からは、この給与支払報告書の提出が税務署への給与所得の源泉徴収票のみなし提出にもつながります。

したがって、市区町村への給与支払報告書を正しく作成し、正しい提出先へ届けることの重要性はこれまで以上に高まります。

給与ソフトなどの設定変更を確認する

2027年改正では、給与ソフトなどのシステム対応も重要になります。

これまでeLTAXの「電子的提出の一元化」機能を利用していた企業では、特に確認が必要です。

従来は給与支払報告書と源泉徴収票をeLTAXで一括作成、提出する仕組みがありました。

しかし、みなし提出の特例が始まれば、給与支払報告書を市区町村へ提出することで源泉徴収票についても税務署へ提出したものとみなされます。

さらに、電子的提出の一元化機能と統一CSVレイアウトは2029年6月に廃止される予定です。

資料では、これに伴う給与ソフト等の設定内容や送信方法を確認することが準備項目として挙げられています。

前年と同じ設定のままでよいとは限りません。

法定調書合計表の作成方法も変わる

2027年からは法定調書合計表の作成方法にも注意が必要です。

みなし提出によって給与所得の源泉徴収票を税務署へ直接提出する必要がなくなり、ほかに税務署へ提出する法定調書がなければ、合計表の提出も不要になります。

一方、退職所得の源泉徴収票や報酬の法定調書などを税務署へ提出する場合には、合計表が必要です。

その場合でも、給与所得の源泉徴収票に係る記載は行わず、実際に税務署へ提出する法定調書について作成します。

資料の準備チェックリストでも、給与所得の源泉徴収票以外の調書データのみで法定調書合計表を作成することが示されています。

給与ソフトが従来どおり源泉徴収票のデータを合計表へ反映する設定になっていないかも確認しておきたいところです。

2028年と2029年の電子提出義務も確認する

2027年の提出が終われば、それで準備完了ではありません。

資料では、翌年、翌々年の電子的提出義務についても確認することが示されています。

電子的提出義務は、基準年に提出すべきであった法定調書の枚数によって判定します。

そのため、2026年や2027年の法定調書提出枚数は、その後の2028年、2029年の提出方法にも関係します。

特にみなし提出開始後は、実際に税務署へ源泉徴収票を直接提出した枚数だけでは判断できません。

市区町村への給与支払報告書の提出によってみなし提出となった源泉徴収票についても、判定上の枚数に関係します。

毎年の処理が終わった時点で、将来の電子提出義務判定に必要な情報を残しておくことが重要です。

2026年中に社内の業務フローを見直す

今回の改正は、単に提出する書類が1つ減るというだけではありません。

給与情報を作成してから提出するまでの流れそのものが変わります。

そのため、2026年中に社内の年末調整や法定調書提出のマニュアルを見直しておくことが重要です。

特に、

源泉徴収票を税務署へ提出する手順

給与支払報告書を市区町村へ提出する手順

法定調書合計表を作成する手順

eLTAXを利用する手順

給与ソフトからデータを作成する手順

などについて、従来の記載がそのまま残っていないか確認する必要があります。

2027年になって担当者が前年のマニュアルをそのまま使えば、旧制度の処理をしてしまう可能性があります。

制度とシステムをセットで確認する

年末調整の制度改正では、税制や提出ルールだけを確認して終わりになりがちです。

しかし、今回の改正ではシステム対応が非常に重要です。

制度上はみなし提出になっていても、給与ソフトの設定が従来のままであれば、担当者が迷う可能性があります。

反対に、給与ソフトが自動的に対応していても、担当者が制度を理解していなければ、なぜ源泉徴収票を税務署へ提出しないのか判断できません。

制度とシステムの両方を理解して初めて、実務を安定して運用できます。

結論

2027年1月から始まる給与所得の源泉徴収票のみなし提出の特例への対応は、2027年になってから始めるのでは遅い可能性があります。

資料では、2026年9月から準備を進めることが示されています。

まず2025年の法定調書提出枚数を確認し、2027年に電子的提出義務があるかを判定します。

そのうえで、2027年の提出方法を選定します。

eLTAXを利用する場合には、給与情報のマイナポータル連携について従業員へ周知し、個人住民税特別徴収税額通知の受取り方法も確認します。

さらに、給与支払報告書の提出先市区町村、給与ソフト等の設定、法定調書合計表の作成方法についても確認が必要です。

そして2027年の処理が終わった後は、2026年、2027年の法定調書提出枚数を基に、2028年、2029年の電子的提出義務について確認していきます。

今回の改正で重要なのは、制度が始まる日ではなく、準備を始める日です。

2026年中に自社の現在の提出方法を洗い出し、2027年から何が変わるのかを整理しておくことが、制度移行を円滑に進めるポイントになります。

次回は、「給与ソフト任せでは危ない みなし提出開始後に企業が確認すべき設定項目」について詳しく見ていきます。

参考

企業実務 2026年10月号 2027年1月施行 給与所得の源泉徴収票「みなし提出の特例」の実務対応

タイトルとURLをコピーしました