実態貸借対照表とは何か 決算書の資産をそのまま信用してはいけない理由編

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会社の財務状態を確認するとき、多くの人が貸借対照表を見ます。

現預金はいくらあるのか、売掛金はいくらあるのか、在庫はいくらあるのか、貸付金はいくらあるのか。

そして、それらを合計した資産と負債を比較して会社の安全性を判断します。

しかし、参考記事が示している重要なポイントは、貸借対照表に記載されている資産の金額が、そのまま実際の資産価値を表しているとは限らないことです。

回収できない売掛金、適正な価格で販売できない商品、返済される見込みのない貸付金などが含まれていれば、会社の実際の財務状態は決算書の数字より悪い可能性があります。

貸借対照表には帳簿上の金額が載っている

貸借対照表には、会社が保有している資産や負債などが表示されています。

資産には現預金、売掛金、商品、貸付金などがあります。

貸借対照表を見ることで、会社がどのような資産を持ち、どの程度の負債を抱えているのかを確認できます。

しかし、資産として計上されているからといって、そのすべてが額面どおりの価値を持っているとは限りません。

参考記事では、流動比率を分析する際にも、流動資産の金額をそのまま使うのではなく、実態を考える必要があることを具体例で説明しています。

返済されない貸付金は価値を見直す

参考記事の事例では、流動資産が6,350万円あります。

この中に貸付金3,000万円が含まれています。

ところが、この貸付金は1年以内に返済される見込みがありません。

そこで参考記事では、この貸付金について資産価値を0として計算しています。

帳簿上は3,000万円の資産です。

しかし、短期的な支払能力を見るうえでは、3,000万円の現金と同じように考えることはできません。

貸借対照表を見るときには、資産の金額だけではなく、その資産が本当に回収できるのかを見る必要があるのです。

回収できない売掛金にも同じ問題がある

参考記事では、貸付金以外にも実態を確認すべき資産として、回収できない売掛金を挙げています。

売掛金は、商品やサービスを販売したものの、まだ代金を受け取っていない金額です。

通常であれば、取引先から代金を回収することで現金になります。

しかし、取引先の経営状態が悪化するなどして回収できないのであれば、帳簿に記載されている金額をそのまま支払能力として評価することはできません。

たとえば、売掛金1,000万円のうち500万円が実質的に回収できない状態なら、帳簿上の1,000万円と実際に期待できる価値には差があります。

資産を見るときには、金額だけでなく回収可能性が重要になります。

売れない在庫にも注意する

参考記事では、適正価格で販売できない商品についても資産価値を見直す必要があると説明しています。

商品は貸借対照表では資産です。

商品を販売し、その代金を回収することで会社の現金になります。

しかし、長期間売れ残っている商品や、適正な価格では販売できない商品が大量にあればどうでしょうか。

帳簿上では商品として金額が残っていても、その金額どおりに現金化できるとは限りません。

貸付金、売掛金、商品には共通点があります。

帳簿上は資産でも、実際にどの程度現金化できるのかによって会社にとっての実質的な価値が変わることです。

表面上は流動比率176%になる

参考記事では、この違いを流動比率を使って説明しています。

流動資産は6,350万円です。

流動負債は3,600万円です。

この数字をそのまま使って流動比率を計算すると、約176%になります。

流動資産が流動負債を大きく上回っています。

数字だけを見れば、短期的な支払能力にはかなり余裕がある会社のように見えます。

しかし、ここで流動資産の中身を確認する必要があります。

実態を見ると流動比率は93%になる

流動資産6,350万円の中には、1年以内に返済される見込みのない貸付金3,000万円が含まれています。

参考記事では、この貸付金の資産価値を0として考えています。

6,350万円から3,000万円を差し引くと、実質的に評価する流動資産は3,350万円になります。

これを流動負債3,600万円で割ると、流動比率は約93%です。

表面上は176%だったものが、実態を見ると93%になります。

同じ会社の同じ貸借対照表でも、資産の中身をどのように見るかによって会社の安全性に対する評価が大きく変わることが分かります。

資産の中身を見ることが重要

参考記事が示しているのは、貸借対照表の数字を単純に合計するだけでは会社の実態が分からないということです。

現預金であれば、その金額を支払いに使うことができます。

これに対して貸付金は、相手から返済されなければ現金になりません。

売掛金も、取引先から回収できなければ現金になりません。

商品も、販売できなければ現金になりません。

同じ1,000万円の資産でも、中身によって現金化できる可能性は大きく違います。

そのため、会社の財務状態を見る場合には、資産の金額だけでなく、その内容を確認する必要があります。

銀行も実質的な価値を見る

参考記事では、銀行は多額の貸付金がある決算書について厳しい見方をすると説明しています。

これは、貸付金が帳簿上の資産だから安心だとは考えないためです。

誰に貸しているのか。

返済期限はいつなのか。

実際に返済されているのか。

今後回収できる可能性があるのか。

こうした内容によって貸付金の実質的な価値は変わります。

決算書を分析するときには、表面上の数字だけではなく、資産の実態まで確認することが重要なのです。

結論

貸借対照表に資産として記載されているからといって、その金額をそのまま会社の実力と考えることはできません。

参考記事では、1年以内に返済される見込みのない貸付金について資産価値を0として考える事例を示しています。

その結果、表面上176%だった流動比率は、実態では93%になります。

同じことは、回収できない売掛金や適正価格で販売できない商品にも当てはまります。

重要なのは、帳簿上いくらの資産があるかだけではありません。

その資産が本当に回収できるのか。

本当に販売できるのか。

必要なときに現金へ変えられるのか。

こうした視点から資産の実質的な価値を見ることで、決算書の表面的な数字だけでは分からない会社の財務状態が見えてきます。

決算書を読むときには、資産の金額だけではなく、その中身を見ることが重要なのです。

参考

企業実務 2026年9月号 貸付金の発生に注意を

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