こどもNISAと教育資金一括贈与は何が違うのか 祖父母から孫へお金を渡す方法を考える編

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祖父母が孫の将来のためにお金を渡す方法は1つではありません。

2027年1月から始まる「こどもNISA」を利用して、毎年少しずつ資金を渡しながら投資する方法があります。

一方、教育資金については、一定の要件を満たした一括贈与について贈与税の非課税措置が設けられてきました。

どちらも祖父母から孫への資金移転に関係するため、似た制度に見えるかもしれません。

しかし、目的も仕組みも大きく異なります。

こどもNISAは投資による資産形成の制度です。

教育資金一括贈与の非課税措置は、教育目的の贈与について一定の要件のもとで贈与税の負担を軽減する制度です。

この違いを理解することが、孫への資金援助を考える第一歩になります。

こどもNISAは投資のための制度

こどもNISAの中心にあるのは、子どもの長期的な資産形成です。

0歳から利用でき、年間投資上限は60万円です。

非課税保有限度額は600万円となります。

投資対象は、長期、積み立て、分散投資に適していると認められた投資信託などが中心です。

投資によって生じた利益などについて、NISAの非課税措置を受けることができます。

つまり、こどもNISAそのものは祖父母から孫への贈与を非課税にする制度ではありません。

祖父母が投資資金を孫へ渡した場合には、別途、贈与税について考える必要があります。

教育資金一括贈与は贈与税の制度

教育資金一括贈与の非課税措置は、性格が異なります。

祖父母などが孫などの教育資金として一定の資金を一括して拠出し、所定の要件を満たす場合に贈与税の非課税措置を受ける仕組みです。

目的は教育資金です。

学校への支払いなど、制度上認められた教育関係の支出に利用することが前提になります。

こどもNISAのように、長期投資によって資産を増やすことを主な目的とした制度ではありません。

同じ祖父母から孫への資金移転でも、制度が解決しようとしている問題が異なるのです。

使い道の自由度が違う

両者の大きな違いの1つが、資金の使い道です。

教育資金一括贈与の非課税措置では、制度の対象となる教育費に使うことが基本になります。

何に使ったのかを確認するための手続きも必要になります。

一方、こどもNISAは教育費だけを準備する制度ではありません。

一定の条件で途中から資金を引き出すこともでき、教育費に利用することも考えられます。

さらに、教育費として使わなければ、18歳以降の資産形成へつなげることもできます。

大学進学、就職、結婚、住宅取得、老後など、より長期の人生設計につなげることができます。

教育だけに目的を限定しない点が、こどもNISAの特徴です。

一括して渡すか毎年少しずつ渡すか

資金移転の方法にも違いがあります。

教育資金一括贈与では、まとまった資金を一括して拠出することができます。

祖父母に十分な金融資産があり、孫の将来の教育費を早い段階で確保したい場合には、このような考え方があります。

一方、こどもNISAの年間投資上限は60万円です。

祖父母が資金を提供する場合には、毎年少しずつ贈与して積み立てる方法が考えられます。

一括でまとまった資産を移すのではなく、時間をかけて資産形成を支援する仕組みです。

祖父母自身の資金状況を毎年確認しながら援助額を考えられるという違いもあります。

投資するか教育費として確保するか

資金の性格も大きく異なります。

こどもNISAでは投資信託などへ投資します。

そのため、資産が増える可能性がある一方、価格が下落する可能性もあります。

例えば大学進学直前に金融市場が大きく下落すれば、必要な教育資金を予定どおり確保できないことも考えられます。

一方、教育資金として確実に必要になるお金は、投資による価格変動リスクをどこまで取るのか慎重に考える必要があります。

したがって、どちらの制度が優れているという問題ではありません。

いつ使うお金なのかによって、適した方法が変わります。

通常の教育費なら一括贈与制度を使わなくてもよい場合がある

教育費については、もう1つ知っておきたい贈与税の考え方があります。

扶養義務者から通常必要と認められる教育費を、その必要な都度負担する場合には、一定の範囲で贈与税の課税対象とならない取扱いがあります。

例えば祖父母が孫の教育費を支援する場合でも、必ず教育資金一括贈与の非課税措置を利用しなければならないわけではありません。

重要なのは、将来何年分もの資金をまとめて渡す場合と、実際に必要になった教育費をその都度負担する場合を区別することです。

教育費という同じ言葉でも、資金の渡し方によって税務上の考え方が変わります。

こどもNISAと組み合わせる考え方もある

祖父母から孫への支援方法を1つに絞る必要はありません。

例えば数年以内に必要になる教育費は、預貯金などで確保しておきます。

実際に必要になった教育費については、その都度支援する方法もあります。

一方、大学卒業後まで使わない可能性がある長期資金については、こどもNISAで運用することが考えられます。

教育資金と長期資産形成の資金を分けるわけです。

すぐに必要になるお金と、10年、20年先まで使わないお金では、適切な管理方法が違います。

制度から考えるのではなく、お金をいつ何のために使うのかから考えることが重要です。

祖父母自身の資金計画も忘れない

孫の教育を支援したいという気持ちがあっても、祖父母自身の生活資金を優先する必要があります。

長寿化が進めば、老後期間も長くなります。

医療費や介護費、住宅の修繕費や住み替え費用などが必要になる可能性もあります。

まとまった金額を一括で贈与すると、後から資金が必要になっても原則として簡単に取り戻すことはできません。

毎年少しずつ資金を渡す方法であれば、その年の資産状況を確認しながら判断できます。

孫への資金援助は、祖父母自身の老後資金とセットで考えることが重要です。

税制だけで選ばない

祖父母から孫へ資金を移すときには、どうしても「どの制度が一番税金を減らせるのか」に目が向きがちです。

しかし、税金だけで制度を選ぶと、本来の目的を見失う可能性があります。

教育費を確実に準備したいのか。

孫の長期的な資産形成を支援したいのか。

まとまった資金を早めに移したいのか。

毎年少しずつ援助したいのか。

祖父母自身の老後資金はいくら必要なのか。

こうした点を先に整理し、その後で利用できる税制を検討する順番が大切です。

結論

こどもNISAと教育資金一括贈与の非課税措置は、どちらも祖父母から孫への資金移転に利用できる可能性がありますが、制度の目的は大きく異なります。

こどもNISAは、子どもの長期的な資産形成を支援する投資制度です。

教育資金一括贈与の非課税措置は、一定の教育目的の資金贈与について贈与税の負担を軽減する制度です。

教育資金として確実に使うお金なのか。

長期間運用できるお金なのか。

この違いによって、適した方法は変わります。

さらに、通常必要な教育費を祖父母などがその都度負担する方法もあります。

大切なのは、最初に税制を選ぶことではありません。

孫にいつ、何のために、いくらのお金を渡したいのかを決めることです。

その目的を整理したうえで、こどもNISA、教育資金への援助、生前贈与などを組み合わせて考えることが、祖父母から孫への資金移転では重要になります。

参考

日本経済新聞 2026年9月29日 朝刊 「こどもNISA」を経済活性化の契機に

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