こどもNISAの600万円とは何か 年間投資枠60万円との違いを理解する編

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2027年1月から始まる「こどもNISA」には、2つの重要な金額があります。

年間投資上限の60万円と、非課税保有限度額の600万円です。

60万円と600万円という数字だけを見ると、「毎年60万円を10年間投資できる制度」と理解したくなります。

基本的なイメージとしては分かりやすいのですが、この2つは同じ種類の限度額ではありません。

年間60万円は1年間に新たに投資できる金額の上限です。

一方、600万円はこどもNISAで非課税保有できる投資元本を管理するための限度額です。

こどもNISAを利用するうえでは、この違いを理解しておくことが重要です。

年間60万円は1年間の投資上限

まず、年間60万円について考えてみます。

こどもNISAでは、1年間に投資できる金額の上限が60万円となります。

毎月均等に積み立てるなら5万円です。

例えば毎月3万円なら年間36万円、毎月5万円なら年間60万円になります。

年間60万円は上限なので、必ず60万円を投資する必要はありません。

家計に余裕がなければ月1万円や2万円でも構いません。

重要なのは、年間60万円という金額は「その年に新しく投資できる金額」を示していることです。

600万円は非課税で保有するための限度額

もう1つの数字が600万円です。

これは非課税保有限度額です。

こどもNISAを使って購入した金融商品について、一定の範囲まで非課税で保有できる仕組みになっています。

年間投資上限60万円を毎年すべて利用すると、単純計算では10年間で600万円になります。

0歳から毎年60万円を投資した場合、10年間で投資元本が600万円に達することになります。

一方、年間30万円なら600万円に達するまでには20年かかる計算になりますが、こどもNISAとして利用できる期間には年齢による区切りがあります。

したがって、600万円まで必ず投資しなければならないわけでも、すべての利用者が600万円に到達するわけでもありません。

600万円は時価ではなく簿価で考える

600万円を理解するうえで重要なのが「簿価ベース」という考え方です。

簡単にいえば、現在いくらの価値になっているかではなく、いくらで購入したかを基準として管理する考え方です。

例えば600万円で購入した投資信託が値上がりして、時価900万円になったとします。

資産価値は900万円ですが、非課税保有限度額を考えるうえでの簿価は600万円です。

900万円になったからといって、600万円の限度額を300万円超えてしまったという意味ではありません。

投資によって増えた利益まで600万円の中に含める仕組みではないからです。

この点は、こどもNISAの大きな特徴です。

値上がり益が大きくても非課税保有限度額とは別に考える

例えば購入金額600万円の投資信託が長期間の運用によって1,000万円になったとします。

この場合、400万円の値上がり益が生じています。

通常の課税口座で投資信託を売却して利益が出れば、原則としてその利益に税金がかかります。

一方、NISA口座では制度の対象となる運用益が非課税になります。

つまり、600万円という非課税保有限度額は「資産を600万円までしか増やせない」という意味ではありません。

投資元本を管理するための枠と、運用によって形成された資産額は分けて考える必要があります。

長期間運用するこどもNISAでは、この違いが特に重要になります。

値下がりしても投資元本が自動的に減るわけではない

反対に、投資した金融商品が値下がりした場合はどうでしょうか。

例えば600万円で購入した投資信託の時価が500万円になったとします。

100万円の含み損が生じています。

しかし、時価が500万円になったからといって、それだけで100万円分の投資枠が新たに生まれるわけではありません。

投資商品の値上がりや値下がりと、非課税保有限度額の管理は別の話だからです。

相場が下落したときに「資産が100万円減ったので、その分を追加投資できる」と考えるのは誤りです。

こどもNISAでは、時価ではなく簿価を見ることが重要になります。

年間60万円と600万円を分けて考える

年間投資上限と非課税保有限度額は、時間軸を分けて考えると分かりやすくなります。

年間60万円は1年間の話です。

600万円は複数年にわたる資産形成全体の話です。

例えば1年目に60万円、2年目に60万円、3年目に60万円と投資すれば、3年間の投資元本は180万円になります。

年間投資上限を守りながら、非課税保有限度額600万円に向かって投資元本が積み上がっていくイメージです。

この2段階の限度額によって、1年間に大量の資金を一気に投資するのではなく、長期間にわたって積み立てる制度になっています。

600万円を目標にする必要はない

600万円という大きな非課税枠を見ると、「せっかくなら600万円まで投資した方が得だ」と考えるかもしれません。

しかし、非課税保有限度額は家計の目標額ではありません。

子育て世帯には、日々の生活費だけでなく、住宅費や教育費など多くの支出があります。

生活予備資金を削ってまで投資する必要はありません。

例えば毎月1万円を積み立てる家庭もあれば、毎月5万円を積み立てる家庭もあります。

祖父母からの贈与を活用する家庭もあるでしょう。

家庭によって収入、資産、子どもの人数、教育方針は異なります。

重要なのは600万円を使い切ることではなく、自分の家庭に合った金額を設定することです。

教育資金として使うなら出口も考える

非課税保有限度額600万円まで投資できるからといって、教育資金をすべて投資することが適切とは限りません。

教育資金には、使う時期があります。

大学入学直前に株式市場が大きく下落する可能性もあります。

そのため、子どもが小さい時期には投資の割合を高め、進学時期が近づいたら必要な金額を徐々に現預金へ移すという考え方もあります。

資産形成では、いくら投資するかだけでなく、いつ売却して使うかも重要です。

こどもNISAの600万円という枠を見るときにも、「最大いくら投資できるか」だけではなく、「何のために、いつ使うお金なのか」を考える必要があります。

結論

こどもNISAには、年間投資上限60万円と非課税保有限度額600万円という2つの重要な金額があります。

年間60万円は、その年に新しく投資できる金額の上限です。

一方、600万円は複数年にわたって非課税で保有する投資元本を管理するための限度額です。

さらに600万円は時価ではなく簿価ベースで考えます。

600万円で購入した金融商品が800万円や1,000万円に値上がりしても、それだけで非課税保有限度額を超えたことにはなりません。

反対に値下がりしても、その分だけ自動的に新しい投資枠が生まれるわけではありません。

そして最も重要なのは、600万円を使い切ること自体を目的にしないことです。

こどもNISAは非課税枠を最大限消費するための制度ではなく、家計に無理のない範囲で子どもの将来に向けた資産形成を続けるための制度なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月29日 朝刊 「こどもNISA」を経済活性化の契機に

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