変動金利はどこまで上がると家計が苦しくなるのか 金利上昇を想定した返済額の考え方編

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住宅ローンの変動金利が上昇すると、「金利が何%になったら危険なのか」が気になる人は多いでしょう。

しかし、家計が苦しくなる金利水準はすべての人に共通しているわけではありません。

同じ金利でも、住宅ローン残高が3,000万円の人と6,000万円の人では影響が違います。

収入や貯蓄、教育費などによっても家計の耐久力は変わります。

そこで重要になるのが、将来の金利を予測することではなく、金利が上昇した場合の返済額をあらかじめ試算しておくことです。

金利が1%上がる影響は借入額によって違う

住宅ローン金利が1%上昇したと聞くと、わずかな差に感じるかもしれません。

しかし、住宅ローンは数千万円を20年、30年、35年といった長期間にわたって返済します。

そのため、1%の金利差でも返済額への影響は小さくありません。

例えば、4,000万円を35年間、元利均等返済で借りるケースを単純化して考えてみます。

金利1%なら毎月返済額は約11万3,000円です。

金利2%なら約13万3,000円になります。

さらに金利3%なら約15万4,000円です。

金利1%と3%では、毎月の返済額に約4万1,000円の差が生じます。

年間では約49万円です。

住宅ローンでは、わずかな金利差が長期間の家計に大きく影響します。

借入額が大きいほど金利上昇の影響も大きい

金利上昇の影響を考えるうえで重要なのが住宅ローン残高です。

同じ1%の金利上昇でも、借入額が2,000万円の場合と6,000万円の場合では影響が大きく違います。

住宅価格が高い都市部では、住宅ローンの借入額も大きくなりやすくなります。

低金利であれば大きな住宅ローンでも毎月返済額を一定程度に抑えることができます。

しかし、その分だけ金利上昇時の影響も大きくなります。

住宅価格だけを見るのではなく、借入額と金利の組み合わせを見ることが重要です。

金利が何%なら危険という基準はない

それでは、変動金利が2%になったら危険なのでしょうか。

あるいは3%になったら危険なのでしょうか。

一律に判断することはできません。

例えば毎月10万円を貯蓄できている家庭で住宅ローン返済額が2万円増えても、ある程度対応できるでしょう。

一方、毎月の収入をほぼ使い切っている家庭では、返済額が1万円増えただけでも家計が苦しくなる可能性があります。

つまり、危険な金利水準は住宅ローン金利そのものではなく、家計にどれだけ余裕があるかによって決まります。

1%上昇と2%上昇を試算する

変動金利型住宅ローンを利用する場合には、現在の金利だけで返済計画を作らないことが重要です。

例えば現在の適用金利から1%上昇した場合と2%上昇した場合について、返済額を試算してみます。

そして、増加した返済額を現在の家計から支払えるかを確認します。

毎月返済額が3万円増えた場合でも貯蓄を続けられるのか。

教育費が増える時期と重なっても対応できるのか。

老後資金の積立を中断しなくても済むのか。

こうした確認をすることで、自分の家計がどの程度の金利上昇まで対応できるのかが見えてきます。

5年ルールがある場合にも試算は必要

変動金利型住宅ローンのなかには、5年ルールを採用している商品があります。

金利が上昇しても毎月返済額を原則5年間変更しない仕組みです。

そのため、金利が上昇しても当面の返済額が変わらないことがあります。

しかし、金利上昇の影響がなくなったわけではありません。

利息部分が増え、元本の減少ペースが遅くなる可能性があります。

さらに、5年後の返済額見直し時に返済額が増えることがあります。

だからこそ、実際の返済額が増えてからではなく、金利が上昇した段階で将来の返済額を試算しておくことが重要です。

返済額が増えたつもりで貯蓄する

金利上昇への備えとして分かりやすい方法があります。

将来住宅ローン返済額が増えたと想定し、その差額を現在から貯蓄する方法です。

例えば現在の返済額が月12万円で、金利上昇後に15万円になる可能性を想定したとします。

毎月3万円を住宅ローン返済額が増えたつもりで貯蓄します。

実際に1年間続ければ36万円になります。

返済額が将来増えた場合には、すでに月15万円を支出する家計に慣れているため対応しやすくなります。

金利がそれほど上昇しなかった場合には、その貯蓄を生活防衛資金や老後資金として残すことができます。

繰上返済だけが対策ではない

金利が上昇すると、繰上返済によって住宅ローン残高を減らした方がよいと考える人もいるでしょう。

確かに、住宅ローン残高を減らせば将来支払う利息を抑える効果があります。

しかし、手元の貯蓄をすべて繰上返済に使うことには注意が必要です。

住宅購入後には教育費、修繕費、医療費などさまざまな支出があります。

収入が減少する可能性もあります。

一度繰上返済したお金は、原則として生活費として簡単に取り戻すことはできません。

金利上昇局面ほど、住宅ローン残高を減らすことと手元資金を確保することの両方を考える必要があります。

金利を当てようとしない

住宅ローンを考えると、「日銀はあと何回利上げするのか」「変動金利は最終的に何%になるのか」といった予測に注目しがちです。

もちろん、金利動向を確認することは重要です。

しかし、数十年間の住宅ローン金利を正確に予測することは困難です。

住宅ローンは、金利予測が当たることを前提として組むものではありません。

予想より金利が上昇した場合でも返済できるようにしておくことが重要です。

金利を予測することより、金利上昇への耐久力を高めることの方が家計にとって重要になります。

結論

変動金利が何%になったら家計が危険になるのかについて、すべての家庭に共通する答えはありません。

住宅ローン残高、収入、貯蓄、教育費などによって耐えられる金利水準が違うからです。

重要なのは、現在の低い返済額だけを基準に住宅ローンを考えないことです。

現在の金利から1%上昇した場合、さらに2%上昇した場合について返済額を試算し、その金額でも生活を維持できるかを確認しておく必要があります。

そして、返済額が将来増える可能性があるなら、増加分を先に貯蓄する方法もあります。

住宅ローンの金利が将来何%になるのかを正確に当てる必要はありません。

重要なのは、予想以上に金利が上昇しても家計が破綻しない住宅ローンにしておくことです。

金利上昇時代の住宅ローンでは、金利予測よりも家計の余力を確保することが最大の備えになります。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日 朝刊 住宅ローン金利上昇に備え 借入額抑制や貯蓄が重要に

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