変動金利から固定金利へ変更すべきなのか 金利上昇後に固定すると金利が高くなる理由編

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住宅ローンの変動金利が上昇すると、「今のうちに固定金利へ変更した方がよいのではないか」と考える人もいるでしょう。

変動金利から固定金利へ変更すれば、その後に市場金利が上昇しても一定期間または返済期間全体の金利を固定できます。

返済額を確定できることは大きな安心につながります。

しかし、金利が上昇し始めてから固定金利へ変更しようとすると、すでに固定金利がかなり上昇している場合があります。

変動金利と固定金利では、金利が動く仕組みが違うからです。

固定金利への変更は、単純に金利上昇を避ける方法ではありません。

将来の金利上昇リスクをなくす代わりに、現在より高い金利を受け入れる選択でもあります。

変動金利と固定金利は動く仕組みが違う

住宅ローンの変動金利と固定金利は、同じタイミングで同じように動くわけではありません。

変動金利は、金融機関の短期プライムレートなどを通じて、日銀の政策金利の影響を受けます。

一方、全期間固定型などの固定金利は、長期金利の動向などの影響を強く受けます。

長期金利には、将来の政策金利や物価、景気などについての市場参加者の予想が反映されます。

そのため、日銀が実際に政策金利を引き上げる前から長期金利が上昇し、固定型住宅ローン金利が先に上昇することがあります。

変動金利が上昇してから固定金利へ変更しようとすると、固定金利はすでに高くなっている可能性があるのです。

固定金利への変更は保険に似ている

固定金利を理解するときには、将来の金利上昇に対する保険のように考えると分かりやすくなります。

変動金利では、市場金利が低い間は低い金利の恩恵を受けることができます。

その代わり、将来金利が上昇するリスクを借り手が負います。

固定金利では、一定期間または返済期間全体について金利を固定できます。

その代わり、一般に借入時点では変動金利より高い金利を支払うことになります。

つまり、固定金利を選ぶということは、将来の金利上昇リスクを抑えるために現在の金利負担を増やす選択ともいえます。

金利差だけを見てはいけない

例えば、現在利用している変動金利が1%台で、変更できる固定金利が3%台だったとします。

数字だけを見れば、変動金利を続けた方が圧倒的に有利に見えるでしょう。

しかし、この差だけで判断することはできません。

変動金利は今後さらに上昇する可能性があります。

反対に、金利がそれほど上昇せず、将来低下する可能性もあります。

固定金利に変更すれば、将来市場金利が下がった場合でも契約内容によっては高い固定金利を払い続けることになります。

どちらが最終的に有利になるかは、将来の金利推移によって変わります。

住宅ローン残高によって判断は変わる

固定金利への変更を考えるときには、住宅ローン残高も重要です。

例えば住宅ローン残高が5,000万円ある人と、残り500万円の人では、同じ1%の金利上昇でも影響する金額が違います。

住宅ローン残高が大きく、返済期間も長く残っているほど、将来の金利変動の影響を受けやすくなります。

一方、住宅ローン残高が少なく、完済までの期間も短い場合には、金利が多少上昇しても家計への影響が限定的なことがあります。

固定金利へ変更するかどうかは、現在の金利差だけではなく、住宅ローン残高と残存期間を合わせて考える必要があります。

家計の余裕によっても考え方が違う

金利上昇リスクをどこまで取れるかは、家計によって異なります。

例えば住宅ローン返済後も十分な貯蓄ができ、まとまった金融資産を保有している家庭であれば、変動金利が上昇しても対応しやすいでしょう。

一方、毎月の収支に余裕がなく、住宅ローン返済額が数万円増えるだけで家計が厳しくなる場合には、金利変動リスクは大きな問題になります。

固定金利を選ぶ意味は、将来最も安い金利を当てることではありません。

家計から見て許容できない金利上昇リスクを減らすことにあります。

固定期間選択型にも注意する

固定金利といっても、すべての商品で完済まで金利が固定されるわけではありません。

例えば10年固定型では、当初10年間は金利が固定されますが、その後は改めて金利タイプを選択することになります。

固定期間が終了した時点の金利が高ければ、その後の返済額が大きく増える可能性があります。

したがって、「固定金利に変更したから金利上昇リスクがなくなった」と考えるのではなく、いつまで固定されるのかを確認する必要があります。

全期間固定型と固定期間選択型では、金利リスクの性質が異なります。

借り換えには費用もかかる

現在借りている金融機関で金利タイプを変更するのではなく、別の金融機関の固定型住宅ローンへ借り換える方法もあります。

ただし、借り換えでは新しい住宅ローンを組むことになるため、手数料や登記関係費用などが発生します。

金利だけを比較して有利に見えても、諸費用を含めると効果が小さくなる場合があります。

また、新たに住宅ローン審査を受ける必要があります。

借り換えを検討する場合には、金利差だけではなく、諸費用を含めた総返済額で比較することが重要です。

金利が上がってから慌てて決めない

変動金利から固定金利への変更で避けたいのは、金利上昇のニュースを見て慌てて判断することです。

重要なのは、自分の家計がどこまで金利上昇に耐えられるのかを事前に確認しておくことです。

例えば変動金利が現在より1%上昇した場合、2%上昇した場合の返済負担を試算します。

その金額でも十分に生活できるのであれば、変動金利を継続する選択肢があります。

逆に、少しの金利上昇でも家計が厳しくなるのであれば、固定金利によって返済額を確定する意味が大きくなります。

金利の予測ではなく、家計の許容範囲から判断することが重要です。

結論

変動金利から固定金利へ変更すれば、将来の金利上昇リスクを抑えることができます。

しかし、変動金利が上昇してから固定金利へ変更しようとすると、固定金利はすでに高くなっている場合があります。

固定金利への変更は、単純に住宅ローンを有利にする方法ではありません。

将来の金利上昇リスクを抑える代わりに、現在より高い金利を受け入れる選択です。

判断するときには、変動金利と固定金利の金利差だけではなく、住宅ローン残高、残存期間、家計の余裕、貯蓄額などを合わせて考える必要があります。

将来どちらの金利が得になるかを正確に予測することはできません。

だからこそ重要なのは、自分の家計がどこまで金利上昇に耐えられるかを知ることです。

固定金利への変更は、金利の底や天井を当てるためではなく、家計にとって許容できないリスクを小さくするために検討することが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日 朝刊 住宅ローン金利上昇に備え 借入額抑制や貯蓄が重要に

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