法人税等調整額がマイナスになるとはどういうことか 決算書の税金費用が減少する仕組み編

会計
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損益計算書を見ると、法人税等調整額がマイナスで表示されていることがあります。

たとえば、法人税等が3億円計上されている一方で、法人税等調整額がマイナス5000万円となっていれば、税金費用全体では2億5000万円になります。

法人税等調整額がマイナスになると、「会社が税金の還付を受けたのか」「実際に納める法人税が減ったのか」と考えたくなります。

しかし、必ずしもそうではありません。

今回の参考記事では、法人税等調整額について、税効果会計によって会計上の利益と税金費用を合理的に対応させるために税金費用を調整する勘定科目と説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

法人税等調整額がマイナスになる意味を理解するには、実際に納付する税金と会計上の税金費用を分けて考えることが重要です。

法人税等調整額とは何か

会社の会計上の利益と、法人税を計算するときの課税所得は必ずしも一致しません。

会計ではすでに費用として認識しているのに、税務ではまだ損金として認められていないことがあるためです。

参考記事では、税効果会計について、企業会計上の資産または負債の額と課税所得計算上の資産または負債の額に一時差異がある場合、その差異に係る法人税等を適切な会計期間に配分する手続きと説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

この税効果会計による税金費用の調整に使われるのが法人税等調整額です。

したがって、法人税等調整額は実際の納税額そのものを示しているわけではありません。

マイナスは税金費用を減らす方向を意味する

法人税等調整額がマイナスで表示されている場合、基本的には税金費用を減額する方向に働いていると考えることができます。

参考記事でも、法人税等調整額が貸方に計上される場合には税金費用を減額すると説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

たとえば、

法人税等が3億円

法人税等調整額がマイナス5000万円

だったとします。

単純化すると、損益計算書上の税金費用は、

3億円から5000万円

で2億5000万円となります。

実際に計算された法人税等が3億円あったとしても、税効果会計によって5000万円分の税金費用を減額しているわけです。

繰延税金資産を計上すると税金費用が減る

法人税等調整額が税金費用を減らす代表的なケースが、繰延税金資産の計上です。

参考記事では貸倒引当金を例にしています。

貸倒引当金500千円を計上し、そのうち300千円が税務上の貸倒引当金繰入限度超過額になったケースです。

法定実効税率を40パーセントとすると、

300千円掛ける40パーセント

で120千円の税効果が生じます。

その結果、借方に繰延税金資産120千円、貸方に法人税等調整額120千円を計上しています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

貸方に計上された法人税等調整額によって、その事業年度の税金費用が減額されます。

なぜ将来の節税効果を現在の税金費用から引くのか

貸倒引当金の例では、会計上はすでに費用を認識しています。

しかし、税務上はその一部がまだ損金として認められていません。

そのため現在の課税所得は、会計上の利益と比較すると大きくなる方向に働きます。

ところが、その差が将来損金として認められれば、将来の課税所得が減り、税負担が軽くなります。

参考記事でも、将来損金として認められることによって税負担が軽くなると見込まれる金額を繰延税金資産として計上するケースだと説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

つまり、将来受けられる税負担軽減効果を現在の会計にも反映させているのです。

その結果、税金費用を減らす法人税等調整額が生じます。

法人税等調整額がプラスになる場合との違い

反対に、税金費用を増やす方向に法人税等調整額が働く場合もあります。

参考記事では、繰延税金負債を計上するケースとして特別償却準備金が取り上げられています。

5000千円の機械について、特別償却限度額1500千円に法定実効税率40パーセントを掛け、600千円の税効果額を計算しています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

このケースでは、借方に法人税等調整額600千円、貸方に繰延税金負債600千円を計上しています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

参考記事では、繰延税金負債を計上するときには法人税等調整額を借方に計上し、税金費用を増額すると説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

したがって、

繰延税金資産を計上する場合は税金費用を減らす方向

繰延税金負債を計上する場合は税金費用を増やす方向

という基本的な関係があります。

マイナスだから税務署からお金が戻るわけではない

ここは決算書を読むときに特に注意したいところです。

法人税等調整額がマイナス5000万円だったとしても、税務署から5000万円が会社に振り込まれるという意味ではありません。

また、その事業年度に実際に納付する税金が5000万円減ったという意味とも限りません。

法人税等調整額は、あくまで会計上の税金費用を調整する項目です。

参考記事でも、損益計算書上では法人税等調整額は法人税等とは別に表示され、法人税等と法人税等調整額を合わせた金額が税金費用になると説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

実際の納税と損益計算書上の税金費用は分けて考える必要があります。

繰延税金資産を取り崩すと反対方向に動く

一度計上した繰延税金資産は永久に残るわけではありません。

参考記事では、繰延税金資産を計上するときには法人税等調整額を貸方に計上し、取り崩すときには法人税等調整額を借方に計上すると説明されています。 9e099b3c-c74b-430b-a3b4-371a250…

つまり、繰延税金資産を計上した年度には税金費用を減らす方向に働きますが、その繰延税金資産を取り崩す年度には反対に税金費用を増やす方向に働きます。

法人税等調整額は、その年度だけを見て判断するのではなく、繰延税金資産や繰延税金負債がなぜ増減したのかと合わせて見ることが重要です。

税引前利益と当期純利益の間を読む手掛かりになる

法人税等調整額は、損益計算書の税引前利益から当期純利益へ至る部分を理解するうえでも重要です。

本業の利益が前年とほとんど変わっていなくても、税効果会計によって税金費用が大きく変化すれば、最終的な利益が変わることがあります。

法人税等調整額が大きなマイナスになっていれば、税金費用を押し下げ、当期純利益を押し上げる方向に働きます。

ただし、それを本業で利益が増えたことと同じように評価することはできません。

法人税等調整額が大きく動いている場合には、その背景に繰延税金資産や繰延税金負債の増減があることを確認する必要があります。

結論

法人税等調整額がマイナスになるとは、基本的には税効果会計によって損益計算書上の税金費用を減額する方向に調整が行われていることを意味します。

代表的なのが繰延税金資産を計上するケースです。

会計ではすでに費用になっているものが税務ではまだ損金にならず、将来損金になることで税負担が軽くなると見込まれる場合、その税効果を一定の要件のもとで繰延税金資産として認識します。

その際、法人税等調整額が税金費用を減らす方向に働きます。

ただし、法人税等調整額がマイナスだからといって、その金額だけ実際の納税額が減ったり、税務署から還付されたりするわけではありません。

法人税等と法人税等調整額を合わせて会計上の税金費用を捉え、さらに繰延税金資産や繰延税金負債の増減まで確認することが、法人税等調整額を正しく読むポイントです。

参考

企業実務 2026年9月 なるほど納得勘定科目 会計上の利益と税金の費用を対応させるには

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