TOBに応募しなかった株主はどうなるのか 完全子会社化までの流れ編

経営

親会社が上場子会社を完全子会社化するためにTOBを実施した場合、一般株主はTOBに応募するかどうかを判断します。

提示された価格に納得すれば応募して株式を売却できます。

では、TOB価格に納得できず応募しなかった場合、その株式をそのまま持ち続けることはできるのでしょうか。

完全子会社化を目的としたTOBでは、TOB終了後にスクイーズアウトと呼ばれる手続きが予定されていることがあります。

その場合、TOBに応募しなかった株主も、最終的には株主ではなくなり、株式の代わりに金銭を受け取ることになるのが一般的です。

TOBへの応募は株主が判断する

TOBが始まったからといって、株主が必ず応募しなければならないわけではありません。

例えば、市場価格が1株1,000円の会社に対して、親会社が1株1,300円でTOBを実施したとします。

株主は1,300円という価格や完全子会社化の内容を確認し、応募するかどうかを判断します。

価格に納得すれば応募できます。

一方、会社にはもっと価値があると考えて応募しないこともできます。

TOB期間中の段階では、株主自身に選択肢があります。

TOBに応募しなければ株主のまま残る

TOBに応募しなかった時点では、株式が自動的になくなるわけではありません。

その株主は引き続き子会社株式を保有します。

例えば、親会社がもともと60%を保有し、TOBによってさらに35%を取得したとします。

親会社の保有割合は95%になります。

残り5%については、TOBに応募しなかった株主などが保有していることになります。

この段階ではまだ親会社の保有割合は100%ではありません。

完全子会社化では100%を目指す

親会社の目的が単に持株比率を高めることであれば、少数株主が残ることも考えられます。

しかし、完全子会社化を目的としている場合は違います。

完全子会社とは、親会社が子会社株式を100%保有している状態です。

95%では完全子会社ではありません。

そのため、TOBで取得できなかった残りの株式についても、その後の手続きを通じて取得することがあります。

ここで使われるのがスクイーズアウトです。

スクイーズアウトとは何か

スクイーズアウトとは、支配株主が残っている少数株主から株式を取得し、100%保有を実現するための手続きです。

実際には、株式等売渡請求や株式併合などの方法があります。

どの方法が使われるかは、親会社の持株比率や取引の設計などによって異なります。

重要なのは、完全子会社化を目的としたTOBでは、TOBに応募しなかったからといって、その後も長期間株主として残れるとは限らないことです。

株式併合で何が起きるのか

スクイーズアウトで利用される方法の一つが株式併合です。

株式併合とは、複数の株式をまとめて少ない株式数にする手続きです。

完全子会社化では、少数株主が保有する株式について1株未満の端数が生じるような併合比率を設定する方法があります。

端数については一定の手続きを経て金銭が交付されます。

その結果、少数株主は株主ではなくなり、親会社が子会社を100%保有する状態をつくることができます。

TOBに応募しなくても同程度の金銭になることがある

完全子会社化を目的とするTOBでは、スクイーズアウトによって少数株主へ交付される金銭について、TOB価格と同じ水準になるよう設計されるケースがあります。

例えばTOB価格が1株1,300円なら、スクイーズアウトでも保有株式数に応じて1株当たり1,300円相当の金銭を受け取る形です。

ただし、具体的な条件や手続きは案件ごとに異なります。

株主はTOBの公開買付届出書や会社側の開示資料などで、その後の予定を確認する必要があります。

TOBに応募する場合との違い

最終的に同程度の金額を受け取るのであれば、TOBに応募してもしなくても同じように見えます。

しかし、実際には違いがあります。

TOBに応募した場合は、TOBの決済によって比較的早い段階で株式を売却し、金銭を受け取ることができます。

一方、応募せずスクイーズアウトまで待つ場合は、その手続きが完了するまで時間がかかります。

また、具体的な事務手続きなども異なる場合があります。

価格だけでなく、金銭を受け取る時期や手続きまで確認することが重要です。

上場廃止にも注意する

完全子会社化を目的としたTOBでは、子会社株式の上場廃止が予定されていることが一般的です。

TOB終了後、所定の手続きを経て株式市場で売買できなくなります。

ここで注意したいのは、上場廃止になったからといって株式が突然無価値になるわけではないことです。

完全子会社化の手続きが続いている場合には、残った株主についてもスクイーズアウトなどを通じて金銭が交付されることがあります。

上場廃止という言葉だけで判断せず、完全子会社化までの一連の手続きを確認する必要があります。

株主はTOB発表時に最後まで読む

TOBが発表された場合、買付価格だけを見て判断するのでは十分ではありません。

TOBの目的は何か。

完全子会社化を予定しているのか。

TOB成立後にスクイーズアウトを行う予定なのか。

子会社株式はいつ上場廃止になる予定なのか。

TOBに応募しなかった場合、どのような方法で金銭を受け取ることになるのか。

こうした情報を確認する必要があります。

TOBは買付期間だけで完結するとは限らないのです。

価格に納得できない場合の問題もある

TOB価格が低いと考えて応募しなかった株主にとっては、その後のスクイーズアウト価格も重要になります。

完全子会社化では親会社が強い支配力を持っているため、少数株主は交渉力の面で弱い立場になりやすくなります。

だからこそ、TOB価格を決める段階で第三者による株式価値算定や特別委員会による検討など、公正な手続きを確保することが重要になります。

TOBに応募するかどうかだけではなく、そもそも提示された価格がどのような過程で決められたのかを見る必要があります。

結論

完全子会社化を目的としたTOBに応募しなかったからといって、必ずそのまま株主として残れるわけではありません。

TOB終了後に少数株主が残った場合、スクイーズアウトによって親会社が残りの株式を取得することがあります。

株式併合などの手続きによって少数株主は最終的に株主ではなくなり、株式の代わりに金銭を受け取ることになります。

そのため、TOBを見るときには買付価格だけでなく、TOB成立後に何が予定されているのかまで確認することが重要です。

完全子会社化を目的としたTOBは、TOBだけで終わる取引ではありません。

TOB、上場廃止、スクイーズアウト、完全子会社化という一連の流れで理解する必要があります。

次に考えたいのは、このスクイーズアウトによって、なぜ少数株主の株式を取得できるのかという仕組みです。

参考

日本経済新聞 2026年9月21日 朝刊 親子上場、狭まる包囲網

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