スクイーズアウトとは何か 少数株主から株式を取得して100%子会社にする仕組み編

経営

親会社が上場子会社を完全子会社化するとき、TOBだけですべての株式を取得できるとは限りません。

TOBに応募しない株主がいれば、親会社以外の少数株主が残ります。

そこで完全子会社化の最終段階として利用されるのがスクイーズアウトです。

スクイーズアウトとは、一定の手続きを通じて残った少数株主から株式を取得し、親会社による100%保有を実現する仕組みです。

TOBのニュースを理解するには、その後に行われるスクイーズアウトまで一連の流れとして見ることが重要です。

スクイーズアウトとは何か

スクイーズアウトとは、支配株主が少数株主の保有する株式を取得し、株主構成を整理するための手続きです。

親子上場の解消では、親会社が上場子会社を100%子会社にするために利用されることがあります。

例えば親会社がTOBによって子会社株式の95%を取得したとします。

残り5%を一般株主が持っていれば、まだ完全子会社ではありません。

そこで残り5%についても所定の手続きを通じて取得し、最終的に100%保有を実現します。

なぜTOBだけでは完全子会社化できないのか

TOBへの応募は、基本的に株主自身が判断します。

親会社がTOBを実施しても、すべての株主が応募するとは限りません。

TOB価格が低いと考える株主もいるでしょう。

会社の将来性に期待して株式を持ち続けたいと考える株主もいるかもしれません。

その結果、TOB終了後も少数株主が残ることがあります。

完全子会社化の目的を達成するには、この残った株式を取得するための次の手続きが必要になります。

代表的な方法の一つが株式等売渡請求

親会社が非常に高い割合の議決権を持つ場合には、株式等売渡請求という方法が利用できる場合があります。

会社法では、原則として総株主の議決権の90%以上を保有する株主を特別支配株主としています。

一定の要件と手続きを満たせば、特別支配株主は他の株主に対して株式を売り渡すよう請求できます。

例えばTOBによって親会社の議決権比率が90%以上になれば、この方法が選択肢になる場合があります。

残った株主が個別に売却へ同意しなくても、法定の手続きによって完全子会社化を進める仕組みです。

株式併合を使う方法もある

もう一つ代表的なのが株式併合です。

株式併合とは、複数の株式をまとめて少ない株式数にする手続きです。

例えば多数の株式を1株にまとめるような大きな比率で株式併合を行うと、少数株主の持株数が1株未満になることがあります。

1株未満の部分は端数として処理され、所定の手続きを経て株主に金銭が交付されます。

その結果、少数株主は株主ではなくなり、親会社だけが株主として残る形をつくることができます。

少数株主は株式の代わりに金銭を受け取る

スクイーズアウトによって少数株主の株式が何の対価もなく消えるわけではありません。

株主には株式に対応する金銭が交付されます。

完全子会社化を目的とした一連の取引では、TOB価格と同じ水準になるように設計されるケースがあります。

例えばTOB価格が1株1,500円であれば、スクイーズアウトでも1株当たり1,500円相当の金銭を交付するという考え方です。

ただし、実際の条件や方法は個別の案件によって異なります。

株主は会社が公表する資料を確認する必要があります。

なぜ強制的な取得が認められているのか

少数株主から見ると、自分が売りたくない株式まで取得されることに違和感を持つかもしれません。

一方で、企業再編を行う際に1人でも株主が反対すれば100%子会社化できない仕組みでは、企業再編が極めて難しくなります。

そこで会社法には、一定の要件と手続きを満たした場合に少数株主の株式を取得できる制度が設けられています。

ただし、支配株主が自由に少数株主の株式を取り上げられるわけではありません。

手続きや価格の公正性が重要になります。

なぜ価格の公正性が重要なのか

スクイーズアウトでは、少数株主がその後も株主として残ることが難しくなります。

だからこそ、いくらの金銭を受け取るのかが重要になります。

親会社は買い手であり、少数株主は売り手です。

親会社が子会社を支配している親子上場では、両者の交渉力が対等とは限りません。

そのため、TOBからスクイーズアウトまでの一連の取引について、公正な価格と手続きを確保する必要があります。

第三者による株式価値算定や特別委員会が重要になる理由でもあります。

スクイーズアウトと上場廃止は同じではない

スクイーズアウトと上場廃止は似た場面で登場しますが、意味は異なります。

上場廃止とは、その会社の株式が証券取引所で売買できなくなることです。

スクイーズアウトは、残った少数株主の株式を取得するための手続きです。

完全子会社化では、TOB、上場廃止、スクイーズアウトなどが連続して行われることがあります。

それぞれの意味を分けて理解することが大切です。

スクイーズアウト後は親会社だけが株主になる

スクイーズアウトが完了すると、最終的に親会社が子会社株式の100%を保有する状態になります。

子会社には一般株主がいなくなります。

これによって親会社と子会社の一般株主との利益相反問題も基本的にはなくなります。

親会社は企業グループ全体の視点から、人材配置、資金配分、研究開発、事業再編などを進めやすくなります。

上場子会社だった会社が、企業グループ内部の100%子会社へ変わる大きな転換点です。

一般株主は何を確認すればよいのか

完全子会社化を目的としたTOBが発表された場合には、スクイーズアウトまで確認することが重要です。

TOB後にどの方法で完全子会社化する予定なのか。

スクイーズアウトによって受け取る金銭はいくらになる予定なのか。

TOB価格と同じ水準なのか。

どのような手続きと日程が予定されているのか。

TOBに応募しなかった場合にどうなるのかまで確認して初めて、取引全体を理解できます。

結論

スクイーズアウトとは、完全子会社化などを目的として、支配株主が残った少数株主から株式を取得する仕組みです。

親子上場の解消では、まずTOBによって多くの一般株主から株式を取得し、その後に残った株主についてスクイーズアウトを行うケースがあります。

代表的な方法には株式等売渡請求や株式併合があります。

スクイーズアウトによって少数株主は株主ではなくなり、株式の代わりに金銭を受け取ります。

重要なのは、支配株主が自由に株式を取得できる制度ではないということです。

少数株主が退出する取引だからこそ、価格と手続きの公正性が重要になります。

そして完全子会社化が完了すると、子会社が稼いだ利益と親会社株主との関係も変わります。

次に考えたいのは、親子上場を解消すると親会社の利益がなぜ増えることがあるのかという問題です。

参考

日本経済新聞 2026年9月21日 朝刊 親子上場、狭まる包囲網

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