株式は24時間365日取引できるようになるのか トークン化で取引時間の常識が変わる理由編

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インターネットでは24時間いつでも株価を確認できます。しかし株式そのものを取引できる時間には制限があります。

証券取引所には取引時間があり、市場が閉まれば通常の取引所取引はできません。

一方、暗号資産の世界では24時間365日の取引が珍しくありません。

株式のトークン化が進めば、株式についても時間や曜日に縛られず取引できる市場が実現する可能性があります。

これは単に取引時間が長くなるだけではありません。世界の株式市場の仕組みそのものを変える可能性があります。

なぜ株式には取引時間があるのか

株式市場は証券取引所を中心に発展してきました。

取引所では一定の時間に投資家の注文を集め、売買を成立させます。

市場を運営するためには、売買システムだけでなく、市場監視や清算、決済など多くの仕組みを動かす必要があります。

企業による情報開示も市場の取引時間を意識して行われることがあります。

そのため株式市場には市場が開いている時間と閉まっている時間があります。

インターネット取引でも市場時間は残った

株式取引は大きくデジタル化しました。

かつてのように証券会社の店舗へ行かなくても、スマートフォンから注文できます。

注文そのものは夜間や休日に入力できる場合があります。

しかしインターネット取引が普及しても、証券取引所の取引時間という基本的な仕組みは残っています。

注文方法がデジタル化することと、市場そのものが24時間動くことは別の問題だからです。

夜間取引とは何か

通常の取引所の時間外でも株式などを取引できる仕組みはすでに存在します。

証券取引所以外の取引システムなどを利用することで、夜間にも売買できる場合があります。

米国市場でも通常の取引時間の前後に取引が行われています。

このため株式市場はすでに取引時間を広げる方向へ進んでいます。

ただし通常の市場時間と比べると参加者が少なくなり、売買が成立しにくかったり価格が動きやすくなったりする場合があります。

取引時間を長くすれば、それだけで市場が便利になるとは限りません。

トークン化すると何が変わるのか

株式のトークン化では、株式の保有や移転をブロックチェーン上で管理することが考えられています。

ブロックチェーンを利用したシステムは、技術的には特定の取引時間だけ動かす必要はありません。

暗号資産市場のように継続的に取引を処理する仕組みを構築することも可能です。

そのため株式トークン化は、24時間365日の株式取引を実現するための技術基盤の1つとして期待されています。

現在の証券市場の時間という制約を見直す可能性があるのです。

世界中の投資家が同じ時間に参加できる

24時間取引の大きな利点は、世界中の投資家が自分の生活時間に合わせて取引しやすくなることです。

たとえば米国株を日本から取引する場合、米国市場の通常取引時間は日本では夜間になります。

24時間市場になれば、日本の昼間でも米国企業の株式を取引できる可能性があります。

世界中の投資家が特定地域の市場時間に生活を合わせる必要が小さくなります。

株式市場がより世界共通の市場へ近づく可能性があります。

ニュースをすぐ価格に反映できる

企業や経済に関する重要なニュースは、証券取引所が開いている時間だけに発生するわけではありません。

市場が閉まっている間に重大なニュースが出れば、投資家は通常取引の開始まで待つことになります。

その間に売買注文が集中し、翌日の取引開始時に株価が大きく変動することがあります。

24時間取引が可能になれば、新しい情報をより早く価格へ反映できる可能性があります。

情報が発生する時間と取引できる時間のずれを小さくできるわけです。

いつでも取引できることには問題もある

一方、24時間365日取引には課題もあります。

最大の問題の1つが流動性です。

取引時間を長くしても、投資家が均等に参加するとは限りません。

参加者の少ない時間帯では売り注文と買い注文が少なくなり、価格が大きく動きやすくなる可能性があります。

売りたい価格と買いたい価格の差が広がることもあります。

市場が開いている時間が長いことと、いつでも有利な条件で取引できることは同じではありません。

企業の情報開示も変わる可能性がある

24時間市場では、企業の情報開示の考え方も変わる可能性があります。

現在は取引時間の終了後に決算発表などを行う企業があります。

投資家が情報を確認する時間を確保し、次の市場開始時から取引できる仕組みです。

しかし市場が常に開いていれば、市場が完全に閉じている時間がなくなります。

企業が重要情報を発表した瞬間から株価が動く可能性があります。

どのように公平な情報提供を確保するのかという新しい課題が生まれます。

市場監視も24時間必要になる

株式市場では不公正な取引が行われていないか監視する必要があります。

市場が24時間365日動けば、市場監視の体制もそれに対応しなければなりません。

さらに現物株だけでなく、株式トークン、永久先物、オプションなどが同時に取引される可能性があります。

同じ企業に関連する金融商品が複数の市場で常時取引されれば、市場を横断した監視が重要になります。

技術的に24時間取引できることと、安全な市場を24時間運営できることは別の問題です。

投資家は24時間市場を見続ける必要はない

24時間取引が実現すると、いつでも売買できる安心感があります。

一方で、常に株価を確認しなければならないように感じる投資家も出てくるかもしれません。

しかし市場が24時間開いているからといって、投資家まで24時間取引する必要はありません。

長期投資では企業価値や資産配分などの方が重要です。

24時間取引は選択肢を増やす仕組みであって、常時売買することを求める仕組みではありません。

結論

株式のトークン化が進めば、株式を24時間365日取引できる市場が実現する可能性があります。

ブロックチェーンを利用することで、従来の証券取引所の営業時間に縛られない取引基盤を構築できる可能性があるからです。

世界中の投資家が自分の生活時間に合わせて取引でき、重要なニュースを素早く価格へ反映できることは大きな利点です。

一方、流動性、市場監視、企業の情報開示、決済など解決すべき問題もあります。

株式市場を24時間動かすためには、売買システムだけを24時間稼働させればよいわけではありません。

市場を支える制度全体を24時間型へ変える必要があります。

株式トークン化がもたらす本当の変化は、株式をデジタルにすることだけではありません。

いつ市場を開き、いつ取引するのかという、これまで当たり前だった株式市場の時間の概念まで変える可能性があるのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月15日 朝刊 株式のあり方「再定義」進む

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