会社を辞めると年金負担はどう変わるのか 単身者と会社員の配偶者で違いが生まれる理由編

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会社員として働いている間は、厚生年金保険料が毎月の給与から差し引かれます。

ところが会社を辞めると、この仕組みは大きく変わります。

すぐに別の会社へ転職する人なら、転職先で再び厚生年金に加入するのが一般的です。しかし、しばらく働かない場合には、自分で国民年金保険料を納めなければならないことがあります。

興味深いのは、同じように会社を辞めても、単身者と厚生年金に加入する配偶者がいる人では、その後の年金保険料の負担が異なる場合があることです。

会社員は厚生年金に加入している

会社員として厚生年金に加入している人は、国民年金では第2号被保険者に位置づけられます。

厚生年金保険料は給与や賞与を基礎として計算され、原則として本人と会社が折半して負担します。

本人負担分は給与から天引きされるため、自分で毎月納付する必要はありません。

会社員として働いている間は、この仕組みを通じて老後の基礎年金と厚生年金につながっていきます。

しかし、退職すると勤務先との雇用関係がなくなります。

それに伴って、その会社の厚生年金からも原則として外れることになります。

退職後すぐ転職すれば再び第2号になる

会社を辞めたからといって、必ず国民年金保険料を自分で納めることになるわけではありません。

例えば退職後すぐに別の会社へ転職し、転職先で厚生年金に加入すれば、引き続き第2号被保険者になります。

転職前と転職後で勤務先は変わっても、公的年金上の立場は基本的に第2号のままです。

一方、退職後にしばらく働かない場合や、自営業者になる場合などは状況が変わります。

ここで単身者と配偶者のいる人の違いが表れることがあります。

単身者は原則として第1号へ切り替える

20歳以上60歳未満の単身会社員が退職し、厚生年金に加入しなくなった場合には、原則として国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。

第1号被保険者になると、国民年金保険料を自分で負担します。

会社員時代の厚生年金保険料とは違い、勤務先が半分を負担してくれる仕組みはありません。

退職して給与収入がなくなったにもかかわらず、新たに国民年金保険料を自分で支払う必要が生じるため、家計への負担を大きく感じることがあります。

退職後の生活設計では、税金だけでなく社会保険料も考えておく必要がある理由です。

配偶者が会社員なら第3号になれる場合がある

同じように会社を辞めても、厚生年金に加入している配偶者がいる場合には別の可能性があります。

一定の要件を満たして配偶者の扶養に入ることができれば、国民年金の第3号被保険者になる場合があります。

第3号被保険者になれば、本人が国民年金保険料を直接納付する必要はありません。

それでも第3号被保険者として認められた期間は、老齢基礎年金の計算上、保険料納付済期間として扱われます。

つまり、退職後の収入や配偶者の加入制度などの条件によっては、同じ退職者でも年金保険料の直接負担に違いが生じます。

同じ退職でも家族構成によって結果が違う

例えば、それまで同じように会社員として働いていた二人が同時期に退職したとします。

一人は単身者です。

もう一人には厚生年金に加入している会社員の配偶者がいます。

二人とも再就職せず、収入などの条件も第3号被保険者の要件を満たす水準だとします。

単身者は原則として第1号被保険者となり、国民年金保険料を自分で負担します。

一方、配偶者のいる人は条件を満たせば第3号被保険者となり、本人が国民年金保険料を直接負担しない場合があります。

同じように仕事をしておらず、本人の収入も同程度なのに、結婚しているか、さらに配偶者がどの年金制度に加入しているかによって扱いが変わる可能性があるわけです。

親の介護で退職した場合にも差が表れる

この違いは、自分の意思で仕事を休む場合だけの問題ではありません。

例えば高齢になった親の介護のために会社を辞めるケースを考えてみます。

単身者が介護離職して厚生年金から外れれば、原則として第1号被保険者となります。

収入が大きく減ったとしても、国民年金への切り替えという問題が生じます。

一方、厚生年金に加入している配偶者がいる人なら、要件を満たすことで第3号被保険者になれる場合があります。

本人が働けなくなった理由が同じでも、家族構成によって社会保険上の扱いが違ってくるのです。

これは単身世帯が増える社会で考える必要のある論点の一つです。

払えない場合には免除制度もある

ただし、第1号被保険者になったからといって、収入がなくても必ず通常どおりの保険料を負担し続けなければならないわけではありません。

所得など一定の要件を満たす場合には、国民年金保険料の免除や納付猶予の制度があります。

失業した場合には、保険料免除の審査で失業した本人の前年所得を一定の方法で扱う特例もあります。

経済的に保険料を納めることが難しい場合には、未納のまま放置するのではなく、こうした制度を利用できるか確認することが重要です。

免除と未納では、将来の年金や障害基礎年金などの受給資格への影響も異なります。

健康保険も同時に変わる

退職すると変わるのは年金だけではありません。

勤務先の健康保険からも原則として外れるため、その後の医療保険をどうするかという問題が生じます。

国民健康保険に加入する方法、一定の条件で退職前の健康保険を任意継続する方法、家族の健康保険の被扶養者になる方法などがあります。

ここでも家族構成によって選択肢が異なります。

単身者は配偶者の健康保険の扶養に入るという選択肢を利用できません。

退職を考えるときには、年金だけを見るのではなく、健康保険を含めた社会保険全体で負担を確認する必要があります。

退職は給与がなくなるだけではない

退職後の家計を考えるとき、多くの人は給与がなくなることに目を向けます。

しかし実際には、それまで給与から自動的に処理されていた税金や社会保険の仕組みも変わります。

国民年金保険料、健康保険料、さらに前年の所得をもとに課税される住民税などが退職後の家計に影響します。

特に単身者は、配偶者の扶養に入るという選択肢がありません。

生活費だけでなく、退職後に自分で負担する社会保険料や税金まで含めた資金計画が重要になります。

結論

会社を辞めると、厚生年金に加入していた人は原則として第2号被保険者ではなくなります。

すぐに転職して再び厚生年金に加入するのでなければ、単身者は原則として国民年金の第1号被保険者となり、自分で保険料を負担します。

一方、厚生年金に加入する配偶者がいる人は、一定の要件を満たせば第3号被保険者となり、国民年金保険料を直接負担しなくてよい場合があります。

同じ退職という出来事でも、その後の負担は家族構成によって同じとは限りません。

退職を考えるときには、退職金や失業給付だけでなく、年金、健康保険、住民税まで含めて考える必要があります。

そして単身世帯が増える時代には、配偶者の有無によって退職後の社会保険負担に差が生じる現在の仕組みが、これからの社会に合っているのかという視点も重要になってきます。

参考

日本経済新聞 2026年9月10日朝刊 独身スルー 標準世帯の限界 税や社会保障で疎外感

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