サーキュラーエコノミーとは何か 捨てる経済から循環する経済へ変わる仕組み編

人生100年時代
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これまでの経済は、資源を採掘し、原材料を使って商品をつくり、消費した後に捨てるという流れを基本としてきました。

しかし、資源には限りがあります。大量の資源を使い続ければ、廃棄物も増えます。

そこで広がっているのが、商品をできるだけ長く使い、修理、再利用、再製造、再資源化などによって資源を循環させるサーキュラーエコノミーという考え方です。

日本語では循環経済と呼ばれます。

単にごみをリサイクルするだけではありません。

商品を設計する段階から、廃棄物そのものをできるだけ生み出さない経済へ変えていくところに大きな特徴があります。

福井県で進む繊維廃材から新しい糸をつくる取り組みや、甲府市の登山用品店が天然素材を利用し、衣類の補修にも対応する取り組みも、資源をできるだけ長く利用するという点で循環経済につながるものです。

サーキュラーエコノミーとは何か

サーキュラーエコノミーとは、資源や製品をできるだけ長く利用し、廃棄物の発生を抑えながら経済活動を続ける考え方です。

従来の経済では、資源を採取して商品をつくり、使った後に捨てるという一方向の流れが中心でした。

これに対してサーキュラーエコノミーでは、使用済みの商品を修理したり、別の人が再利用したり、部品を再製造したりします。

最後には素材として再資源化し、もう一度製品へ戻すことを目指します。

資源が経済の中をできるだけ長く回り続ける仕組みをつくるわけです。

大量生産大量廃棄とは何が違うのか

大量生産大量廃棄型の経済では、商品を大量につくり、大量に販売し、古くなれば新しい商品へ買い替えてもらうことで経済が成長してきました。

この仕組みでは商品の販売量が増えるほど企業の売上も増えやすくなります。

一方で、資源消費や廃棄物も増えます。

サーキュラーエコノミーでは、売った商品をできるだけ長く利用することを前提に考えます。

壊れにくくする。

修理しやすくする。

部品を交換できるようにする。

再利用できる素材を使う。

使用後に回収する。

こうした仕組みを商品の設計段階から組み込みます。

リサイクルとは何が違うのか

サーキュラーエコノミーとリサイクルは同じものと思われることがあります。

しかし、リサイクルは循環経済を実現する手段の一つです。

リサイクルでは、使用済みの商品を素材へ戻し、新しい商品に利用します。

ところが、素材へ戻すにはエネルギーが必要です。

品質が低下することもあります。

そのため、まだ使える商品なら、そのまま再利用した方が資源消費を抑えられる場合があります。

壊れている場合も、商品全体を素材へ戻す前に修理したり、使える部品を取り出したりする方法があります。

できるだけ製品の価値を保ったまま長く利用し、それでも使えなくなった段階で再資源化するという順番が重要になります。

捨てる前に修理する

循環経済で重要になるのが修理です。

商品が一部壊れただけで全体を捨ててしまえば、新しい商品を製造するために再び原材料とエネルギーが必要になります。

壊れた部分だけを修理できれば、商品の寿命を延ばすことができます。

甲府市の登山用品店エルクでは、ヤクの毛を使った衣類を販売するとともに、可能な限りほつれや虫食い穴の補修にも対応しています。

販売して終わりではなく、購入後も商品を長く使えるようにする考え方です。

企業と顧客の関係も、商品を一度販売して終わるものから、長期間商品を維持する関係へ変わっていきます。

長く使える商品には価値がある

大量生産型の商品では、価格の安さが重要な競争力になります。

一方、循環経済では耐久性や修理可能性も商品の価値になります。

購入価格が多少高くても、10年間使える商品なら、数年ごとに買い替える商品より結果として負担が小さくなることがあります。

企業側も、単に新品を販売するだけではなく、修理やメンテナンスから収益を得ることができます。

長く使うことと企業の収益を両立できるビジネスモデルをつくることが重要になります。

所有しない方法もある

サーキュラーエコノミーでは、商品を所有すること自体を見直す考え方もあります。

例えば自動車や工具など、利用時間が限られている商品を複数の人で共有すれば、一人一台所有するより少ない製品で需要を満たせます。

レンタルやシェアリングも資源利用を効率化する方法です。

企業が商品を販売するのではなく、利用するサービスとして提供する方法もあります。

企業が商品の所有権を持ち続ければ、壊れにくく修理しやすい商品をつくる動機も強くなります。

商品を大量に売ることから、商品が提供する機能を販売することへビジネスモデルが変わる可能性があります。

廃棄物を原材料に戻す

修理や再利用が難しくなった商品は、最後に原材料として利用します。

福井県の繊維産業では、製造工程で発生する廃材から新しい糸をつくる取り組みが進められています。

これまで廃棄されていた繊維を再び繊維製品の原材料へ戻すことができれば、新しい原材料の使用量を減らせます。

企業にとっては廃棄費用を削減できる可能性があります。

再生材を使った新しい商品を販売できれば、新しい事業にもなります。

廃棄物をコストではなく次の商品をつくる資源として見ることが循環経済の重要な考え方です。

設計段階から循環を考える

サーキュラーエコノミーでは、商品が廃棄された後にどうするかだけを考えるのではありません。

商品をつくる前から循環を考えます。

例えば複数の素材を強力な接着剤で貼り合わせた商品は、使用後に素材を分離することが難しくなります。

一方、簡単に分解できる構造にしておけば、部品や素材を再利用しやすくなります。

交換可能な部品を使えば、故障した部分だけを取り替えて長く使うこともできます。

どの素材を使うか。

どう組み立てるか。

どう修理するか。

使用後にどう回収するか。

製品の一生を設計段階から考える必要があります。

企業同士の連携が不可欠になる

一社ですべての循環をつくることは難しい場合があります。

製造企業が使用済み製品の回収網まで持っているとは限りません。

回収企業、修理企業、リサイクル企業、素材メーカーなどとの連携が必要になります。

ある企業から出る廃棄物を別の企業が原材料として利用することもできます。

そのため、自治体による企業間マッチングも重要になります。

地域内の企業が何を廃棄しているのか。

どの企業がどのような再生技術を持っているのか。

こうした情報を共有することで新しい循環が生まれます。

地域産業にどう応用するのか

サーキュラーエコノミーは地方創生とも相性があります。

地方には農林水産物、森林資源、食品残さ、工場廃材など様々な地域資源があります。

これらを地域内で再利用できれば、新しい事業を生み出せる可能性があります。

例えば農産物の規格外品を加工食品にする。

食品残さを肥料や飼料として利用する。

間伐材を建材やエネルギーに利用する。

繊維廃材を新しい糸にする。

これまで処分費用が発生していたものから商品をつくることができれば、地域企業の収益にもつながります。

地域内にお金を残せる可能性

地域外から原材料を購入すると、その代金は地域外へ流出します。

一方、地域内の未利用資源を原材料として使えば、地域企業同士の取引が増える可能性があります。

回収する企業。

加工する企業。

商品をつくる企業。

販売する企業。

修理する企業。

こうした仕事が地域内に生まれれば、資源だけでなくお金も地域内を循環します。

サーキュラーエコノミーが環境政策だけでなく地域経済政策として注目される理由の一つです。

循環させること自体を目的にしない

ただし、何でも循環させればよいわけではありません。

回収や再加工に大量のエネルギーを使えば、環境負荷が大きくなる場合があります。

遠くまで廃棄物を運べば輸送費も発生します。

再生材の品質が低く、すぐに商品が壊れるなら、本当に資源消費を減らしているとは限りません。

製品の製造から使用、回収、再利用、廃棄まで全体を見る必要があります。

循環率を高めることだけではなく、資源消費や環境負荷そのものを減らせているかが重要です。

企業の利益と循環を両立できるか

サーキュラーエコノミーを広げるためには、企業にとって経済的なメリットが必要です。

環境のために赤字で事業を続けることには限界があります。

廃棄費用を減らす。

原材料費を抑える。

修理サービスから収益を得る。

再生材を使った高付加価値商品を販売する。

新しい顧客を獲得する。

こうした形で環境負荷の低減と企業収益を結び付ける必要があります。

循環すればするほど企業にも利益が生まれる仕組みをつくることが、持続可能な循環経済の条件になります。

結論

サーキュラーエコノミーとは、資源を採取して商品をつくり、使用後に捨てる一方向の経済から、商品や資源をできるだけ長く利用する循環型の経済へ転換する考え方です。

リサイクルはその一部にすぎません。

まず長く使い、修理し、再利用し、部品を再使用し、それでも利用できなくなったものを原材料へ戻すという考え方が重要です。

福井県の繊維廃材の再資源化や、甲府市の登山用品店による天然素材の利用と補修への対応は、こうした循環経済につながる取り組みといえます。

地方にとっては、地域で発生する廃棄物や未利用資源を新しい商品へ変えることで、環境負荷を減らすだけでなく、新しい仕事や企業間取引を生み出せる可能性があります。

捨てる量を減らすことだけが目的ではありません。

これまで価値がないと思われていたものに価値を見つけ、地域の中で資源とお金を何度も循環させる。

サーキュラーエコノミーは、環境問題への対応を地域産業の成長へつなげる新しい経済の仕組みといえるでしょう。

参考

日本経済新聞 2026年8月15日朝刊 自治体SDGs、企業が相棒

日本経済新聞 2026年8月15日朝刊 SDGsパートナー 甲府の登山用品店、天然素材の衣類提案

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