日本では地震そのものだけでなく、「長周期地震動」による被害も注目されています。特に超高層マンションや高層オフィスビルでは、震源から離れた場所でも大きく長時間揺れることがあり、建物自体に大きな損傷がなくても室内に深刻な被害が発生するケースがあります。
近年は都市部で超高層マンションが増えたこともあり、長周期地震動への備えはますます重要になっています。
この記事では、長周期地震動の特徴や通常の地震動との違い、高層マンションへの影響、家庭でできる家具転倒対策について解説します。
長周期地震動とは
長周期地震動とは、周期の長いゆっくりとした揺れが長時間続く地震動のことです。
一般的な地震では、小刻みで激しい揺れを感じることが多い一方、長周期地震動では船に乗っているような大きくゆっくりした横揺れが続きます。
巨大地震では、この揺れが数分以上続くこともあり、高層建築物ほど共振しやすくなる特徴があります。
そのため、震源地から数百キロ離れた都市部でも大きな影響を受けることがあります。
通常の地震動との違い
通常の地震動と長周期地震動では、建物への影響が異なります。
通常の地震動は、低層住宅や木造住宅に比較的大きな影響を与えます。
一方、長周期地震動は高層ビルや超高層マンションなど、背の高い建物ほど揺れが大きくなりやすいという特徴があります。
これは建物が持つ固有周期と地震動の周期が一致すると、大きく揺れる「共振」が起こるためです。
建物そのものは倒壊しなくても、室内では家具や家電が大きく移動し、生活に深刻な支障を及ぼすことがあります。
超高層マンションへの影響
長周期地震動では、高層階ほど揺れが大きくなる傾向があります。
例えば、
- 大型家具が転倒する
- 冷蔵庫や食器棚が移動する
- テレビやパソコンが落下する
- 食器やガラス製品が割れる
- エレベーターが長時間停止する
といった被害が発生することがあります。
さらに、電気・水道・ガスなどのライフラインが停止すれば、高層階では日常生活そのものが困難になる場合もあります。
建物に構造的な被害がなくても、室内の損害額が数百万円に及ぶケースも少なくありません。
家財への被害は意外に大きい
マンションは耐震性能が高いため安心と思われがちですが、家財への被害は別問題です。
高級家具や大型家電、パソコン、オーディオ機器などが破損すると、買い替え費用は大きな負担になります。
また、床や壁、天井の内装が損傷すれば、修繕費も必要になります。
こうした被害は建物の損傷とは別に発生するため、家財への備えも重要です。
家具転倒対策が命を守る
長周期地震動への備えとして最も重要なのが家具の固定です。
具体的には、
- 家具を壁に固定する
- 冷蔵庫を転倒防止金具で固定する
- テレビを耐震ベルトで固定する
- 食器棚に飛散防止フィルムを貼る
- 寝室には大型家具を置かない
といった対策が効果的です。
特に寝室では、就寝中の家具転倒が重大な事故につながる可能性があるため、家具の配置を見直すことも重要です。
地震保険との関係
長周期地震動によって家財が破損した場合でも、一定の条件を満たせば地震保険の補償対象となる可能性があります。
一方で、通常の火災保険では地震を原因とする損害は原則として補償されません。
高層マンションは戸建住宅より地震保険料が比較的低く設定されるケースも多く、家財も含めて加入を検討する価値があります。
建物だけでなく、生活そのものを守るという視点で保険を考えることが大切です。
日頃から備えておきたいこと
長周期地震動は発生を防ぐことはできません。
しかし、被害を小さくすることは可能です。
日頃から、
- 家具の固定状況を確認する
- 非常用持ち出し袋を準備する
- 家族で避難方法を話し合う
- 地震保険の補償内容を確認する
などの備えを進めておくことが、災害時の被害軽減につながります。
結論
長周期地震動は、高層マンションや超高層ビルに特有のリスクをもたらす地震動です。
建物が倒壊しなくても、室内では家具や家電が大きく動き、生活基盤が失われることがあります。
都市部でマンションに住む人ほど、家具転倒防止や家財への備え、地震保険の活用など、多面的な防災対策が重要になります。
地震への備えは建物だけでなく、毎日の暮らしを守るための準備でもあることを忘れてはいけません。
参考
日本経済新聞夕刊(2026年8月5日)
マネー相談 黄金堂パーラー「自宅の損害に備える(下)地震保険」
日本経済新聞夕刊(2026年8月5日)
マンション、保険料安く ファイナンシャルプランナー 清水香さん