株式投資では、「良い会社なのに株価が安い」といわれることがあります。
企業の業績が安定していても、一時的な景気の悪化や市場全体の悲観的な見方によって、株価が本来の価値より低く評価されることがあります。
こうした企業へ投資し、株価が本来の価値へ戻ることで利益を得ようとする考え方が「バリュー投資」です。
世界的な著名投資家も実践してきた歴史ある投資手法であり、現在でも多くの投資家に支持されています。
バリュー投資とは
バリュー投資とは、企業の本来の価値よりも株価が割安になっている銘柄へ投資する手法です。
株価は短期的には投資家心理や市場環境によって大きく動きます。
しかし、長期的には企業の利益や資産価値などの実力を反映すると考えられています。
そのため、一時的に割安となった企業へ投資し、適正な評価へ戻ることを期待するのがバリュー投資の基本的な考え方です。
割安かどうかは何で判断するのか
バリュー投資では、企業の価値と株価を比較します。
代表的な指標として利用されるのが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)です。
PERは企業の利益に対して株価がどの程度評価されているかを示し、PBRは純資産に対する株価の水準を示します。
一般的には、これらの数値が低い企業ほど割安と判断されることがあります。
ただし、数値が低いだけでは十分ではありません。
なぜ割安なのか、その背景まで分析することが重要です。
バリュー投資の父と呼ばれる人物
バリュー投資を体系化した人物として知られるのが、ベンジャミン・グレアム氏です。
グレアム氏は、企業の本質的価値を分析し、安全余裕(マージン・オブ・セーフティ)を確保して投資することの重要性を説きました。
その教えは、後に世界的投資家として知られるウォーレン・バフェット氏にも大きな影響を与えています。
現在でも、バリュー投資の基本原則は世界中の投資家に受け継がれています。
なぜ割安な企業が存在するのか
市場は常に合理的とは限りません。
景気後退への不安や一時的な業績悪化、業界全体への悲観的な見方などから、本来の価値以上に株価が下落することがあります。
また、知名度が低い企業や小型企業は市場から十分に注目されず、割安な状態が続くこともあります。
バリュー投資では、こうした市場の過度な悲観に着目し、長期的な企業価値を重視して投資判断を行います。
バリュー投資のメリット
バリュー投資の最大の魅力は、比較的低い価格で優良企業へ投資できる可能性があることです。
株価が本来の価値へ近づけば、大きな値上がり益が期待できます。
また、財務基盤が安定した企業が対象となることも多く、長期保有との相性が良い投資手法とされています。
さらに、高配当銘柄が多い傾向もあり、配当収入を得ながら長期で資産形成を目指す投資家にも利用されています。
バリュー投資の注意点
一方で、割安には理由がある場合もあります。
業績悪化が長期化したり、事業環境が大きく変化したりすると、株価が回復しないこともあります。
このような銘柄は「バリュートラップ」と呼ばれます。
見かけ上は割安でも、本質的な企業価値そのものが低下している場合は注意が必要です。
そのため、財務内容や事業の将来性、競争力なども総合的に分析することが欠かせません。
グロース投資との違い
バリュー投資は、次回紹介するグロース投資と対照的な考え方です。
バリュー投資では現在割安な企業へ投資します。
一方、グロース投資では将来大きく成長すると期待される企業へ投資します。
どちらが優れているというわけではなく、市場環境によって有利な局面は変わります。
そのため、両方の考え方を組み合わせる投資家も少なくありません。
長期投資ではどう活用するか
長期投資では、一時的な株価の動きよりも企業の本質的な価値に注目することが重要です。
バリュー投資は、短期的な人気ではなく、企業の収益力や財務基盤を重視する投資手法です。
そのため、時間を味方につけながら企業価値の回復を待つ姿勢が求められます。
焦らず、長い目で企業を見守ることが成功につながります。
結論
バリュー投資とは、企業の本来の価値に比べて株価が割安な銘柄へ投資する手法です。市場の一時的な悲観によって過小評価された企業へ投資し、適正な評価へ戻ることで利益を目指します。ただし、割安には業績悪化などの理由がある場合もあり、バリュートラップには注意が必要です。長期投資では株価だけでなく、企業の本質的な価値を見極める姿勢が重要になります。
参考
ベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』
ベンジャミン・グレアム、デビッド・ドッド著『証券分析』
日本経済新聞 投資・資産運用関連記事(各号)