モメンタム効果とは何か 値上がり銘柄がさらに上がる理由編

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株式市場では、「上がっている株はさらに上がりやすい」「下がっている株はさらに下がりやすい」といわれることがあります。

一見すると不思議に感じるかもしれません。

もし市場が常に効率的であれば、過去の値動きだけで将来を予測することはできないはずです。

しかし、多くの研究では、一定期間値上がりした銘柄が、その後もしばらく値上がりしやすい傾向が確認されています。

この現象を「モメンタム効果」と呼びます。

ファクター投資の代表的な要素の一つであり、世界中の機関投資家が運用に取り入れています。

モメンタム効果とは

モメンタム効果とは、過去に好調だった銘柄が、その後も一定期間好調を維持しやすいという市場の傾向を指します。

反対に、大きく値下がりした銘柄は、その後もしばらく低迷しやすい傾向があります。

この現象は、数日ではなく数か月から1年程度の期間で確認されることが多く、多くの学術研究でも報告されています。

そのため、モメンタムは代表的な投資ファクターの一つとして位置付けられています。

なぜモメンタム効果が生まれるのか

モメンタム効果が起きる理由については、さまざまな説があります。

代表的なのは、投資家心理による影響です。

企業が好決算を発表しても、その情報がすぐに株価へ完全に反映されるとは限りません。

投資家が徐々に評価を高めることで、株価が時間をかけて上昇していく場合があります。

また、「上がっているから買う」という投資家が増えることで、さらに価格が押し上げられることもあります。

このような市場参加者の行動が、モメンタム効果を生み出す一因と考えられています。

効率的市場仮説との関係

モメンタム効果は、効率的市場仮説に対する代表的な反証の一つとして知られています。

効率的市場仮説では、過去の価格情報はすでに株価へ織り込まれているため、過去の値動きだけで超過収益を得ることは難しいと考えます。

しかし、実際にはモメンタム効果が長期間確認されてきました。

そのため、市場は完全には効率的ではなく、人間の心理や情報の伝わり方が価格形成に影響を与えている可能性があると考えられています。

モメンタム投資のメリット

モメンタム投資の魅力は、成長している企業へ自然に投資できる点です。

業績が改善し、市場から評価され始めた企業へ資金を振り向けるため、大きな上昇局面を捉えられる可能性があります。

また、ルールを決めて機械的に売買しやすいことから、感情に左右されにくい運用ができる点もメリットです。

現在では、モメンタムを採用したETFや投資信託も数多く運用されています。

モメンタム投資の注意点

一方で、モメンタム効果は永遠に続くわけではありません。

相場が急変すると、それまで上昇していた銘柄が急落することもあります。

特に景気後退局面や市場全体の急落時には、モメンタム戦略が大きな損失につながる場合があります。

また、売買回数が多くなる傾向があるため、売買手数料や税金の影響も考慮しなければなりません。

過去の実績だけで将来も同じ成果が得られるとは限らない点にも注意が必要です。

バリュー投資との違い

モメンタム投資は、次回紹介するバリュー投資とは対照的な考え方です。

モメンタム投資では、現在市場から評価されている銘柄へ投資します。

一方、バリュー投資では、市場から十分に評価されていない割安な銘柄を探します。

どちらも長い歴史を持つ代表的な投資手法ですが、市場環境によって有利・不利が入れ替わることがあります。

そのため、両者を組み合わせる運用も広く行われています。

長期投資ではどう考えるべきか

個人投資家にとって、モメンタム効果を短期売買へそのまま活用することは簡単ではありません。

しかし、市場では勢いのある企業へ資金が集まりやすいという傾向を理解することは、投資判断の参考になります。

長期投資では、モメンタムだけに依存するのではなく、企業の業績や財務内容、成長性なども総合的に確認することが大切です。

モメンタムは、数ある投資判断材料の一つとして活用するとよいでしょう。

結論

モメンタム効果とは、過去に値上がりした銘柄が、その後もしばらく値上がりしやすいという市場の傾向を指します。投資家心理や情報の伝わり方などが背景にあると考えられ、ファクター投資の代表的な要素として広く活用されています。ただし、市場環境が変化すると効果が弱まることもあります。長期投資ではモメンタムだけに頼らず、企業の本質的な価値も踏まえて総合的に判断することが重要です。

参考

ナラシムハン・ジャガディーシュ、シェリダン・ティットマン「Returns to Buying Winners and Selling Losers: Implications for Stock Market Efficiency」(1993年)

アンドリュー・アング著『ファクター投資入門』

日本経済新聞 投資・資産運用関連記事(各号)

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