予定利率とは何か 生命保険の利回りの仕組み編

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金利上昇で注目される「予定利率」

最近、生命保険会社が予定利率を引き上げるというニュースを目にする機会が増えました。また、これまで加入していた生命保険を解約し、新しい保険へ加入し直す人が増えているという報道もあります。

こうした動きの背景にあるのが「予定利率」です。

予定利率という言葉を聞くと、「銀行預金の金利と同じようなもの」と考える人も少なくありません。しかし、実際には意味が異なります。

今回は、生命保険を理解するうえで欠かせない予定利率について、その仕組みや保険料との関係を分かりやすく解説します。

予定利率とは保険会社が見込む運用利回り

予定利率とは、生命保険会社が契約者から預かった保険料を将来どの程度の利回りで運用できるかを見込んで設定する利率です。

保険会社は集めた保険料を、そのまま保管しているわけではありません。

国債や社債などの債券を中心に長期間運用し、その運用収益を将来の保険金支払いに充てています。

つまり予定利率は、「これくらい運用できる」という前提で保険料を計算するための基準なのです。

契約者が直接その利率を受け取るわけではなく、保険料や返戻金の計算に反映される仕組みとなっています。

予定利率が高いと保険料は安くなる

予定利率は保険料にも大きな影響を与えます。

例えば、同じ死亡保障額であっても、保険会社が高い利回りで資産運用できると見込めれば、その分だけ契約者から集める保険料を少なくできます。

一方、運用環境が悪く予定利率が低くなると、将来の保険金を確保するために保険料は高くなります。

つまり、

・予定利率が高い=保険料は比較的安くなる

・予定利率が低い=保険料は比較的高くなる

という関係があります。

そのため、金利環境が変化すると、新しく販売される保険商品の魅力も変わってくるのです。

銀行預金の金利とは意味が違う

予定利率は、銀行預金の金利とは異なります。

預金金利は預けたお金に直接付く利息です。

一方で予定利率は、保険会社が保険料を計算するための前提条件です。

例えば、予定利率が2%だからといって、契約者の資産が毎年2%ずつ増えるわけではありません。

保険には死亡保障や医療保障などの保障コスト、事業運営に必要な経費なども含まれているためです。

この違いを理解していないと、「予定利率が高い保険なら資産運用にも最適だ」と誤解してしまうことがあります。

金利上昇で予定利率も見直される

近年、日本では長く低金利が続いていました。

そのため、生命保険会社は十分な運用収益を確保しにくく、予定利率も低い水準が続いていました。

しかし、日本銀行の金融政策の変化により市場金利が上昇すると、国債などの運用利回りも改善します。

その結果、新しく販売される保険商品の予定利率も引き上げられるようになりました。

これが現在、既契約の保険を見直す動きが増えている理由の一つです。

新しい契約の方が条件が良いと判断する契約者が増えているのです。

予定利率だけで保険を選ぶのは危険

予定利率は重要ですが、それだけで保険を選ぶべきではありません。

例えば、

・必要な保障内容

・保険期間

・保険料総額

・健康状態による加入条件

・解約返戻金

なども総合的に比較する必要があります。

また、年齢が上がると保険料は高くなるため、予定利率が高くなっていても必ずしも有利とは限りません。

さらに健康状態によっては、新しい保険に加入できないケースもあります。

保険は「保障を買う商品」であることを忘れずに判断することが大切です。

予定利率は保険会社の経営にも影響する

予定利率は契約者だけでなく、生命保険会社の経営にも大きな影響を与えます。

予定利率を高く設定すれば契約は集まりやすくなりますが、その利回りを長期間維持できなければ、保険会社の経営は苦しくなります。

実際、1990年代には高い予定利率で契約した保険の運用が追いつかず、「逆ざや」が発生し、経営破綻した生命保険会社もありました。

その経験があるため、現在の生命保険会社は金利が上昇しても慎重に予定利率を引き上げています。

高い利率で契約を集めることよりも、長期にわたり安定した経営を維持することが重視されているのです。

結論

予定利率とは、生命保険会社が将来の資産運用を見込んで保険料を計算するための基準となる利率です。

金利上昇によって予定利率は見直され、新しい保険商品の魅力が高まっています。しかし、予定利率は預金金利とは異なり、契約者がそのまま受け取れる利回りではありません。

保険を見直す際は、予定利率だけを見るのではなく、保障内容や保険料、ライフプランまで含めて総合的に判断することが重要です。金利のある時代だからこそ、生命保険の本来の役割を理解したうえで、自分に合った選択をすることが求められています。

参考

日本経済新聞 2026年7月29日 朝刊

生保解約、金利上昇で拍車 返戻金1~5月4割増、最高ペース 高利回りの投信にシフト

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